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ボカデュオ2024「月待ち」を歌って

こんにちは、chirinです。
VocaDuo2024で歌唱を担当させていただいた「月待ち」という楽曲についてお話させていただこうと思います。



作品の方向性

今回のボカデュオはボカロPのmtrikaさんからお誘いいただきました。
mtrikaさんの楽曲は以前から拝聴していて、その圧倒的なピアノの美しさに心を奪われていました。

昨年のmtrikaさんのチームのボカデュオ作品も大変美しく、正直羨ましく思っていた部分もあったので、お誘いいただいたときはとても嬉しい気持ちでした。

ボカデュオ2023でmtrikaさんが作曲を担当された作品。とても美しくおすすめです。

mtrikaさんが作られる楽曲の楽器構成はピアノのみ。
歌詞の内容も文学的なもので、非常に繊細な音楽を作られる方という印象でした。

対する私は、ただただ夏が好き、夏を歌いたいというような、繊細さには欠けたボーカル(?)で、メッセージ性のあるような歌詞を感情を込めて力強く歌うことを得意にしているのかなと思います。

そんな私とmtrikaさんの相性が良いものかと言われると、お互いやや首を傾げるような感じだったと思います。

そんな中、私をボーカルとしてこんな作品を作ったら面白いんじゃないかというアイデアがmtrikaさんの中で浮かんだそうです。
お誘いの時点でそれを明確に伝えてくださり、私もやってみたいと思うことができました。

mtrikaさんが考えられた作品の方向性については、mtrikaさんのnoteを読んでいただくのが一番伝わるかと思います。
mtrikaさんの書く文章、とても引き込まれます。


メンバー紹介

チーム名の「月を待つ街」は私が発案しました。
メンバーそれぞれの名前(主に頭文字)の組み合わせによるものです。

music : mtrika
vocal  : chirin *
illustration : 月空.
movie : マノマノ🌷
mix, arrange : 鴨頭草
(敬称略)

mtrikaさんがよく月に関するツイートをしていたのを拝見していたこともあり、ただの語呂合わせではなく、雰囲気的にもこのチームにぴったりかなと思いました。

このチーム名をもとに「月待ち」という作品が作られたわけですが、チーム名が決まった瞬間に曲のイメージが思い浮かんだとmtrikaさんはおっしゃっていたのでとても流石だなと感じました。

柔らかくて繊細な雰囲気のメンバーが集まってくださり、同じような空気感の中で制作をすることができたと思います。


楽曲理解

これまで私は、わかりやすい楽曲を歌うことが多かったと思います。
それに対し、mtrikaさんの作られる楽曲の歌詞は哲学的で、正直私には何を言っているのかよくわからないものばかりでした(笑)
もちろん、この月待ちも例外ではありません。

自分1人でこの楽曲を聴いたとき、私はおそらくこの楽曲の1割も理解することができていなかったと思います。
チームで話し合い、またmtrikaさんから解説いただきながら、少しずつ解釈を深めていきました。
しかし、mtrikaさんの思考はとても深くて、部分的に理解ができても、わからなくなってしまったり…結局私はこの楽曲の半分程度しか理解することが出来なかったのではないかと思います。

たくさん解説いただいたのですが、その細かな内容をここでお伝えするのは控えようかと思います。
それは、私が完全に理解できていないのと、mtrikaさんはそれを公にすることを望んでいないのではないかと思うからです。

でも、私がどのようなことを考えながら歌ったのかというのはお伝えさせていただこうと思います。


どう歌い表現するか

色を無くして 影を失くして

普段の私であれば、その感情を大袈裟に表現してしまうでしょう。
でもこの曲は、この曲の主人公はそうではないと感じました。

ぼんやり空を見ているイメージ、
そのようにmtrikaさんは話されていたのですが、
外から見たら感情が見えない、
けれどもきっと頭の中では、心の中では、強い感情を抱えている、
この曲の主人公像を私はそう考えました。

なので、そのようなイメージで歌うということを楽曲を通して意識していたと思います。

しかし、一つだけ例外箇所があります。
それは1番のサビです。
この楽曲はサビのメロディが2つ存在していて、1番と2番のサビは全く異なっています。
表現が適切かわかりませんが、1番のサビは楽曲を通して唯一(?)私が歌いやすいような、普段のイメージに近いようなメロディラインにしてくださっているそうです。
正直、私自身もここのフレーズが一番お気に入りで、あまり深いことは考えず、ただただ自分らしく、純粋に楽曲の良さを表現するような意識で歌えたかなと思います。

落ちサビは1番サビと同じメロディラインです。
落ちサビというのは歌の聴かせどころ、最も感情を込めるところ、そのようなイメージを私は持っていて、普段の私なら思いっきり感情を込めるのですが、今回に限ってはそのようなことは一切考えませんでした。
mtrikaさんの楽曲はピアノだけと言えど、ピアノを使ってベースや打楽器など様々な楽器の音も表現されています。
しかし、落ちサビ(前半)は完全にピアノだけになります。
ピアノ伴奏とボーカル1本の構成、ボーカルが頼れるものはピアノしかありません。
リズムや音程が掴みにくいその箇所では、とにかくピアノの演奏に寄り添うということを意識しました。

少しだけ楽曲の世界から離れて、
真っ白な部屋にピアノが一つ、mtrikaさんがピアノを弾いていて、その横で私が立って歌っている、
そして少しだけ楽曲の世界に戻って、窓の外の景色は雨上がりの新緑、勝手ながらそのようなイメージで歌わせていただきました。


隠された私らしさ

月待ちに限らず、mtrikaさんの楽曲はあまり感情が表に出ていないものが多いと思います。
情景や事実が淡々と綴られていく、そのようなイメージでしょうか。

しかし、月待ちには主人公の感情がはっきり吐き出されている部分があります。
ある意味少し異質かもしれません。

大サビの「もういないって教えてよ」というフレーズ。
実は、私が唯一自身で作詞作曲したオリジナル曲である「解夏十六時のニュース」という楽曲の一節をモチーフにしてくださったというのです。


楽曲の背景も、このフレーズに込められた思いも、全く異なるものではありますが、
私らしい要素を取り入れていただけたこと、とても嬉しく感動しました。
そして、やはり私は感情をあからさまに表現するタイプなのかもしれないなと気付かされた次第です…


おわりに

この月待ちという楽曲は、本当にたくさんのことを考えられて作られたものだと思います。
これだけたくさん話しても、まだまだ話し足りないことばかりです。

イラストや動画、コーラスアレンジやMIXについては全然触れることができませんでしたが、
どれも大変素晴らしく、たくさんこだわって作り上げていただいています。
その全てが、この作品の世界観を押し上げていると思うので、ぜひそれぞれにも注目しながらご視聴いただけると嬉しいです。

今回、この作品に携わらせていただき、非常に勉強になることが多く、何よりとても楽しく良い経験になりました。
一緒に制作してくださったメンバーに、改めて御礼申し上げます。

長くなりましたが、最後まで読んでいただきありがとうございました。
ぜひ、今後も月待ちという作品を愛していただけたら幸いです。

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