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台北駅で1人でランチとデザートを調達した日
私は今、台湾で生きている。
多分、周りからはそんなタイプに見えてない気がするけど、実はすごくチキンな私は、1人でお店に入るのが怖い。
日常会話くらいの簡単な中国語は話せるくせに、お店の人に声をかけるのにいまだに勇気がいる。
こないだ、2歳の娘を連れて台北駅へ行った。
着いたのはちょうどお昼の時間だった。
いつもママ友と台北駅でランチをする時は、駅の向かいのコメダに行く。
でも今日は、娘と私の2人きり。
何か娘にお昼ご飯を食べさせなくてはいけない。
いつものコメダに行こうかとも思ったけど、きっと娘は少し食べたら、すぐに飽きて暴れ始める。
わりと高いのに、ゆっくりできずに、急いでサンドイッチを詰め込んでお店を出てくるハメになるだろうと思ってやめた。
お店に入るのは諦めて、何か買って、近くにあるらしいちょっと大きめの公園に行って、そこで食べさせよう。
そう考えて、台北駅の辺りをベビーカーを押しながらぶらぶらと歩く。
友達が一緒じゃないと、やっぱり心細い。
どこに行ったらいいのかわからない。
他の場所で買ったことのある、水煎包(肉まんのようなもの)のチェーン店の看板が見えてきた。
ああもう今日はあれにしよう、と藁にもすがる思いで近づいていくと、シャッターが閉まっていた。
がっかりして、辺りを見回す。
道路を挟んで右斜め向かいにも、左斜め向かいにも、テイクアウトできそうなお店の看板が見える。
信号のない横断歩道をドキドキしながらえいっと渡って、屋台のワッフル屋さんに行ってみた。
店主のおじさんが声をかけてくる。
ワッフルどうだい?みたいなことを言っている。
なんて返したらいいのか、そもそも返事をするものなのかもわからず、店主とは目も合わさないで、じっと店前に貼られている写真付きのメニューを見る。
メニューには、甘いものの他に、ハムなんかが挟まれたサンドイッチのようなワッフルもあって、ランチにできそうっちゃできそうだけど、娘が食べてくれるかどうか怪しい。
何か、娘が確実に口にしてくれるものを買わなくちゃ、とまたお店を探してブラブラする。
角を曲がるとすぐにまた屋台のような小さな店がいくつか並んでいる。
ゆっくり歩きながら、じっとメニューを見て、娘の食べてくれそうなものを探す。
あっ、うどん。でも海鮮鍋って書いてある。なんか食べさせるのめんどくさそうだな…。
色々と却下しているうちに、小さな店が並んでいるところの1番端まで来てしまった。
娘もお腹が空いてるだろうし、さっさと決めなくては。
1番端のお店のメニューは、炒麺(焼きそば)やチャーハン。これなら娘も食べてくれそうだ。
チャーハンのほうが服が汚れにくくていいかも、と思ってメニューを見るが、なぜか素(ベジタリアン向け)のものしかない。
でも炒麺にはお肉が入っている。
おばちゃんが、何にする?と声をかけてきたので、勢いで豚肉の炒麺を注文する。
注文してから、ふと上に目をやって、豚肉のチャーハンやらエビのチャーハンのメニューがそこに貼られていたことに気づいた。
麺や具をフライパンの近くに並べてはいるものの、まだフライパンを火で温めているらしいおばちゃんを必死に呼んで、チャーハンに変えてもらおうと思ったが、
わざとだろう、と思うぐらい、いくら声を張り上げても全然こっちを見向きもしない。
私は変なスイッチが入り、我ながらさっきまでのチキンっぷりが嘘のように大きな声で呼びかける。
油をフライパンに入れてからようやくこっちに来てくれたが、チャーハンに変えれないか聞くと、苦笑いでもう間に合わないと言われてしまった。
まだ油しか入れてないのに…?めんどくさくて聞こえてないふりしてなかった…?などなど頭に浮かんだが、こればっかりは後から変えようとした私が悪いので、すみません大丈夫です、と返す。
しばらくして出来立ての炒麺を受け取りお金を払うと、おばちゃんが笑顔を浮かべて娘にバイバイと手を振り、手を振りかえす娘にかわいいねと言ってくれてほっとする。
無事に買えたことで少し気が大きくなり、よし、もう一回買い物に挑戦してやる、とワッフル屋さんに戻った。
りんごとクリームの入ったワッフルを注文してお金を払う。
お釣りはくれたが、レシートをくれなかった。
台湾のレシートには宝くじがついていて、当たるとお金がもらえるのだけど、こういう小さいお店だとレシートを出さないところもあるのかな、まさかおじさんにくすねられたんじゃないよね…とヤキモキしながら店の中にレシートを出す機械があるのかどうか見回す。
レシートをください、と言ってみようかと思ったけどレシートの中国語が出てこない。
おじさんが何やらぶつぶつ喋っているけど、全然聞き取れなくて、しかも私に言っているのか奥でワッフルの生地を作っているらしいおばちゃんに話しかけているのかよくわからない。
気が大きくなってワッフルを注文したばっかりに、なんだかモヤモヤする…炒麺でやめとけば気分がいいままでいられたのに、とネガティブを発動していたら、
急におじさんが、おおやっときた、という感じでピッとスマホの画面を押して、それに反応するように四角い機械からレシートが出てきた。
おじさんはそのレシートをビリッと取ると、もちろん私に渡してくれた。
どうやらレシートを発行するのにすごく時間がかかるらしかった。
炒麺とワッフルを持って、急ぎ足で近くの公園へ向かう。
公園に着くとすぐに座れるところを探して、炒麺を開けてみる。
炒麺はとろっとした、あんかけ焼きそばっぽい感じ。
お食事エプロンなんてつけさせてくれない娘は、案の定、麺からあんがしたたって服が汚れていく。
でもおいしいみたいでどんどん食べてくれたからヨシ。
ワッフルのほうも、りんごが歯ごたえがあっておいしかった。
ちゃんと1人でもおいしいご飯を買えたことで、少しレベルアップした気がする、そんなランチタイムだった。
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![ちさかはるか(台湾に住んでる道産子)](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/27792310/profile_3fe81c1f599ac393a81878bc0babb1c0.jpeg?width=600&crop=1:1,smart)