見知らぬ街で
暫く前のお話。
青春時代を共に過ごし、長年一緒にいた彼がいた。
突然の彼の転勤により地元からかなり遠方の名古屋へたった二人で引っ越した。
互いに右も左も分からず、知り合いも居ない。
沢山の家電を揃え、新生活を始めた。
彼が仕事に行く初日
仕事に行く姿を見届けた後、全く見知らぬ土地の静寂と心細さで少しだけ泣いていた。
しかし自身は割と順応性が高い事をその引っ越しで初めて知り、少し驚く。
一人で即る◯ぶを購入し、散歩したり、電車乗ったり、ナビを使ったりして様々な楽しい場所を見つけては休日に彼を連れて行き喜ばせた。
早い時期から短時間の仕事も見つけ、知り合いも出来、仲間達とランチしたり飲みに行く事もあった。
日々変わらなかったのは
残業し夜遅く自転車で帰ってくる彼を何気に暗い窓からまだかな〜♫と待っていた(怖い、重い)
自転車の音がして、彼は階段を駆け上がって来る。
しかし私達はまだまだ子供だったのだろう。
様々な原因で結局はお別れが来てしまった。
彼はすでに結婚し多分幸せに暮らしているだろう。連絡先すらもう知らない。
きっとそれで良かったんだ。
後悔は無いけれど、ふとした瞬間に遠方で見た様々な懐かしい景色を思い出す。
一人で新幹線に乗り地元に帰る時、目には涙が溢れていた。長い年月が終わったんだと。。
私にも健気で可愛らしい時代があったんだな。
あの頃よりシワは増えた(笑)
皆そんな思い出を抱えながら生きている。
見知らぬ街での思い出。