ボカデュオ2023「pale color」楽曲解釈(歌唱担当側から)
こんにちは、chirin *です。
今回はボカデュオ2023にて歌唱を担当させていただいた「pale color」という楽曲について、私なりの解釈をお話ししていきたいと思います。
チームAzure Citronの紹介
まず、メンバーをご紹介させていただきます。(敬称略)
ボカデュオ2023に参加したいなと思い、募集を探していたときに出会ったのがボカロPの焦利さんでした。
焦利さんは、当時まだ一曲しか投稿されていませんでしたが、その楽曲に心を掴まれ、ずっと頭から離れなくなり、お誘いをさせていただきました。
まだ一曲しか投稿されていなかったため、焦利さんが制作される曲調などを理解できているわけではなく、果たして私の歌声と相性良くできるだろうか、焦利さんは私と制作したいと思ってくださるだろうか、そんな不安がありましたが、すぐに良いお返事をいただけてとても嬉しかったことを覚えています。
初めましてだったにも関わらず、私の好みを考慮して夏の曲を作ると言ってくださったときはとても嬉しくありがたい気持ちになりました。
pale color から受けた印象
「pale color」という楽曲が出来上がってきた頃に、焦利さんがどのようなテーマで制作をしたのか伺いました。
「過去に後悔を残した人が少しでも前を向けるように」というものでした。
楽曲を聴いて感じたのは、この「後悔」というのは、個人的なものではなく、他人が関わるようなもっと大きくて深いものではないか、ということです。
例えば不慮の事故で大切な人をなくした、具体的には東日本大震災のことが頭に浮かびました。
「傷ついたままなのに笑っている」
ずっと心に傷が残っているけれど、まるで何もなかったかのように涼しい顔で笑っている、涼しげな曲調に併せてそんな主人公の姿が思い浮かびました。
曲の主人公と自分が重なり合う
この曲の中で、私が最も好きなのは落ちサビです。
歌詞の内容が、まるで私そのものを表現しているように感じたからです。
「つまらない私の話も 似合わない澄み切った笑顔も」
私は人と話すのがあまり得意ではなくて、面白い会話を交わすことができません。
あまり他人への興味もなくて、人の話を楽しく聞くこともできません。
気の利いた返しなど何もできないけれど、でも良い印象を与えなければ、と笑顔だけは絶やしません。
「いつも笑ってるよね」とよく言われますが、おそらくその笑顔に中身はないのでしょう。
「褪せたって 未完成だって 私だけの色なんだ」
そんな自分が嫌だな、と感じることは多々あります。
でも、それも含めて私自身のアイデンティティなのだと思いました。
今回のボカデュオでは、mixを担当してくださったkumaさんにボーカルディレクションをしていただきました。
最初、私はこの落ちサビ部分を他パートに比べて控えめに歌っていました。
落ちサビは静かに心を込めて歌うもの、という私の中での固定概念があったからです。
しかし、kumaさんからいただいたアドバイスは、「落ちサビでボーカルを落とさない」というものでした。
オケが控えめになるからこそ、ボーカルが立ってこなければいけない、ここはボーカルが主役になるべき箇所であると教えていただきました。
そのアドバイスをもとに歌い直した落ちサビは、より感情が伝わる素敵なパートになったのではないかと思います。
映像が合わさって感じたこと
イラスト、そして映像が合わさって、私は少し驚いたことがありました。
これは、私が勝手に解釈していることですので、全く異なっているかもしれないということを前置きしておきます。
Nehai_11さんのイラストは、東日本大震災で津波によって流されてしまった町を描いているように見えました。
そして、mebiaさんによって作り出された映像も、最初のAメロで電柱や標識にフォーカスを当てており、津波による被害を想像させられるものでした。
チームでここまでの細かい話し合いは全く行っていなかったのですが、私がイメージしていた東日本大震災での被害、というものをメンバー全員が描いてくれているように感じてとても驚きました。
今回のチームのクリエイターはとても若い方ばかりで、おそらく東日本大地震を経験したのは物心ついて間もない頃だったと思います。
ほとんど記憶にないであろうその事実をこのように描いていることにとても感銘を受けました。
近い将来、東日本大地震を経験していない、知らない方たちが社会で活躍する時代がやってくると思います。
そんな中でやはりこの事実は風化してはいけないと考えます。
今回、若いクリエイターの皆さんとこのような作品を制作することができたのは、とても意味のあることだったと個人的には感じています。
最後に
最後になりますが、今回このような素敵な作品を一緒に作り上げてくださったチームメンバーの皆さま、そして聴いてくださった皆さま、本当にありがとうございました。
これからも「pale color」という作品を愛していただけたら幸いです。
とても長くなりましたが、最後までお読みいただきありがとうございました。
(追伸)
今回も、歌詞全てに対して私なりの解釈を歌唱前に書き留めていました。
あくまでも私の解釈になりますが、もしよければご覧ください。