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こころ残り/阿刀田高

何を読んだか忘れましたが高校生の頃読んだこの方の本は、けっこう面白かった記憶があったのでいつかまたこの人の本を読みたいなーと思って今回読んだのですが。今ひとつで鐘二つ。という感じ

平たく言うと(私はよくこの平たい感想で友人を脱力させますが)、人生を半ば過ぎた女性または男性が昔を振り返ったり、配偶者が死んで(または離婚して)その後に知る真実、みたいな話が集まっています。

まあ人生って、そういうもそもそとした感じの他人が聞いたらあんまり面白くないエピソードがいくつかあるんだろうなぁ、と思うわけですが、
フィクションでしょ、物語でしょ、と思うと
もうちょっと何かこうおお!?みたいな山とか
「むむむ」という谷とかがあってもいいんじゃないのかなー、と思う次第です。
別にドラマティックな話を求めているわけではないのですが、一人一人の話を描いている割りには一般的過ぎてさらら~っと流れてしまう気がしてでもまあ「あるある、あるねー」と思うけど「本当にあるか?」と言われたらそうでもないような感じの話とかばっかりなんだけど。でもやっぱり「あるよある、別に驚かないよ」と思うような...
この「あるある」って思うのが好きな人(?)はこういうのを読んだら満足なのかもしれないけど、私は違った。ということがわかった。
でも浅田次郎さんの【姫椿】なんかは同じような地味な話だったと思うんだけど、ちょっと心に響くものがあって、うーむとしんみりしたりしたんだけど。

一体この本にある話は、何のせいで心に響かなかったんだろう?

足引山の話とかはまあ最後のとことかはふふって笑っちゃったけどね。
だからまあ面白くないとは言い切れないんだけど、どうもさらり~と読め過ぎてしまう。こちらがいろいろ考えることがないんだなー。

【こころ残り】と謳うなら、ちょっと違うかもだけど、村上さんの「タイランド」とかなんだっけドイツに半ズボン買いに行って離婚を決めた話とか(ああこれは本当の話だったっけ?)、そういう話のほうが、私的には心にどすんと来るものがあったような。
(「タイランド」なんかもう怖くて怖くて何度も読んでしまいますよ、自分にも【石】がある。とか思うともうコワイ)

ということで、この本を読み終わったら村上さんの本ってやっぱいいなぁと思ってしまった。
それってなんだかちょっといいかなーと思ってデートしてみたけどデートしている間に自分が実は誰が本当に好きかわかってその人のほうが恋しくなる、みたいなそんな気分。

  • 2010年09月17日 19:08

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