手と手を合わせてM-1グランプリ
M−1グランプリ。
全てのネタがおもしろく、新たなスターが生まれ、数多の漫才師に夢を与えた今年の大会。興奮が冷めず。
でも色んな人が色んな事を言っているのでちょっと冷めてきた。あの場に立った芸人に、審査員に、制作側に何か言いたい人たち。
そういうことじゃない。そんな事する前にもう一回録画を見ろ。そして笑え、拍手しろ。
拍手。
僕の注目ポイントは拍手。
前言撤回。
僕も何か言いたい。ので、言う!
今年のM-1をリアルタイムで見終わり、気づいた。
拍手が上手い。上手過ぎる。
笑神籤(えみくじ)が引かれ、コンビの名前がコールされる。始まる紹介VTR。
舞台中央奥のせりが上がり芸人登場。会場、拍手。
馴染みの登場曲が流れ、「M」の字がドゥンドゥン飛出す中で芸人もセンターマイクへ。その間も拍手が続く。
注目はこの後。「どーもー○○です、よろしくお願いします」の後にもう一回拍手。
これ!この拍手!
お客さんの拍手のタイミングが2回ある。これは今までのM-1ではなかった。たぶん。
お笑いの舞台で、登場時に拍手をもらえるかどうかはその後のやり易さに大きく関わる。そして客席にいる人のテンションにも。
「芸人が登場してきた時は是非拍手をお願いしますね〜」と優しい司会者なら言ってくれる。でも、そう言うとほとんどのお客さんが舞台袖から芸人が飛び出して来た時に拍手をする。
場合によっては司会者の「次は〇〇です。どうぞ〜!」で拍手をして、以上!ってことも。
①司会者、「次は○○です。どうぞ〜!」拍手。
②芸人、舞台袖から飛び出し。拍手。
③芸人、「どーもー○○です、よろしくお願いします!」拍手。
この3パターンで一番やり易くなるのは③だ。自己紹介をして拍手を頂くと「受け入れてもらっている」感がものすごい。
さらに贅沢を言うなら②で拍手、③でもう一回拍手。これ最高。
この②+③が今年のM−1では徹底されていた。
推測だけど、前説などで観覧のお客さんに結構細かく拍手のタイミングをレクチャーしたと思う。そして出演芸人にもセンターマイク前についてからちゃんと名乗りをするように指示が出されていた可能性もある。特殊な始まり方の『ぺこぱ』でさえ、一連の流れがあってから改めて「よろしくお願いします」と言い、そこで2回目の拍手が起こった。敗者復活の和牛はネタに入ろうとしたところで起こった2回目の拍手に一瞬戸惑ったようにも見えた。知らなかったからかもしれない。
今回は初出場が7組。
不勉強で恥ずかしい限りだが、僕はその7組のネタを見たことがなかった。
正直、初めての組をこれだけ入れるなんて番組としてはどうなんだろうと思った。
あの大舞台に初めて立って、自分たちのネタをやりきるなんて相当難しいだろう。しかも順番は笑神籤で決まる。制作側も絶対不安はあったはず。
それをあの『登場拍手+おじぎ拍手』で力を出させる。
名乗りの後に拍手を貰うとやり易い。実際、名乗った後に自ら手を叩いて拍手を促す芸人を見たことがある人も多いだろう。あれ、やりたくなっちゃう。自分たちを知らないであろう人の前なら尚更。
そしてちゃんと名乗りをしてからネタを始めることで、ネタの入りがしっかり伝わる。緊張していると登場曲が下がりきっていないのにネタを始めたり、異常に早いテンポで喋り出したりする。それも『登場拍手+おじぎ拍手』が防いでくれる。
さらに、お客さんも手を叩く回数が多くなることでテンションが上がる。笑いやすくなる。
なにこれ。
『登場拍手+おじぎ拍手』すごくね?
それを知っていて今回徹底した制作側、芸人愛凄まじくね?
結果、初めての決勝だろうが関係なく全組がおもしろい漫才をした。
その中で、漫才中にも拍手を起こさせた芸人たちがいた。
笑いと拍手。笑いながら拍手。超カッコいい。
拍手は『おもしろい』と『嬉しい』と『楽しい』を表現する。
パチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチ
ネタ作ろ。