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COPDってどんな病気?症状、検査法、治療を解説

COPDは呼吸の病気

たばこ病という言葉を聞いたことがあるでしょうか。
長年にわたって、たばこの煙や大気中の粉塵を吸い込むことで日常的に咳やたんが増える病気がCOPDです。
吸い込んだ有害物質によって、気管支が炎症をおこしたり肺胞(肺の袋)が壊されたりして発症します。

肺気腫や慢性気管支炎も合わせた、慢性閉塞性肺疾患(Chronic Obstructive Pulmonary Disease)の頭文字をとって名付けられました。

発病してから少しずつ悪化していく生活習慣病です。
進行すると、せき・たん・息切れが強くなり食事やトイレ移動すら出来なくなります。
日本では約500万人以上の患者さんがいると推定されています。
しかし、COPDという病気はあまり知られておらず適正な治療を受けている患者さんはそのうちの約20万人ほどです。

COPD患者さんやそのご家族がこの病気をよく理解して、適切な療養生活を過ごすことはとても重要です。
COPDと診断されたらどのような治療や生活の注意が必要になるのか理解しておきましょう。

COPDはどんな原因でおこるの?

たばこ病とも言われ、長年にわたって喫煙していた人の20%前後が発症すると言われます。
その他に受動喫煙や大気汚染、お仕事などで粉塵や化学物質を長期間にわたって吸入することも原因と考えられています。
たばこの煙や有害物質を吸い込むことによって気管支が炎症を起こしたり、肺胞(肺の袋)が壊されます。
炎症を起こすと気管支に「たん」が貯まり空気の出入りが悪くなったりします。
また、肺胞が壊されると血液への酸素の取り込みが悪くなり、脳や身体に酸素が行きわたらなくなります。

COPDの症状は何があるの?

初期は無症状であったり軽い咳やたんがみられます。
徐々に動いた時に息切れを感じるようになり、進行すると着替えやトイレ移動すら息切れを感じて時間がかかるようになります。
風邪やインフルエンザなどの感染症から急に進行して呼吸不全など重篤な症状が出ることがあります。

・よく咳やたんがでる

たんの絡んだ咳がでます。慢性的に咳やたんが続くようになります。

・動くと息切れがする

階段や坂道での息切れからはじまり、次第に自宅での日常生活に支障が出るほどの息苦しさに進行します。

・呼吸のたびに喘鳴がする

気道(空気の通り道)が炎症を起こして狭くなっていたり、たんが貯まっていると息をするときにヒューヒューやゼーゼーと音がします。

・栄養不足になりやすい

息苦しさのために食欲不振になって食事摂取量が少なくなります。
呼吸するだけで健康な人の何倍も首や肩の筋肉を使うので、エネルギーを消耗して痩せたり栄養状態が悪化します。

COPDの診断はどうやってうけるの?

上記のようなCOPDの症状がある人は、まずかかりつけ医に相談するとよいでしょう。
かかりつけ医のない人は呼吸器科の病院で診察を受けましょう。
診断のための検査には以下のものがあります。

・胸部レントゲン検査


肺の形や透過性、横隔膜の状態をみます。肺が壊れて空洞になっていたり、横隔膜が横に平らになったりします。

・CT検査


肺胞(肺の袋)の形や気道(空気の通り道)の厚さをみます。肺胞がこわれていたり、気道が厚くなったりします。

・呼吸機能検査


スパイロメーターという機械で思い切り息をした時の呼吸の効率(一度に吸える量や吐ける量や時間など)を調べます。肺年齢がわかります。
血液中の酸素量を動脈の血を採って調べたり、指先に機械をつけるパルスオキシメーターで測ったりします。

・歩行試験


指で酸素を測定しながら歩いて記録を取ります。運動の能力や活動性(主に歩数で見ます)が健常者と比べて低下しているか調べます。

COPDの治療はどうするの?

COPDの治療は症状に応じて、病気の進み具合によって
段階的に継続して行われます。
症状を和らげたり、病気の進行を抑えたりする治療として
以下のものがあげられます。

・禁煙
・薬物療法(内服薬・吸入薬)
・運動療法(呼吸リハビリテーション)
・栄養療法(高カロリー・高たんぱく)
・在宅酸素療法や在宅人工呼吸療法

急性増悪の予防と自己管理(セルフマネジメント)が大切

風邪などの感染症によって急に症状がひどく悪化することを「急性増悪」と言います。
急性増悪を起こした時には早めに病院へ受診して主治医の指示に従いましょう。

病状の安定期では日常生活での自己管理(セルフマネジメント)が重要です。

・感染予防をする
・上手なたんの出し方を練習する
・定期的な受診とお薬を正しく使用する
・息苦しい時に効果的な呼吸法が出来るようになる
・バランスの取れた高カロリー高たんぱくな食事をとる
・日常動作や呼吸に使う筋肉の低下を防ぐリハビリテーションを行う
・医師より処方されたら在宅酸素療法や在宅人工呼吸療法の管理ができる

まとめ

CPODについての理解が深まったでしょうか。
COPDは慢性で徐々に悪化していく生活習慣病です。COPDによって壊された肺はもとには戻りません。
主な原因は喫煙と言われていますから、もし喫煙している人は自分のため、そして周囲の人のために早期に禁煙することが望ましいでしょう。
残された肺の機能を保ち病気の進行を抑えることが大切です。
正しい療養と自己管理(セルフマネジメント)で悪化を防ぎ、苦痛な症状を少しでも軽く穏やかにできるように過ごしましょう。





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