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森ビヨ・勝手にアナザーストーリー5話

【森ビヨ・勝手にアナザーストーリー5話】

この作品は、勝手に考えた『眠れる森のビヨ』のアナザーストーリーです。
基本的に皆、幸せになって欲しい。序盤はネタバレ考えてません。
原作者さま、演劇女子部さま、アップフロントさまとは全く関係ありません。
ご了承ください。

※映像にするとこの話は8分程度
※全12話を予定しております
(作者の都合で変更になる可能性もあり)

【登場人物】

・ツムギ(17)

・カナエ(17)

・タマエ(17)

・山上(18)

・浜田先輩(18)

・ネネ(17)

・ヒカル(17)

・夢子(17)

・ユッコ(16)

・ショーコ(16)

※小嗣先輩(19) 演劇部OG。演技が上手い。明るく後輩をいじる

※蓮本先輩(19) 演劇部OB。眼鏡のインテリ系。透き通った歌を歌う

(※=オリジナルキャラクター)


1 崋山高校・体育館舞台下手

  舞台下手側に捌けた夢子、ネネ、浜田、ユッコ、ショーコ。

  浜田が一年生二人に何やら説明している。

浜田「エチュードは、即興劇だから、どのタイミングに出てもいいし、どんな役ででても良い。周りの先輩たちが何でも拾ってくれるから、怖がらずに舞台に出るんだよ」

ユッコ・ショーコ「はい」

夢子「それに、今日はエチュード上手のヒカルくんがいるから大丈夫だよ」

ネネ「そうそう、ヒカルに任せておけば、無理な設定でも何でも拾ってくれるから」

浜田「ヒカルはあれで結構アドリブが利く役者だからね」

  五人、舞台を覗き込むと、そこには板付きでいるヒカル。


2 同・体育館舞台

  正面に、小嗣先輩と蓮本先輩が緞帳を背に座っている。

  中央には、ヒカルが立っている。

蓮本「いきまーす。よーい」

  蓮本がパンっと手を叩くと、エチュードが始まる。

ヒカル「今日は待ちに待ったデートの日! ちょっと時間もあるし、ここらのお店でも見てみようかなー」

  そこへ下手から浜田が出てくる。

浜田「やぁ、お兄さん、何か探し物かなぁ」

ヒカル「あ、待ち合わせに早く着いちゃったんで、何か良い店ないかなぁと思って」

浜田「へぇ。俺、結構いいもん売ってるけど、どうかなぁ」

ヒカル「なんか怪しいなぁ……。いいもんって何なんですか?」

浜田「(ヒカルの肩を組み)それがね、人の気持ちを操れる鏡ってやつさ」

ヒカル「人の気持ちを操れる鏡?!」

浜田「そうそう、どんな人のもね。例えば、お兄さんが好きな人が、別の人を好きでも気持ちをお兄さんに向けることができるんだ」

ヒカル「な、なんて凄い鏡なんだ……?! ちなみにお高いんでしょう?」

浜田「それが、今ならたったの一万五千百円!!」

ヒカル「お、おぉ! でも、手持ちそんなにないんで……」

浜田「あ、いいんだ? それなら他の人に売っちゃうけどなぁ。それなら六千円でどう?」

ヒカル「急に半額以下?! はい! 買いまーす! 買わせて下さいー!」

  ヒカル、財布を出して、浜田に六千円渡す。

浜田「はい、毎度ありー。はい、これ」

  浜田、自分の手鏡を渡す。

ヒカル「普通の手鏡じゃないですか」

浜田「そう見えるだろうね。でも、本当に効果あるからさ。モテモテライフ楽しんでよ」

  浜田、そう言って退場してしまう。

ヒカル「ちょ、ちょっと! どうやって使えばいいんですかー? って、行っちゃった……」

  そこへ、上手から山上がやってくる。

山上「おう、お待たせ。女子はまだ来てない感じ?」

ヒカル「お、山上遅かったじゃん。うん、二人は未だ来てないよ」

山上「そっか。何、その手鏡?」

  山上、ヒカルと一緒に鏡を覗き込む。

ヒカル「さっき、道行く怪し~いお兄さんから六千円で買ったんだよ」

山上「え、たっか! ヒカル、それ騙されてるだろ」

ヒカル「やっぱりそうかなぁ……」

  そこへ、下手からユッコの手を引いた夢子が出てくる。

夢子「二人ともお待たせー!」

ユッコ「お、お待たせしました……!」

ヒカル「全然待ってないよ。それじゃ、行こうか?」


3 同・体育館舞台上手

  上手側の階段から遅れて来たノゾミとツムギが入ってくる。

  上手に待機していたカナエとタマエ、それに気が付く。

ノゾミ「え、今、どういう感じ?」

カナエ「初恋ってお題でエチュード中!」

タマエ「ヒカルと山上部長、夢子、ユッコがダブルデートに来てて、ヒカルが謎の男・浜田先輩に人の気持ちを操れる鏡を六千円で売り付けられた所」

ノゾミ「何その設定?! 無茶あるんじゃね?!」

ツムギ「でも、その鏡の無茶設定のお陰で色んな事できる幅が広がって面白くなりそう!」

ノゾミ「お前、そういう所ポジティブだよなー」

ツムギ「ノゾミ、一緒に出ようよ!」

ノゾミ「あのな、普通もう少し話の空気読んでから出た方が良いゾ?」

タマエ「良いんじゃない? 皆で出ちゃえば?」

ノゾミ「ちょっと待て、待て! まだ心の準備が~!」

カナエ「良いじゃん! こういうのはノリでしょ! ノリ!」

  ツムギを筆頭にカナエ、タマエ、ノゾミを引っ張って舞台中央に出ていく。


4 同・体育館舞台

  舞台を一周するヒカル、夢子、山上、ユッコの四人。

  そこへ、下手からツムギ、カナエ、タマエ、やや後ろにノゾミが出てくる。

ツムギ「そこのお兄さん! 悪いけど、鏡を渡して貰おうか!」

ヒカル「え、鏡を?!」

タマエ「そうさ、アンタ、悪魔から人の気持ちを操る鏡を受け取っただろう!」

カナエ「大人しく渡さないと痛い目見せるわよ!」

ノゾミ「(一人悩みながら)そうだ! そうだー!」

  ツムギ、タマエ、カナエ、ヒカルから鏡を力づくで奪い取ろうとする。

  そこに割って入る山上。

山上「ヒカル! ここは俺に任せて、お前は逃げろ!!」

ヒカル「で、でも!!」

山上「俺もこいつらを片付けてすぐ追いかける! その時、お前に改めて伝えさせてくれ! お、俺、出会った時からお前の事が……」

ヒカル「……や、山上!」

ノゾミ「何こいつら? できてんの?!」

ツムギ「フハーハハハハ! 流石は悪魔の作った鏡! 同性の気持ちをも操ってしまうのか」

ノゾミ「お前、速攻、役に入り込むタイプだよな」

夢子「ヒカルくん、さぁ逃げよ!」

  夢子、ヒカルと逃げようとする。

  ユッコ、山上を見て地面にペタンと腰を抜かしてしまう。

ユッコ「や、山上くん……、本当はヒカルくんが好きだったんだね……」

夢子「ほら、ユッコもいくよ!」

  夢子、ユッコを立ち上がらせて、ヒカルと共に下手へ逃げていく。

山上「ここを通りたければ、俺を倒してからいけ!」

カナエ「ふん、小生意気な小僧め! お前なんぞ、私たち二人で十分!」

タマエ「かかってきなさい!」

  山上、カナエ、タマエ、下手に捌けていってしまう。

ノゾミ「おいおいー、この展開どうすんだよー。私ら残されちゃったじゃんかよー!」

ツムギ「ノゾミ、僕があの手鏡を手に入れたら、この世の全てを君の思うままにしてあげるからね」

  ツムギ、ノゾミの手の甲にキスするふりをする。

ノゾミ「うっわ、キザすぎでしょ、その台詞」

【次回へ続く!】

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