ピンの価値とは(前編)
最初に言いますが、自分のピンの価値は自分で決めるものです。どこにも絶対的な正解はありません。
しかし、ある程度客観的に価値を推し量るための指標は存在します。正しく価値を認識することは、自分を守り、相手を傷つけることを防ぎ、円滑なトレードをすることに繋がります。
今回は前編として、「ピンの価値」 (value) というものを知ることが必要になった背景について書きます。
フェアなトレードって何?
当事者同士がお互いに納得している状態がフェアなピントレードだと私は思います。もちろん部外者がその様子を見て「あのトレードはちょっと無いわ…」と思うこともあるのですが、当事者がお互いハッピーなら部外者が何と言おうといいと思います。
ところが現実的には、トレードは断ったり断られたりの連続です。もちろん成立しない理由は「欲しいピンじゃないから」「既に持っているから」など様々ですが、「そのピンとこのピンではつり合わない」という理由で不成立になることも多いのです。つまり、当事者のうちいずれかが「このトレードはフェアではない」と感じている状態です。
では、「つり合う」「つり合わない」とは、どう判断すればいいのでしょうか?
エディションサイズ以外の指標が必要とされる背景
私がピントレーディングを始めた2007年頃は、LE数さえ気にしていれば容易にお互いが納得するトレードができました。
ところが近年、ピンの人気が高まるにつれ、LE数だけでは片付けられないいろいろな尺度を重視する人が増えてきました。
同じLEであっても、長期にわたり売れ残るピンがある一方で、発売後10分も経たずに完売するピンもあります。昔のピンの中には、LEでもないのに全く出回らない、出会うことすら難しいものがあります。定価にはもともとばらつきがあります。イベント参加者限定ピンなど、ピンを手に入れるために多額の出費を伴うピンがあります。そしてピンに対する愛着もまた、人によってもピンによっても異なります。
このように、複数の要素が複雑に絡み合い、ピンの価値を既存の単一の客観的尺度で比較することが難しくなってきました。そこでピンの価値を、定価とは異なる「価値」(value)という金銭的指標で比較するという考え方が持ち込まれたのです。
フェアとアンフェアを説明する要素
ここでひとつ、質問です。
なかなか市場に出回っておらず、苦労して見つけて定価より高い価格で手に入れたLE 1000のピンと、海外パークでたまたま売れ残っていたので定価で買ったLE 500のピンをトレードすることは、フェアですか?アンフェアですか?
もしアンフェアだとしたら、一体どちらに有利なトレードなのでしょうか?
LE数だけで見ると、「アンフェアです。LE 1000を持っている人に有利です。」という答えになるのですが、さて、実際のピンに置き換えたときに、納得していただけるでしょうか?
※前提として、あなたもトレード相手もティンカーベルや7人の小人のコレクターではないと仮定します。
繰り返しますが、これをフェアと受け取るかどうかはトレードをする当事者同士の判断です。
ただ、もしあなたがこのLE 1000を持っていたとして、「これWDIだから一般の人は購入できないし、昔のピンで入手するの大変だったのになぁ…いくら相手のピンがLE 500と言っても、これ2ヶ月売れ残ってたの知ってるし…(実話)」とモヤモヤし始めたとき、そのモヤモヤの原因はピンの「価値」というものが明確に答えてくれます。
つづく。