友達のこと。
(第十二回。)
さて、最初に用意していたテーマのはしりシリーズ、最後は友人関係についてです。
私の場合、心の調子がすごく悪かった頃に付き合いのあった人間関係、友人関係で、今も続いているのはほんのわずかです。
私も私なりに調子が良くなってきて、だんだん調子の悪いままの人と付き合うのが苦痛になってきたというのはあります。ネガティヴなことばっかり言っていたら、本当にネガティヴなことを引き寄せてしまうような気はしているのです。だから、そんな風に当時の、言ってみればベタベタした友人関係が希薄になっていくのは、当たり前のような気はします。病気のことなんか、思い出している場合ではないのです。
それでも私は、自分と、まだ自分と同じように性被害に苦しんでいるあなたに向けてこのブログを書くと決めました。私もまだ外来で病院に通って、薬も処方してもらわないと日常生活が多分送れないくらいではあるのですが、それでも入院していた頃と比べれば、格段にラクです。だから、昔のことを自分なりに整理したくなったのかもしれません。
話がそれました。
生活が変われば、付き合っていく友人知人が変わるのは当たり前のことです。
それでも、何年も話すらしていなくても、会えば普通に話せる関係もあります。
そういう友人は、生涯の友人になるかもしれません。
大事なのは、安心感だと思うのです。
「この人とはどんなに離れても、どんなに会わなくなっても、メールもしなくなっても、友達でいられると思う」
そういう気持ちがお互いにあれば、離れていることは問題でもなんでもありません。約束をするのでもなく、契約を交わすのでもなく、認め合える関係ならばそういう友達になれると思います。
でも、ただ同じ時期に同じ病院に入院していただけ、という関係は、脆いです。なぜなら、別に相手はその人じゃなくてもいいからです。退院したらそれきりになって当たり前です。
もちろん、中にはすごく気が合って長続きする関係もあるかもしれませんが、残念ながら、精神科病棟への入院というのは、友達を作りにいくためにするのではないのです。もし普通に友達を見つけたいのなら、自分がすごく気持ちを込めてやっていること、生涯の仕事にしようと思っていることのコミュニティに入って探す方がいいですよね?、価値観の近い人は見つかりそうです。
ただごくたまに、なんの関係もないところから(精神科病棟も含めて)友達になって、そのまま途切れずに続く友人関係もあります。特に歳が離れている人とコミュニケーションをとって友達になるというのは、年上年下問わず、すごく勉強になることがあります。そういう関係は大事にして、少しずつ少しずつ深くしていくといいと思います。
それが直接、あなたの性被害からの回復に役に立つかと言えば、答えは「わからない」だと思います。そもそも、性被害について友達に話すことだけでも、ハードルのものすごく高いことだと思います。私自身、主治医の先生を除けば本当に限られた人(2人くらいでしょうか…)にしか話せていません。でもだからこそ、その友達関係はすごく貴重です。むしろそういう友達は、1人か2人、いてくれれば十分じゃないんでしょうか。普段は主治医の先生と話し、たま~に友達と連絡をとる。そのたまの機会の中でもさらにごくたま~に、ちょっとだけ自分のことを話す。それだけで、ずいぶんと心はラクになります。
繰り返しますが、要は安心感の問題だと思います。
「この人は、何かあった時は親身になって私の話を聞いてくれる。そして、いつでも私の味方でいてくれる」という安心感です。それだけで結構、がんばりが効くものだと思います。
それ以上に大事なものって、何かありますか?
私にも大事なものはたくさんありますが、いちばんは今話した、友達のことです。
そういう友達が今いるという方、ものすごくその友達を大事にした方がいいです。
そういう友達は今いないという方、いつそういう友達と出会ってもいいように、アンテナは張っておいてくださいね。
不幸も幸福も、いつどんな形でやってくるかわかりません。
気持ちの準備だけは、しっかりしておきましょう。
私自身は、災難は私を避けて通ると思っています。もう一生ぶんの災難は受けただろうと思っているからですが、まあ、戯言ですかね~?
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