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小鳥のようにうたいながら 2021 (睦月January〜卯月April)短歌まとめ
2021年も残りわずかになってきました。
この1月からnoteを始め、エッセイや詩、写真で自分の思いを綴り、記事の最後には毎回その時のテーマやキーワードの短歌を少しずつ詠んできました。
いつも 端っこでモジモジとしていた短歌ですが、一年をまとめるようにしてここに残しておきたいと思います。
短歌にはあまり馴染みのない方も多いかもしれませんが、気構えることなく 短い短い詩だと思って読んでいただけたらと思います。
私も難しいことは何も考えず そんな感じで楽しんでいます。
わたしの短歌は、実際に自分が見た景色や感じた思いを三十一音で表現したものです。
私たちはみんなばらばらです
それぞれの人生があって
それぞれの個性があって
それぞれの思いがあります
けれど、0歳から始まって ひとつずつ年を重ねていくのは同じ。
人生のどこかに似たような気持ちや思い出があるかもしれません。
正解や間違いはありません。
ぜひみなさんそれぞれの情景を 自由に思い描いてイメージを膨らませてみてください。
そこに 思い出や物語を感じていただけたらとても嬉しいです。
初めてお目にかけるものも少し織り交ぜました。
☆がこれまでに掲載した歌、
★が初めて掲載する歌です。
エッセイ、写真も新しいものを含めます。
いつも見てくださっているみなさんにも楽しんでいただけたらと思います。
これからも小さな鳥が歌うように、ささやかに短歌を続けていきたいと思っています。
いろんな出来事がありました。
みなさんはどんな一年だったでしょうか。
無事に暮れて、新しい年が明けますように。
***
睦月 January
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⭐︎初空へ「初めまして」を飛ばす朝 かじかむゆびに息吹きかけて
⭐︎笑うのとおんなじように歳はなく恋をするのも夢をみるのも
⭐︎ぶきっちょのレモンスライス やや欠けた月も浮かびて令和三年
⭐︎この胸を打ち明けようか チューリップ開き始めた日曜の朝
⭐︎ 手とペンと紙の擦れたるぬくもりはわたし温度のことばとなりて
⭐︎ かすれゆくペン 途切れてもかまわずに君へ流れる透明なこえ
⭐︎春の書架 背の順にした背表紙の前から二番のわたしを選ぶ
⭐︎ やっときた。 待ちくたびれて拗ねた顔 五十ページに紅き桜葉
★ 夕刊の崩壊の文字におびえて そっと面取るおでん大根
如月 February
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⭐︎ 夜明け前小さく震え届く文 昼も夜もなき君のなきごえ
⭐︎ 境内にしゃがんだきみの手のひらにハートひとひら救われて春
⭐︎ 片割れの「元気?」へ片割れの「元気!」ハートの形思い出したり
⭐︎きみを待つ風を忘れたブランコと日陰の土を温める猫
⭐︎春へゆくまっすぐとゆく白猫のモンローウォークについてゆきたり
⭐︎春なのにアイビーは果て 抜け殻へコーヒーノキをさがす週末
★つなぐ手を待ちたるわれと風媒花 どこへゆこうか、どこで咲こうか、
弥生 March
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⭐︎風まかせミモザは晴れた空にとけ若葉の色になりて戻りぬ
⭐︎春うらら花はなくとも卵ありミモザサラダは感謝のサラダ
⭐︎すべらかなまだ地を踏まぬ足裏よ欠伸は春へまざる乳の香
⭐︎ 眼差しは爪と裸で向き合って命の色のマニキュアを塗る
⭐︎ 春分なり 時追うごとにまんなかの柔らかくあれ 豆を炊く午後
⭐︎春分の昼夜のような上弦の月を見上げば父の横顔
⭐︎ 新しく迎う茶碗は大きめにしよういのちを掬う手の形
⭐︎過去の傷 別れ選ばず共にあり共を癒した金継ぎの痕
★travelかtroubleなのか聞き取れず置き去りにして流るAM
卯月 April
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⭐︎ 日の当たる窓辺 返事を待ちながらオーニソガラムの蕾数えて
⭐︎「明日」の意を確かむように挿してゆくおひさま色の十本の薔薇
⭐︎口下手なウサギ 旗振るスタンプにほころびる春 甘いカフェオレ
⭐︎見も知らぬ吾に向けらる幼な子の笑顔がわらいなさいと言いて
⭐︎ セピア色した写真から微笑んでしあわせ?と問う遠き父母
⭐︎ 親愛のこれは密かなラブソング
“ Happy birthday to you ... ”
⭐︎ ドーナツのまるい穴から眺めれば平和しかない日曜の午後
⭐︎呼ばずとも熱きバターの引力の人と言葉を集めるちから
★春なのに硬くのの字にうずくまる青き幼虫 だいじょうぶだよ
ー ちる ー
3月に慣れ親しんだ職場を離れ、新しい生活のスタートとなりました。
これもわたしにとって大きな心境の変化であり 決断であり、転換でした。
変えること、変わることはちょっと不安もあるけれど、自分の気持ちに正直に進めばその後悔はありません。
それでダメなら また変えてみればいいんだから。
次回は 5月から8月をまとめます
どうぞよい一日を、よい一週間を