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ボカデュオ2022『未来のカタチ』楽曲解釈(歌唱担当側から)
こんにちは。
普段歌を歌うなどして活動しているchirin *(ちりん)と申します。
制作に携わった作品について、考えたことなどを記録に残しておきたい、とずっと考えていて、今回noteに書き起こしてみることにしました。
今回お話させていただくのはボカデュオという企画において歌唱を担当させていただいた『未来のカタチ』という作品についてです。
ボカデュオとは
ボカデュオとは、「歌い手・ボカロP・絵師・動画師・MIX師等」でチームを組み曲を完成させる企画です。(ボカデュオ公式Twitterより)
これまでに過去2回開催されており、現在は今年7月に開催されるボカデュオ2023の準備期間となっています。
ボカデュオ2023ではAdoさんも参加を表明されるなど、これまで以上に界隈は盛り上がっている印象を受けます。
今回お話しするのは、昨年5月に投稿されたボカデュオ2022における作品になります。
チームBlue Irisの紹介
Music. Reizu
Vocal. chirin *
Illustration. Nia
Movie. ぇる
Mix. こうよう。
(敬称略)
以上の5人のメンバーにて構成されたチームでした。
元々、私が一方的にReizuさんの楽曲が好きでよく聴いていたのですが、チームを組む段階では交流は全くありませんでした。
たまたまReizuさんがボカデュオに参加されるというツイートが流れてきて、勇気を振り絞ってお声がけし、チームを組ませていただきました。
Reizuさんといえば青くて綺麗な楽曲を作られるボカロPさん。
その他のメンバーの集まり方は様々でしたが、本当に青が似合うメンバーが集結して、その雰囲気の一致具合に「これは絶対に良い作品ができる」と確信したものです。
私たっての希望で夏をテーマにした作品を作ることが決まっていたので、チーム名は夏の季語からアイデアを拝借することになりました。
そこで選ばれたのがアイリス。
我々のイメージカラーでもある青色のアイリスの花言葉には「大きな志、信念、希望」等があるとのことで、チーム一丸となって一つの作品の完成を目指すこの状況にぴったりだという話になりました。
そしてチームBlue Irisが誕生します。
Reizuさんのチャンネルで公開されているIA ver.
こちらもぜひご視聴ください。
『未来のカタチ』を初めて聴いた時の感動
長くなりましたが、本題に入ります。
先にお話ししたように、作品の方向性としては夏の曲ということが決まっていました。
むしろそれ以上は決まっておらず、他は完全にReizuさんにお任せでした。(Reizuさんの曲であれば絶対にどれも良いし、絶対に自分の歌声ともマッチするという自信があったとも言えます。笑)
『未来のカタチ』のデモが届いた時に、まずその曲名に私は驚きました。
Reizuさんといえば代表曲『夢幻夏』を始め、『終わる幻想 続く夏』『early summer』など一目で夏の曲だとわかるものが多いです。
だからこそ、Reizuさんらしくない、と良い意味で期待を裏切られた気分でした。
そしてデモを聴いた時に最初に聴こえてきた歌詞にとても感動したことを今でもはっきり覚えています。
未来の概形は
どんなものだろう?
見えないし聞こえもしない
何も分からなくて
何をそんなに感動したのかというと、
これまで私が人生を歩んできた中で、強く思い続けてきたことが書かれていたからです。
なぜ私のことがわかるのだろう、と驚いたと同時に、私のために作られた曲だ、私が歌うべき曲だ、と強く感じました。
正直ボカデュオというのはお祭りであって、ワイワイ楽しく作品を作り上げるもの、出来上がってくる曲も明るい雰囲気のものだと勝手に想像していました。
そのため、そんなイメージとは正反対のメッセージ性の強い楽曲が出来上がってきたことに、とても驚きました。
よく、「音楽で人の人生を変えたい」といいます。
私も音楽で人生を救われてきた人間であり、そのように考えることが多々あります。
私は、この『未来のカタチ』という曲で人の人生を変えることができる、そう強く感じました。
だからこそ、本気で歌わなければならないと思いました。
録音前に歌詞の解釈を固めた
私はこれまでにも歌唱提供、いわゆるオリジナル曲を歌わせていただくという経験はありました。
その際には作詞者様から聞いた歌詞の解釈を自分なりに頭の中で思い浮かべながら歌唱していました。
それに対し、『未来のカタチ』に関しては、いつも以上に本気で歌おうと考えたために、私は歌詞の一言一句全てを理解したいと考え、私なりの歌詞解釈を歌唱前に文章に起こすことにしました。
事前にReizuさんからいただいた楽曲のイメージは、「感染症や災害などで大変なご時世の中、夢や将来を思うように進めない方々を励ませるように。」というものでした。
それだけが伝えられ、聴き手それぞれに解釈の余地がありました。
その楽曲イメージを聞いたとき、私はまたさらに感動しました。
私は自分自身が未来に悩んでいたことを歌詞に照らし合わせてこの曲を聴いていました。
ですが、私はReizuさんがおっしゃっているような感染症や災害での被害などは受けず、ごく幸せに人生を歩んできました。
だから、私なんかよりももっと苦しんでいる人に向けてこの曲は届けなければならないと感じました。
そして私がこの曲を解釈するにあたって、Reizuさんからいただいたイメージに+αして、今のこのご時世だけではなく、境遇(家庭環境など)で未来に悩んでいる人も励ましたいと考えました。
私自身は家庭環境には概ね恵まれて、何不自由なく人生を歩んでくることができたと思います。
しかし、中には片親であったり、親がいなかったり、家族に問題を抱えていたり、金銭的不自由があったり、自分自身がいくら努力しても思うような人生を進めない方もいると思います。
そんな方にもこの曲を届けたい、そう考えて楽曲の解釈を考えました。
以下は、実際に私が歌の録音をする前に書き起こした『未来のカタチ』の歌詞解釈になります。
これを頭に浮かべながら、全フレーズ、一言一句大切に歌わせていただきました。
当時書いたものをそのままコピペしていますので、不備等あるかと思いますが、私はこんなことを考えて歌ったんだな、というのを感じていただけたら幸いです。
1番Aメロ
いろんなもの(災害や感染症、境遇など)の影響で未来が閉ざされてしまって、未来を想像することができない
1番Bメロ
でも、未来が閉ざされてしまったと決めつけているのは自分次第だ
この先未来をどう進めていくことができるか、可能性は無限大であるのに
1番サビ
明日は自分次第で、まだ何も決まりきっていない透明だ
そこに僕はどのような人生を歩むだろうか
もがいても、理想には届かないようにも感じる
だけど、そんな今をただひたすら生きていくんだ
僕が描いている未来はすごく深くて大きなものだ
僕が幼い頃から描いてきたものだ
未来は自分が思うように進んでる?
この先の未来がどうなっていくのか教えてほしい
少しでも未来に希望を持つことができたなら
2番Aメロ
自分の未来は自分が思うように進んでいくものだと思っていた
努力すれば叶えられると思っていた、そう期待していた
だけど、いろんなものの影響で自分の未来が閉ざされてしまったように思う
2番Bメロ
そんな小さな考え(思うような未来を歩むことができないのは自分自身ではなくいろんなものの影響のせいとする考え)で生きていても
辛くなるのは自分自身なんだってわかっているのに
2番Cメロ
それでももがいて未来を進んでみようと思うこともあった
だけど、今だけは休むのを許してほしい(休んでみてもいいんだよ)
思う通りに進むことができないと泣いた日もあった
でもそれは夢が閉ざされたというわけじゃない
その涙があって、またさらに僕は頑張ることができる
2番サビ
今、この瞬間も何も決まりきっていない透明でどうだって進むことができる
夏は蝉の声が五月蝿いけれど、それすら耳に届かないくらいに僕は悩んでいる
深くて純粋な夢を描いていた昔の自分も、今の不甲斐ない自分をどうか認めてほしい
ラスサビ
何も決まりきっていない明日、僕はどのような姿をしているだろうか
過去も今も明日も、描いていた未来を強く願っていてそれが揺らぐことなんてない
この先どうなっていくのかほんの少しだけでもいいから教えてほしい
過去の自分よ、未来は明るいって言ってくれないか?
ほんの少しでもそう言ってくれたら、僕はきっとこの先をまた頑張っていけるから
終わりに
曲というのは、聴き手それぞれの解釈で、聴き手それぞれに響くように、聴いていただければ良いと思います。
おそらくReizuさんもそのような考えがあって、深い解釈を我々に伝えていないのだとも思います。
ぜひ皆さまそれぞれの視点で、『未来のカタチ』という作品を愛していただけたら幸いです。
改めて、Blue Irisメンバーの皆さま、『未来のカタチ』をご視聴くださった皆さま、本当にありがとうございました。
ぜひ、これからもよろしくお願いいたします。
とても長くなってしまいましたが、最後まで読んでいただきありがとうございました。
イラストを担当されたNiaさんが書かれたnoteもあります。
ぜひこちらも読んでみてください。