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古今集巻第十九 雑躰誹諧歌 1061番
題しらず
よみ人しらず
世の中のうきたびごとに身をなげば深き谷こそあさくなりなめ
世の中の憂き度毎に身を投げば、深き谷こそ浅くなりなめ
世の中のことを悲しく思うたびごとに身投げをしたなら、とても深い谷でも埋まって浅くなるだろう
骨で谷間が埋まる程、世の中、つまり恋ではつらいことが頻繁にある、という歌です。大袈裟なところが誹諧歌なのでしょう。
「世の中」は、男女の仲を指します。
なんとなくこの歌は、世間一般の男女の仲は上手くいかないことが多いという意味ではなく、一人の女性に対する恋で悲しいことが何度もあるということでもなく、あちこちの女性に声をかけてふられ続けているというように感じます。骨で谷が埋まるという恐ろしい情景に反して、失敗のたびに悲しんでいては恋なんかできないから、さっさと次の女に手を出そうというような、あっさりした印象を受けます。
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