ひだまりの寝室
毎晩夫と2人でアべマプライムを見ている。出演しているひろゆきが論破する様子が面白かったり、政治的なテーマで考えさせられたりするのだが、昨日は「結婚前の同棲はあり?なし?」「夫婦別寝はあり?なし?」というテーマの番組を見ていた。
番組出演者のほとんどが「結婚前の同棲あり派」だった。ひろゆきは「結婚前に同棲を拒む人は地雷」とも言っていた。
「地雷って言われてるなぁ~」
あたしは結婚前の同棲はなし派。夫と交際しているときに同棲の誘いを受けたが断り、あたしたちは同棲を挟まずに結婚した。
「ほら~あり派ばっかりやん」
「なんでありなの?」
「今は結婚生活上手くいってると俺は思ってるねんけど、上手くいかへんかったときに困るやん」
「そうなったら離婚したらいいじゃん」
「離婚はダメやろ~」
「それってあたしと一生居たいってこと?もぉ~」
冗談めかして笑って言いながら、夫を小突いた。
なぜあたしが結婚前の同棲なし派か。それは離婚の方が同棲解消よりマシだと思ってるから。
結婚しちゃえば、好きな人の奥さんとして、彼の記憶の中に一生住めるのだ。結婚も離婚も、好きな人の人生に自分の爪痕を刻む効果は抜群だ。
番組のテーマは「夫婦別寝はあり?なし?」に移った。
あたしは結婚前から夫婦別寝にすると決めていたし、一緒に住んでからしばらくは週末以外別々で寝ていた。しかしここ1か月、あたしたちは毎晩一緒に寝ている。
「やっぱり人と寝るストレスは大きいですよ」
「起きる時間や適切な温度も違うし、別々の方が良い」
番組ではそういった意見が目立った。
「やっぱり別で寝た方がいいんかな・・・」
「俺もそう思うで。週末だけ一緒に寝る方がレア感あるやん」
「今日は別々で寝よっかな」
少し寂しい気もしたが、寒くなってきてから毎晩布団を取り合っていたし、一緒に寝ることが当たり前になるのも良くないと思いそう決めた。
別々の寝室に向かう。
「おやすみ」と彼に声をかけて、自室の布団に潜った。楽天で3000円で購入したシンサレートという化学繊維の生地の布団は、値段以上に温かい。iPhoneに充電器を挿して寝ようとしたとき、後ろに人の気配を感じた。
「うわっ」
彼が静かに忍び寄ってきていた。夜道で見る猫みたいに目が光っていて、若干怖かった。
「俺はこの布団で寝たいねん!」
彼はスピーディにあたしの布団をはぎ取り、彼の寝室へ向かう。
「もぉ~!あたしと寝たいんでしょ!」
iPhoneを充電器からむしり取り、彼を追いかけた。
「ちゃうで。俺はこの布団で寝たいだけやねん」
彼はあたしの布団を丁寧に敷いて、布団の中に入った。そして左側をポンポンと叩いた。
「もぉ~」
と言いながらあたしは彼の左側に潜り込む。昨晩と同じように一緒にYouTubeを見た。今日は生き物の動画と、彼が好きなクイズ王YouTuberのチャンネル。途中で眠くなってうとうとすると、彼に頬を叩かれる。起きて一緒にクイズを解く。
頃合いを見て彼がスマホをオフにし、おやすみと声をかけることもなく寝る。
南向きの彼の部屋には朝日がたっぷりと注がれる。眩しくて起きて、時計を見るついでに隣で眠る彼を見る。もう一度眠る。
彼と毎晩一緒に寝たい。でも毎晩特別であってほしい。昨夜の番組は、ちょうどいいスパイスだったかも。
↓一緒に寝るようになったきっかけ
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