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古今集巻第十九 雑躰誹諧歌 1043番
題しらず
よみ人しらず
いでてゆかむ人をとどめむよしなきにとなりのかたにはなもひぬかな
出でて行かむ人を留めむ由なきに隣の方に鼻も嚏ぬかな
出て行こうとする人を思い留めさせる方法もないし、隣の家ではくしゃみをすることもない
女の家に男が通って来て、帰ろうとする、それを止めたいけれど方法もないし、隣の家でくしゃみでもしてくれると良いけど、それもない、という歌です。
「鼻を嚏る(ひる)」は、くしゃみをすることです。くしゃみは縁起が悪いこととされていて、外出を控えるものとされていたそうです。なので、隣の家でも良いから、くしゃみをしてくれると、男は帰らないかもしれないと女は考えたようです。
今でも年配の人は、くしゃみの時に「はーくしょん、畜生!」とか「はーくしょん、くそっ!」とかおっしゃいますから、縁起が悪いことの名残だと思います。
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