#カワイクイキタイ24「猫と黒は相性がわるい」
すっかり涼しくなった。夏の日差しはもう忘れた。暑くなる頃にはこの肌寒さも忘れてる。
忘れてしまうだけで、夏が暑いことも冬が寒いことも知ってる。なかったことにはならない。
知らなければよかった、出会わなければよかったなんて、思わない。そんなの、とんでもないよ。
このまま目が覚めなければいいと思う夜と、朝を心待ちに眠る夜の繰り返し。夏に冬の楽しみをもらって、冬に夏の楽しみをもらって、気づけば半年、気づけば一年、振り返ったら生きていただけの繰り返し。
そうやって転がってゆく。朝が二階から降って来る。コロコロではなく、ドタンバタンと不細工にゆく。それが生きてゆくことだとしたら、とてもしっくりとくる。
それまで生きよう。それまで死ねない。そう繰り返してるうちに寿命が尽きれば、充分ちゃんと生きてるじゃないか。
大昔の文豪と、令和の一般人が思う、自分勝手な生きる理由がそう変わらないのは、わたしたちがどこまでも、たかだか人間だからだ。
人生なんか、楽しくきらきらしてなくていいよ。そんなの、たまにでいい。
そんなことより、丈夫なあなたが、大丈夫じゃないって知れてよかった。
猫と黒は相性がわるいから、うちに来るときは白い服を着ておいでね。まじめな話と鼻毛は相性がわるいから、ちゃんと手入れしてきてね。
そしたら、一生に一度の別れ話だって、ちゃんと聞いてあげるから。
さよならはいつだってかなしい。どれだけ嫌になって離れても、大嫌いだとしても、ムカついていても、かなしい。どんな風にかなしいかなんてわからなくていい。かなしいということだけ、わかっていればいい。
私のかなしみは私だけのもので、あなたのかなしみは、あなただけのものだ。よく似てるけど、同じじゃない。わからないけど、わかるし、わかりたいと思うよ。
あなたのことだからね。
私のかなしみを分かろうとしてくれてありがとう。私の怒りに私よりもおこってくれてありがとう。
抱きしめているのに、抱きしめられている。癒すつもりが、癒されている。励ましているつもりが、励まされている。それなのに、「ありがとう」と言うと「ありがとう」と返ってくる。
これをさいわいと呼ばずになんと呼ぶ。
あなたを知らずに生きる100年より、あなたに出会えた今の方が、よっぽどしあわせだ。
どれだけかなしくたって、そうだ。
もう、君のことすきなんかじゃないよ。
歩く時に「次は右、次は左」と思わないように、息をする時に吸って吐くことを考えないように、私はA型だと思って生活しないように、もう考えることでも、理由も、すきとかきらいも、ないよ。
あなたを大切に思うこと。あなたの言葉や考え方のそのままを愛すること。なるべく笑っていてほしいと願うこと。傷つけてくる敵から守りたいと思うこと。敵の正体をいっしょにかなしむこと。
そんなのはもうとっくに当たり前で無意識のことで、なにも特別なことではなくて、なにも特別じゃないこれが、なによりも特別だと知るんだ。
とてもキレイで、とても大切で、どこにも行けないんだ。
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