日差しのチカラ 光のカケラ
「光が強くなったね」
階段を降りて、車に乗ろうとドアに手をかけた時、ふとそう思った。
そうか、やっぱり変わったんだな。
夢の中で、光のカケラをたくさん集めていた。
周りのたくさんの人たちも、みんな楽しそうに歩き回ったり走り回ったりして、光のカケラを集めることに熱中していた。
光のカケラはいろんなところで見つかるようだ。
美味しいものを食べたお皿の中や、友人たちと楽しいおしゃべりしている部屋の隅。カフェのテラス席にあるパラソルの下にも。
可愛いぬいぐるみやおしゃれなバッグの後ろにもあったと話している親子連れもいた。
私はさっき、お花屋さんの切り花の間に隠れていたのを見つけたばかり。
子どもたちは、公園の滑り台の下や、砂遊びのバケツの底なんかから次々に見つけ出している。やっぱりこういうのは子どもの方が得意なのかな?
みんなで集めた光のカケラは、集合場所へ持って行ってタンクの中に放り込む。そこでカケラはひとつにされて、大きくなってどんどん強い光を放つようになるんだ。
そう、これから先の世界に持っていくため。
どうやらそれが本当になってきたようだ。
「とりあえず良かった」
まだ安心はできないのかな。。そう思いながらも、少しだけホッとした。
みんなカケラを見つけた場所の情報を交換している。そうだね、闇雲に探すよりずっと効率的だよね。
久しぶりに散歩をして、お店のショーウインドウを覗き込んでみた。あっ!マネキンさんの足元のブーツの中で何かが光っている!
慌ててお店に入ろうとしたら、女子高生とぶつかりそうになった。
「あれ・・見つけた?」「あ、そうなんです!」「じゃぁどうぞ!」
「いいんですか?ありがとうございます!やった!✧*。٩(ˊᗜˋ*)و✧*。」
喜ぶ女子高生。なんとも可愛くて、こちらまで嬉しくなった。
こんな効果もあるんだ。。。光のカケラは小さくても、そこにあるだけでみんなが幸せな氣分になる。不思議な力があるんだね。
これがあのタンクの中にどんどん溜まっていって、どんどん大きくなったら・・・
もう、キラッキラな出来事が起こる未来しか考えられないな。
そんなことを考えながら、一生懸命楽しんで、光のカケラを集め続けた。
夜になった。
カケラは静かに輝き続けていた。
光っているから見つけやすいけれど、集めるのは昼間だけの決まり。
夜はキラキラ輝いて、闇にさらわれてしまう人が出ないように見守ってくれている。
いろんなところにあって、いろんな形で、みんなを守ったり喜ばせたり、勇氣をくれたりする光のカケラ。
明日もまた明るくなったら集めよう。日差しをもっと強くするために。
おしまい
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