
名作にもクソ駄作にもなりそうでハラハラして目が離せない!「スケルトン・クルー」
スケルトン・クルー第五話視聴。
毎週更新という、記憶喪失気味の人間には厳しいリリース方法と言えるのに、ストーリーがわかりやすく、各エピソードも印象的なので、「前回の話が思い出せない…」ということはないのだった。
落とした後に褒めます。
正直言って、「子役の演技がもう少しうまければ…」と思う局面はある。思春期に差し掛かりつつある少年少女像、というのがうまく表現されておらず、大人になりかけの少年、少女という複雑な表現が揃いも揃ってできていないので、個が際立っていかない感じ。まあ、鼻が象のお友達に「演技力が…」とかいうのもアレなんですけど、なんかこう、「もうこれ以上はどうにもならないし、この拙さも込みで楽しんで!ハイ!このまま行きます!」という製作陣のうっすらとした匙投げも感じてしまう。もういっそ、全員9ちゃい!ぐらいの完全無欠ぴゅあぴゅあお子ちゃまチームにしてしまった方がよかったんじゃないだろうか?
そして演技力の問題だけではなく、特にストーリーを引っ張っていくはずのヴィムとファラのキャラクターがあまりにも弱い。このブログ書くのに、名前すら覚えられてなくて調べました。それぐらい薄い。
ジュード・ロウが表情ひとつ、動き方ひとつ、コメディ要素ひとつ、悪人なのか善人なのか、もうそのどちらでもない、と言った表現が、全てがさすがの熟練と言ったところで、見ている側はついついその魅力にジュード・ロウのほうに肩入れして、「物分かりの悪いガキと、ガラの悪いドロイド〜ッ!ああ〜ストレス〜ッ!もういっそジュード・ロウの悪人とばちばち、騙し騙され銀河大冒険ストーリーで見たいよ〜ッ!」みたいな気持ちになるのは無理からぬことじゃないかと思う。
だが、7歳の娘は!この子役4人を「よりしろ」にして!すごく物語を楽しんでいるのだ!
余談になるけれど、うちの娘(7歳)は、ディズニーチャンネルで低年齢向けアニメ「ヤングジェダイアドベンチャー」(ぬいぐるみみたいな青いもふもふのくまちゃん星人がジェダイとして修行の傍ら、子猫を助けたりするようなアニメ)を履修しているので、ライトセーバーとかフォースとかジェダイは理解している。ヨーダも知ってる笑
スケルトン・クルーを晩御飯を作りながら見ていた私の横で子供が視聴し始め「これ最初から見たい」っていうので一緒に見るようになった。
娘は自分が物語に入り込んだように主人公4人の「家に帰りたい」という気持ちを共有して、ハラハラと展開を見守っている!そのハラハラ感は、まるで「リアクション動画みたいだな…」と思うレベル。手に汗握る、とはまさにこのこと、というようにハラハラ感を楽しんでいるのだ。
私から見るといささか空洞に思える子役のキャラクター、いささか幼稚に思える正義感、いささか甘ちゃんに思える要求、いささかチープに思える展開…などがちょうどよく娘にはフィットしているようだ。
うちの娘は格別に物語に対して感受性が強い、というタイプではないので、正直意外だった。あまりに視聴を楽しんでいる。そこで私はキッズ目線で再視聴してみることにした。
そうするとスケルトン・クルーは徹底的にキッズの目線を意識した作りになっていて、ストーリーに大事だが難しいセリフにはフォローが入り(「造幣局」という単語が出てくると子役が「造幣局って何?」と聞き返して「お金を作るところだよ」と説明してくれる)飽きさせないテンポで目まぐるしく冒険が続く。謎は引っ張りすぎないし、ドロイドの目の中にネズミも住んでるし、旅の目的も「家に帰る」というわかりやすすぎるキッズの根源的欲求だ。(旅の目的が何なのかさっぱりわからないモアナ2はこのわかりやすさを見習ってほしい)
ドロイドを命令で用心棒にしたり、賄賂の使い方も「それでいいの?」と思うほど、あからさまにわかりやすい。
まじか。キッズ目線で見たほうが、5割増しぐらいで面白い。
子役は全員9ちゃい!ジュード・ロウパパがわがままな子供に振り回されまくる話では、育児経験のある親世代の心は掴めても(日常なので)、子供の心は掴めない。
私には若干物足りなく感じる、「複雑さのない少年少女像」は、感情のやり取りにパワーを使いすぎず、うまいことキッズの「よりしろ」として作用している。極端に賢い、極端に我慢強い、極端に身体能力が高い、極端に目端の効く、そういう子役4人が主人公では、こうはならない。
名作になり得るポテンシャルがすごい。「子供時代にこれ本当に好きだったな〜」という、現代の40代にとっての「グーニーズ」的立ち位置に君臨できる可能性がある。(有料配信という足枷があるにせよ…)この立ち位置は強い。ノスタルジーは強い。私なんかこの歳になっても小学生の頃に見たトリロジーの追体験しようとしてるって思うもん。あのワクワクを一生忘れられない…。
つまり「スケルトン・クルー」は多分これで正解なんだろう。
大人、オタク、マニア、高齢化向きの一途をたどるシリーズに新たな一石を投じ、新たな世代を獲得すべく、新時代の「グーニーズ」として、SWとは一線を画したストーリー。
手詰まり感のあるSWシリーズの中で、過去に囚われずそのフォーマットだけを生かし切っているのが、新鮮に見える。
キッズの目線で見ると五割り増しに面白い「スケルトン・クルー」だが、大人の鑑賞にも十分耐えうる。何ともいえず、子供時代を掘り起こされたかのように、ワクワクする。
ジュード・ロウがフォース(?)を使うたびに、ワクワクが止まらなくなってしまう。この落ぶれた(?)ジェダイ(?)が、ライトセーバー使うとこ、み、み、見たい〜ッッ!!!
私はSWシリーズを追っている身でありながら「フォース!ぬううん!」「ライトセーバーフォンフォン!」「ダークサイドを求める弱さは己の心の中に(精神世界の旅へ…)」とかに若干飽きてしまってて、「キャシアン・アンドー」これこれッ!これが見たかった!ってなってる状態なんですね。それなのに、もうこっちも童心に帰ってただただジュード・ロウがライトセーバーフォンフォンッ!するとこ見たい〜!ってなってるわけです。
果たしてこのまま、この路線を最後まで貫けるのか??
徹底的にキッズの目線で新世代を獲得すべく作っているっぽいこのシリーズ。果たして最後までこの路線を貫けるのだろうか?貫けば、名作になる可能性があるが、既存作ファンへのサービスが中心になってしまったら、このシリーズは終わると思う。キッズにとっては「親がうんちく垂れてくる、ダルいドラマ」に変貌する。この路線で十分面白いからサービスいらない。ジャバ・ザ・ハットのちょい出、それぐらいの塩梅でいいです。この冒険譚を楽しむキッズの横で親が内心で「あっ、ジャバだ!」と思うくらい。
今作が、キッズ、子供時代の思い出の名作になることを、願ってやまない。我が子と一緒に映画という冒険をしたいんだ〜!
追記 六話見たら子役めっちゃいいと思った…。全員超好きになってきた…!!!がんばって!!!