この先いつだってきみの味方だよ
そんなん、私だってそう。当たり前じゃないの。
ずっとぎりぎりだった。倒れかけのジェンガ。ツーアウト満塁9回裏。立ってるので精一杯の延長戦。何回も諦めそうになって、最後まで諦めなかった。負けちゃったけどいい試合だったよ。讃えあおうね。
部屋の中に象がいた。人間が暮らすスペースなんてなかった。見てみぬふりをし続けたけど、大きくてどうしようもなかった。部屋の外で仲間が増えるたび、味方だよと言ってもらうたび、象は大きくなった。でも、ほんとは象なんかいなくて、私の気のせいだったらしい。
私たちがんばった。逃げずになんとかしようとした。がんばってくれたことも、がんばったこともよく分かってる。だから後悔なんかしてない。恨んだりきらったりなんてとんでもない。一生ない。もう充分。しんどい思いさせてごめんね。しんどい思いしてまでありがとう。
言葉にならないものを言葉にするのが比較的得意だと思っていたけど、なんの言葉も出てこなかった。ただ悲しくてわんわん泣いた。これ以上してほしいこと、なんもない。
ありがとうとごめんねとかなしいだけで泣くのは、葬式だけだと思ってた。楽しかったなぁ、楽しかったのになぁ。だいじだったなぁ、だいじなのになぁ。わーんわーん。
息ができないほど泣いてんのに「メモ取っとかないと」と思った。最後のたまご焼きを泣きながら作っているとき「この画はたぶんきれいだなあ」と思った。もちろん本気で悲しんでる。こりゃネタになるぞしめしめと思ったわけじゃない。でも頭の隅にそういう自分もいてどうしようもないなと思った。
書いた文章や作ったものをすきだと言ってもらうたび、私はいいと思ってるけど、あなたにとってなにがいいんだろうと思っていた。ずっと不思議だったから、こないだ褒めてくれた子になにがおもしろいのか聞いた。その子は「自分のことだと思った」と言ってくれた。ああ、なるほど。それ私もしってる。
赤の他人が作ったあの舞台、あのセリフ、あの本、あの歌を、これは私の物語で、私のための言葉だと思った瞬間。
悲しいのに、ただ悲しむことができなかった。きっとこの先のどこかで、私はこの日をなにかにすると思う。さも他人事のように、本当は何度も呼んだ名前があるのに、あなたとか君にしてなんかに使うと思う。
すべての表現はただのエゴです。ただの自己満足です。今に始まったことじゃなくていつの時代も不要不急。受け取る人次第でゴミにも手紙にもなる、海に流したただの紙。
あなたがどう思うかなんて、私にはわかんない。わかったふりしたものは、わかったふりでしかない。勝手に出すから、勝手に救われたり傷ついたりすればいい。もし同じ気持ちならきっと一人にしないから。
ほとんどの人には必要ない私のなにかが、誰かにとっての恋をした日の銀杏BOYZに、失恋した日のクリープハイプに、強くなりたい日の椎名林檎に、あの作品のあの言葉になるかもしれないなら、こんなどうでもいいことくらいしか夢中でできないけど、もうそれでいいし、別に悪くない。
出ていく時、ゴミ出してくれる? 今日、燃えるゴミの日だから。
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