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母と祖父とチョコレートと
私は母方の祖父に会った事は無い。
早くに亡くなってしまった。。
しかし
祖母や母からよく聞いていた話の中で
少し人物像は出来上がっている。
祖父は大工さん。
物静かで滅多に怒らない人。
優しく微笑んでいてひたすら真面目に仕事に取り組む人。
そして
母から何度も聞くエピソードに胸がほっこりする。
母は幼少期喘息にかかっていた。
夜間よく発作を起こしていたらしく、大変辛い思いをしたらしい。
その度に夜間
祖父はバイクの後ろに母を乗せ、かかりつけの病院で点滴をしてもらっていたと。。
喘息は幼少期過ぎたら治ったようだ。
祖父はそんな娘の辛い姿を不憫に思っていたのだろうか。
厳しかった祖母の目を盗み、母の布団の中にはこっそり一枚のチョコレートがよく入っていた。と。
家族が多くチョコレートも結構高級品だった時代、そんな事をしてくれる祖父は優しくて
何だか格好良い。
その後何事も無かった様に下の作業場で
夜間、一人黙々と大工の仕事をする職人。
その話を聞く度に、夜の作業場のライトの下
黙々と作業する中年男性の姿が何故か浮かぶ。
私は未熟過ぎてきっと天国の祖父に日々怒られているだろうな。
立派な人間にはなれないけど
私はそんな優しい人の孫に生まれて幸せだな。