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古今集巻第十九 雑躰誹諧歌 1045番
題しらず
よみ人しらず
いとはるるわが身は春の駒なれや野がひがてらにはなちすてつつ
厭はるる我が身は春の駒(こま)なれや、野飼ひがてらに放ち捨てつつ
嫌われている我が身は春の馬なのでしょうか、野原で草を食べさせて、そのまま放って捨てられてしまった
「厭う」は、嫌う、「厭はる」は、嫌われる、です。「厭はるる我が身」は、「嫌われている私」のことです。
「野飼ひ(のがい)」は、放牧です。春の若草を食べさせる為に野に放つのでしょう。
「がてら」は、「ついでに」の意味。現代語では何かをする際のついでに、というと、付加的なおまけのような意味が含まれますが、古語では同時並行的であり、価値の大小の意味はあまり無いように思います。
「捨てつつ」の「つつ」は、状態がそのまま継続するという助詞で、捨てたままで放置されている意味。
男に嫌われてしまい、全く通って来なくなったことを嘆く女の歌だと思います。
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