森ビヨ・勝手にアナザーストーリー7話
【森ビヨ・勝手にアナザーストーリー(7/12)】
この作品は、勝手に考えた『眠れる森のビヨ』のアナザーストーリーです。
基本的に皆、幸せになって欲しい。序盤はネタバレ考えてません。
原作者さま、演劇女子部さま、アップフロントさまとは全く関係ありません。
ご了承ください。
※映像にするとこの話は8分程度
※全12話を予定しております
(作者の都合で変更になる可能性もあり)
【登場人物】
・ヒカル(17)
・ヒマリ(17)
・ツムギ(17)
・夢子(17)
・ネネ(17)
※担任教諭 男性。モブ
(※はオリジナルキャラクター)
1 通学路
朝の通学路には、崋山高校の生徒たちがチラホラいる。
ヒカル、ヒマリと話しながら歩いている。
ヒマリ「それで、演目『雪の女王』に決定したの?」
ヒカル「そうみたい。ちょっと、オマージュっていうのかな、手を加えるみたいだけど」
ヒマリ「ふーん。何だか、その幼馴染の主人公ってヒカルとヒマリみたい」
ヒカル「僕もそう思った!」
ヒマリ「でも、ハッピーエンドで良かったじゃん! カイの事は、ゲルタが救い出すんでしょ?」
ヒカル「……そうなんだけど、何だか納得できないんだよね」
ヒマリ「どうして?」
ヒカル「だってさ、雪の女王が可哀そうじゃない」
ヒマリ「どうして? だって雪の女王がカイを誘拐したんだよ?」
ヒカル「寂しかっただけかもしれない。だって、カイに鏡の破片を刺したのは誰でもないんだよ」
ヒマリ「そうだけど! 雪の女王は悪い奴じゃん?」
ヒカル「悪者とも言えないなぁって、だって、カイに自由を許したのも雪の女王だし」
ヒマリ「えーそんなのおかしいよー!」
ヒカルとヒマリが話に夢中になっていると、学校にたどり着く。
2 崋山高校・下駄箱
ドアを入ってすぐ下駄箱ロッカーが並んでいる。
ヒカル、ヒマリ、通路を挟んで対面のロッカーで靴を履き替えている。
ヒマリ「ヒカル、今日のお昼なんかある?」
ヒカル「今日は劇部の集まりもないし、何もないよ?」
ヒマリ「やった! そしたら、たまには屋上で一緒にお昼食べようよ!」
ヒカル「いいよ」
その時、ツムギが登校してきて、ヒカルに話かけてくる。
ツムギ「おはよー、ヒカル!」
ヒカル「おはよ、ツムギ」
ツムギ「昨日はエチュード盛り上がったね」
ヒカル「ツムギの役、めっちゃ面白かったよ」
ツムギ「ほんと? あ、ヒカルは先輩たちに脚本協力要請されたって?」
ヒカル「そうなんだよ……。よりによって、脚本とか担当外だわ」
ツムギ「大丈夫だよ。昨日のエチュードだって、ストーリー作ったの殆どヒカルだったじゃん」
ヒカル「それとこれとは全然別物」
ツムギ「そうかな? ヒカルならできると思うけどな」
ヒカル「ありがと」
ヒマリ、話に割り込むように
ヒマリ「ねぇ、ヒカル! 早くいこー!」
ヒカル「はいはい。それじゃ、ツムギ、また部活で!」
ツムギ「あ、うん。また、部活で」
ヒマリとツムギ、無言で見つめ合う。
3 同・階段
教室に上がる階段。
先に階段を上り始めるヒマリ。
ヒカル、下駄箱のツムギに手を振って、追いかけてくる。
ヒマリ「ねぇ、あの子だれ?」
ヒカル「あれ、ヒマリ会ったこと無かったっけ? 演劇部のツムギだよ」
ヒマリ「知らない。あんな子、前からいたっけ?」
ヒカル「一年生の時からずっといたよ。ちょっと影薄い所あるけど、演技はピカ一だから」
ヒマリ「ふーん」
ヒカル「何? 何かあった?」
ヒマリ「別にぃー、何もないけど。それより、お昼の約束忘れないでよ?」
ヒカル「はいはい、分かってるよ。お昼休み屋上ね」
ヒマリ「分かってればよろしい」
ヒカルとヒマリ、笑い合いながら階段を上っていく。
4 同・2年A組教室
朝のHR前のざわざわした教室。
ヒカル、教室に入り、中央列三番目の自席に着く。
そこへ、夢子とネネがやってくる。
夢子「おはよう、ヒカルくん」
ネネ「おはよー、ヒカル」
ヒカル「おはよ。って、その鏡?」
ネネの手に浜田先輩の手鏡が握られている。
夢子「そう、悪魔の鏡」
ヒカル「いや、浜田先輩の鏡でしょ?」
ネネ「小道具の参考にって貸して貰ったんだ~」
ヒカル「そうなんだ。何て言うか、フェミニンっていうか、可愛らしいっていうか、珍しい鏡だよね」
夢子「凄い濁すね。可愛いよね、ウサ耳がついてて」
ネネ「この鏡、ツムギからのプレゼントなんだって」
ヒカル「ツムギからの?」
夢子「そうそう。この前、浜田先輩の誕生日だったでしょ? その時にあげたんだって」
ヒカル「ツムギは、そういう心配りが小まめだなぁ」
ネネ「ね、女子力高いよね」
夢子「それね!」
その時、担任教諭が入ってくる。
担任「HR始めるから、席につけー!」
散り散りに席に戻っていく生徒たち。
なぜか、ヒカルの机に置きっぱなしになった手鏡。
ヒカル、手鏡をまじまじと眺める。
× × ×
チャイムがなる教室。
ヒカル、机に突っ伏して眠っている。
ヒカルの周りは、もうお昼ご飯を食べ始めている。
ヒカル、急にバッと起き上がる。
ヒカル「は! いつの間に眠ってた」
教室の時計を見ると、もう12時55分。
そこへ、夢子とネネがやってくる。
夢子「ヒカルくん、やっと起きた。もうお昼だよ?」
ネネ「早く食べよ?」
ヒカル「あ、やっば! 今日、幼馴染とお昼食べる約束してるんだった! ごめん」
夢子「そうだったんだ?」
ヒカル「それじゃ、ちょっと行ってくる!」
ヒカル、慌てて、教室を出ていこうとする。
夢子「ヒカルくん! 何も持っていかなくてもいい……の?」
夢子の声も届かずの速さで出て行ってしまったヒカル。
ネネ「あーあ、行っちゃった」
【次回に続く!】