【第1回無料】2度の東京五輪をどう見る 近代・現代の文学を通して(2020年3月25日校了)
【1年後の追記】
僕は昨2020年春から夏にかけて、時事通信社系各紙で『東京五輪×日本文学』というコラムを連載しました。全10回。
この企画は2019年12月に打診があり、年を越して2020年1月に執筆をはじめました。
その後2月以降の新型コロナウィルスCOVID-19の世界的流行で、五輪が開催されるかどうか不安定な状況での連載開始となりました。毎日ニュースをチェックしながら、1回目の原稿を再三再四修正して入稿を繰り返したことを覚えています。
配信から1年経ち、延期された東京五輪の聖火ランナーのニュースが今年も流れています。パンデミック状況も続いています。
コラム全文をnoteで改めて公開することにしました。第1回はご挨拶なので実質無料です。(2021年4月13日)
【以下本文(2020年3月25日校了)】
東京オリンピックと文学、というお題でご機嫌をうかがいます。
僕のようなものがこんな大それた企画をやることになったのはおそらく、2016年のリオデジャネイロ五輪の直前に『オリンピック』(角川文庫)というアンソロジーを編んだからでしょう。この作品集は、古代オリンピックから近代五輪(もちろん冬季も)、そしてパラリンピックや未来のオリンピックまでを取り上げた小説・観戦記・ノンフィクションを集めたものです。
昨2019年は、毎週日曜の晩に放映される宮藤官九郎脚本のNHK大河ドラマ「いだてん 東京オリムピック噺」を楽しみに生きていました。
「いだてん」の経糸は、日本初の近代オリンピック参加(1912年のストックホルムオリンピック)の前年のマラソン国内予選から、戦争により日本政府が開催権を返上した幻の東京オリンピック(1940年)を経て、1964年の東京五輪までの、金栗四三(日本初のオリンピック選手)と田畑政治(日本水泳連盟第二代会長)の人生です。
そして緯糸は落語家・五代目古今亭志ん生の人生。驚きに満ちたトリッキーな構成の歴史ドラマを、僕は毎週わくわくしながら観ていました。
驚くといえば、2013年に、2020年の東京五輪開催が決定した多くの人が驚きました。僕も驚きました。なにしろ1982年、僕の高校時代に連載が始まった大友克洋の漫画『AKIRA』が、「2020年東京五輪の前年」を舞台とする近未来SFだったからです。
さらに驚いたのが、この文を書いている2020年3月24日、新型コロナウイルスの世界的流行(パンデミック)によって、東京五輪が近代五輪史初の「延期」となったことです。戦争で消えた幻の1940年東京五輪に続き、東京五輪は80年ぶり2度目の受難と呼ぶべき展開になりました。
1964年の東京五輪は昭和の文学にどんな痕跡をのこしたのか。21世紀の東京五輪に現在の作家はどう向き合っているのか。
新型コロナウイルス流行の影響で選抜高校野球は中止、大相撲は無観客、国際線は減便、渡航先は制限されています。事態がどう転んでも、こちらは完走したいので、おつきあいください。〔2020年3月25日校了〕
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