古今集巻第十八 雑歌下 993番
寛平御時に、もろこしのはう官にめされて侍りける時に、東宮のさぶらひにて、をのこども酒たうべけるついでによみ侍りける
藤原ただふさ
なよ竹のよながきうへに初霜のおきゐてものを思ふころかな
寛平の御時に、唐の判官に召されて侍りける時に、東宮の侍にて、男共酒賜べける序に詠み侍りける
藤原忠房
弱竹の夜長き上に初霜の起き居て物を思ふ頃かな
宇多天皇の寛平の御時に、遣唐使の判官に任命された時に、東宮に仕える者の詰め所で、男達がお酒を賜った時に詠んだ歌
藤原忠房
細い竹の節の間のように長い夜、初霜が降り、起きていて、物思いをするものだ
「なよたけ(弱竹)」は、細い竹。
「よながき」は、「節と節の間(よ)が長い」と、「夜長き」の掛詞。
「初霜の起き居て」は、「初霜の置き(初霜が降りる)」と「起き居て(起きて座る)」の掛詞。
飾りの言葉を省くと「秋の夜長に起きて物思いをしている」ということです。
「ほうがん(判官)」は、第3等官。大使、副使に次ぐ3番目の役職。
この寛平の遣唐使は、菅原道真が提案して中止になり、以降、廃止になりました。
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