医者ガチャ、失敗
自分で言うのもなんだが、わたしは、病院運がない。
医者選びが下手くそなのかもしれない。
数々のありえない病院、ありえないやらかしに出会ってきたが、
ここ数年で一番を見つけたので、少し小声でお話ししたい。
コロナ禍で出てきたもの。
PCR検査。発熱外来。
それが、運がいいことに徒歩数十秒のところにあった。
やってくれる個人病院がマンションの敷地内にあるのだ。
だが、ここの医者が曲者だった。
このご時世、自動車免許を持っていないと発熱患者は移動が困難だ。
わたしの住んでいるところは比較的都会ではあるが、辺鄙なところゆえ極端に病院の数が少ない。
なので、熱が出るとその病院で検査をしてもらわざるをえない。
特に、在宅ができない接客業。早めに見てもらえるに越したことはない。
去年の4月、娘が入学式を終えた2日後。
わたしと娘は発熱した。
まだ、オミクロン株もワクチンも出ていない頃の話だ。
移動手段がなかったので仕方なく、その病院にいくことにした。
その病院、Kクリニックのドアには仰々しく
「発熱している患者さんはこちらに電話してください」
と張り紙していたので、その旨を告げる。
発熱外来、と言っても、2フロアの一つなだけだ。
前で十分ほど待って、看護師さんが出て来たので扉を開けて娘と入る。
問診を書いて、熱を記入してしばらく待つ。
その間、初期のころに総合病院でPCRをした時のことを考えていた。
そこはなかなかに大きな病院だった。
地下の救急外来を発熱外来としてあり、予約制であった。
PCRは唾液を採取して、次の日の夜に連絡があった(PCRがそれほど多くなかった時代だった)。
待てど暮せどK先生が来ない。
30分経っただろうか。
来たと思ったら、
「検査します」
と唐突に告げて、鼻の中に綿棒を突っ込んだ。
これにはわたしも当時6歳の娘も驚き、娘はあまりの痛さに泣いた。
わたしも、想像していた検査と違っていて戸惑いと痛みを隠せなかった。
検査結果を待っている間、何も声かけがない。
このまま帰っていいんだろうか。いや、お会計してないしな。
その前に、結果はでたの?どんな検査だったの?
疑問は尽きない。
後から知ったが、抗原検査とインフルエンザの検査をいっぺんにできるキットを使っていたようだ。早く言ってくれ。
K医師は症状もろくすっぽ見ず、去っていった。
検査結果は2人と陰性だった。
わたしは解熱剤はあったため、薬なし。
娘には薬が大量に出された。(院内処方)
鼻も出ていないのに点鼻薬。
しかも、娘に出されたジスロマック(抗生剤)は6包のところを9包出されていた。ふざけんな。
私たちがやったら患者さん宅に謝罪に行くやつだよ。
謝罪に行く体力もなかったので泣き寝入りした。
娘は、病院の前を通るたびに
「ここの病院、めっちゃ痛かったー!もう行きたくない」
と言う。
その日は小学校入って初めての給食の日だった。
おそらく、喉の弱いわたしがうつしてしまったと思う。
娘には本当に申し訳ないことをした。
彼女は元々頑丈な上に、電車で10分のところにかかりつけの小児科があるので、今後お世話になることはないだろう。
いや、わたしもお世話になりたくはない。