森ビヨ・勝手にアナザーストーリー1話
【森ビヨ・勝手にアナザーストーリー1話】
この作品は、勝手に考えた『眠れる森のビヨ』のアナザーストーリーです。
基本的に皆、幸せになって欲しい。序盤はネタバレ考えてません。
原作者様、演劇女子部様、アップフロント様とは全く関係ありません。
個人の趣味で二次創作です。ご了承ください。
※映像にするとこの話は7分程度
※全12話を予定しております(作者の都合で変更になる可能性もあり
【登場人物】
・ユッコ(16)
・ショーコ(16)
・山上(18)
・ヒカル(17)
・夢子(17)
・ノゾミ(17)
・カナエ(17)
・タマエ(17)
1 華山高校・体育館客席
カーテンを閉め切り薄暗い体育館。
一面にはパイプ椅子が並べられいる。
舞台上手側にめくり台が置かれており、
【クラブガイダンス 演劇部 オズの魔法使い】と書いてある。
舞台は、演劇部の上演中。
ユッコ(16)とショーコ(16)、キラキラした目で舞台を見つめている。
2 同・体育館舞台
ドロシー役の夢子(17)、かかし役のヒカル(17)が、
全く動かないブリキの木こり役の山上(18)に出会うシーン。
木こり(山上)「んーんー!」
かかし(ヒカル)「何、何言ってるんだ?」
ドロシー(夢子)「油さし? 油さしって言ってるわ!」
ドロシー(夢子)、見つけた油を木こり(山上)に刺してやる。
木こり(山上)「ありがとう。やっと喋れた」
ドロシー(夢子)「何があったの?」
木こり(山上)「雨さ。長雨で体が錆びついてしまったんだ」
ドロシー(夢子)「そうだったの。でも、これで完璧ね」
木こり(山上)「完璧だと思うか? それなら、これを見てごらんよ」
木こり(山上)、胴体を開いて中が空っぽなのを見せる。
ドロシー(夢子)「まぁ!」
木こり(山上)「空っぽさ。ブリキ屋が心を入れ忘れたのさ」
ドロシー(夢子)・かかし(ヒカル)「心を?!」
木こり(山上)「もう、愛や芸術に心ときめかす事はできない」
木こり(山上)、歌いだす。
3 同・体育館客席
舞台を見つめるユッコの目から涙が伝う。
ショーコ、それに気付き小声で話しかける。
ショーコ「ユ、ユッコ? 大丈夫?」
ユッコ「木こりさんに感情移入しちゃって……」
ショーコ「あの先輩、凄い歌上手いから引き込まれるよね」
ユッコ「……うん」
ユッコ、涙を拭いながら、舞台に顔向け直す。
ショーコ、ユッコの泣き顔から目が離せなくなる。
4 同・1年B組教室
ユッコとショーコのクラス。
お昼の時間で、それぞれが好きな席に座り、
お弁当や購買のパンなどを食べている。
ユッコとショーコ、窓際の席で机を向かい合わせお弁当を食べている。
ユッコ「ねぇ、ショーコ」
ショーコ「ん、どした?」
ユッコ「あのさ、演劇部入らない?」
ショーコ「えー……ユッコ、部活入らない予定って言って無かったっけ?」
ユッコ「だってだって、木こりの先輩凄かったもん! ショーコもそう思ったでしょ?」
ショーコ「そうだけど……。ユッコ、演技できるの?」
ユッコ「全然できない!」
ショーコ「でしょ? それに何か演劇部ってダサいイメージあるし」
ユッコ「全然ダサくなかったー! ショーコもカッコいいって言ってたじゃん!」
ショーコ「そうだけど……」
ユッコ「ね、入ろ! 放課後、体験入部あるみたいだし!」
ショーコ「もーユッコは決めたら譲らないからなぁ。体験入部は付き合ってあげる!」
ユッコ「やったー!」
ショーコ「ただし、やばそうな先輩いたら入らないからね」
ユッコ「うん! でも、絶対楽しいよー!」
ユッコ、そう言って満面の笑みで微笑む。
ショーコ、つられて笑顔になってしまう。
5 同・体育館舞台
放課後、緞帳を下げた舞台上。
ユッコとショーコ、舞台袖から恐る恐る入ってきて声をかける。
ユッコ「すみませーん。体験入部ってやってますかー?」
舞台上をダラダラ掃除するノゾミ(17)、カナエ(17)、タマエ(17)。ユッコ達に気が付かずにしゃべっている。
ノゾミ「てか、何で一年入んないからって、ずーっと私たちが掃除してる訳?! 委員会で遅れますって、私たちはHRサボって部活来てんですけど!」
カナエ「それね。たまには先輩も掃除しろし!」
タマエ「せやせや~!」
ユッコ、ショーコと顔を見合わせる。
ショーコ、気まずそうに首を横に振る。
ユッコ「あ、あのー!」
ノゾミ「え、何?!」
三人、ユッコ達に振り返り、やっと気が付く。
ユッコ「あ、あの……体験入部って……」
タマエ「わー!! もしかして、一年生?!」
ユッコ「は、はい」
三人、さっきとは打って変わって、笑顔でユッコ達を囲む。
ノゾミ「え、マジで演劇部の体験入部であってる?」
ユッコ「はい」
カナエ「最高! 今年一年入んないかと思ったー!」
タマエ「ほら、お菓子あげるから座りたまえよ」
三人、箱馬をだしてユッコ達を座らせる。
ノゾミ「こんな時に限って皆遅すぎじゃね? 私、ヒカル呼んでくるわ」
カナエ「私、夢子呼んでくる」
タマエ「じゃあ、私は……。と、とりあえず、二人はお菓子食べて大人しく待っててね」
ドタバタと出ていく三人。
呆気に取られるユッコとショーコ。
ユッコ「行っちゃったね」
ショーコ「何か、あの先輩たち怖く無かった?」
ユッコ「ちょっと……ね」
そこへ、反対袖から山上が入ってくる。
山上「おい、誰だよ。部室の鍵、開けっ放しにしてた奴は……」
山上、やっと一年二人の存在に気が付く。
ユッコ「あ、木こりの……!」
【次回に続く!】