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古今集巻第二十 大歌所御歌 1069番
おほなほびのうた
よみ人しらず
あたらしき年の始にかくしこそちとせをかねてたのしきをつめ
日本紀には、つかへまつらめよろづよまでに
大直毘の歌
詠み人知らず
新しき年の始めにかくしこそ千歳を予ねて(かねて)楽しきを積め
日本紀には、仕え奉らめ万代までに
新しい年の始めに、このように千歳の将来を思い、楽しさを積み重るものだ
日本紀には、仕え奉ろう万代まで
「大歌所御歌(おほうたどころのおんうた)」は、宮廷の儀式で音楽を演奏する大歌所に伝誦される古来の歌。
「大直毘の歌(おほなほびのうた)」は、大直毘神を祀る時の歌。この神は、伊邪那岐尊が黄泉の国から戻った時の禊で生まれた神の中の一柱。悪いことを吉に転じる神。
「予ねて(かねて、予ぬ、かぬ)」は、将来のことを予め考えること。
「楽しきを積め」は、「こそ」の係結びで已然形になっているのであり、命令形ではありません。「楽しきを積む」。
注の「日本紀には、……」は、「続日本紀」の聖武天皇天平十四年正月十六日 「新年始尓何久志社仕奉良米万代麻弖丹(新しき年の始にかくしこそ仕え奉らめ万代までに)」のこと。
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