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古今集巻第十九 雑躰誹諧歌 1051番
題しらず
伊勢
なにはなるながらの橋もつくるなり今はわが身をなににたとへむ
伊勢
難波なる長柄の橋も作るなり、今は我が身を何に例へむ
難波にある長柄橋も新しく作るらしい、今は私のことを何に例えれば良いだろう
大阪の淀川に掛かる長柄橋は、古くからあったらしいです。伊勢は年齢を重ねた自身の例えとして古い長柄橋を使っていたのに、新しく作ると使えなくなるので、今からは何に例えようか、と歌っています。
伊勢は、伊勢守を努めた藤原継蔭の娘です。ほぼ同い年の宇多天皇の中宮、藤原温子(ふじわらのおんし、あつこ)に使えていましたが、宇多天皇がお手をかけられて皇子を生みました。さらに、宇多天皇の皇子、敦慶親王(あつよししんのう)もお手をかけられて、娘を生んでいます。それでも中宮温子とは仲が良かったようで、宮中からまかでた後も手紙でやり取りした歌などが残っています。この歌もその頃のものだろうと思います。
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