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古今集巻第十九 雑躰誹諧歌 1066番
題しらず
よみ人しらず
梅の花咲きてののちのみなればやすきものとのみ人のいふらむ
梅の花咲きての後の実なればや、酸き物とのみ人の言ふらむ
梅の花が咲いた後の実であるから、酸っぱい物とばかり人は言うのだろうか、我が身は花のような時は過ぎたから、恋に溺れるだけの女と人が言うのだろうか
梅の花の後は実がなるが、ただ酸っぱいだけだと避けられる、そして私は、梅の白い花のような若く美しい時は過ぎて、それなりの年齢になっているのに、まだ男を通わせているので、世間から悪口を言われるという歌です。
梅の「実」と我が「身」、「酸き物」と「好色者(すきもの)」が掛詞です。
「好色者、好き者(すきもの)」は、楽器や和歌に長じた風流な人のことですが、ここでは単なる好色な人と悪い意味で使われています。
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