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森ビヨ・勝手にアナザーストーリー10話

【森ビヨ・勝手にアナザーストーリー10話】

この作品は、勝手に考えた『眠れる森のビヨ』のアナザーストーリーです。
基本的に皆、幸せになって欲しい。序盤はネタバレ考えてません。
原作者さま、演劇女子部さま、アップフロントさまとは全く関係ありません。
ご了承ください。

※映像にするとこの話は8分程度
※全12話を予定しております
(作者の都合で変更になる可能性もあり)

【登場人物】

・ヒカル(17)

・ヒマリ(17)

・ツムギ(17)

・山上(18)

・ユッコ(16)

・浜田先輩(18)

・ネネ(17)

・夢子(17)

・ノゾミ(17)

・カナエ(17)

・タマエ(17)

・ショーコ(16)


1 土手

  川を見下ろせる土手道。

  ヒマリ、一人速足で歩いたり、考え事を初めて止まったり、落ち着かない様子。

  すれ違うランニングをしたおじさんや、犬の散歩をしている子供などにジロジロと見られているが、本人はそれどころではない様子。

ヒマリ「え、ちょっと待って……。あのツムギって子が言うようにどうやってもヒカルを救えないとしたら? でも、今回の時間軸では、いつもと変化が何点か起こってる……」

  ヒマリ、カバンから手帳をだして確認する。

ヒマリ「前回までいなかったツムギが出現してるし、何故か新人デビューの演目が『雪の女王』に変わってる……。どうして?」

  ヒマリ、土手道の傾斜に座り、手帳に6回目と記して、メモしていく。

ヒマリ「あの子の出没で世界が変わっていってる……。何度、タイムリープしてもヒカルが事故に合う事は防げないってこと? ヒカルが死ぬことが回避できても、昏睡状態になったり、後遺症が残ったり……。どの段階で地区大会に行くことを阻止しようとしても何故かできない。脚本を書かせなくても、大会当日に引き留めてみても、学校までついて行ってみても……。あー! もう! どうしたらいいの?」

  その時、後ろからヒカルとツムギがやってくる。

ヒカル「ヒマリー! こんな所でなにやってんの?」

ヒマリ「ヒカル?! 部活は?!」

ヒカル「休日練だもん。15時まででおしまい」

ヒマリ「そうだったんだ……」

ツムギ「あ、そうだ! ヒカル、良い事思いついた!」

ヒカル「ん? 良い事って?」

ツムギ「ほら、うちの部って役者が照明と音響と兼ねてるでしょ?」

ヒカル「うん?」

ツムギ「ヒカルの幼馴染に手伝ってもらおうよ!」

ヒカル「え、ヒマリに?!」

ツムギ「そうそう! ヒマリちゃんに! どうかな?」

ヒマリ「私が?!」

ツムギ「新人デビューは六月頭でもうすぐだし、地区大会だって九月、あと四か月しかないんだよ? 手伝ってもらえたら、きっとみんな助かるよ!」

ヒカル「それも、そうだけど……。ヒマリ、どうかな?」

ヒマリ「そんな急に言われても……」

  ツムギ、ヒマリにボソッと。

ツムギ「ヒカルを救いたいなら、黙って協力すべきだと思うけど?」

ヒマリ「……分かった、協力する」

ヒカル「えー! ヒマリが?!」

ヒマリ「ヒカルが言ったから、協力するんでしょ! いらないなら、ヒマリやらないよ!」

ヒカル「ごめん、ごめん! ヒマリが協力してくれると助かるなぁ」

ツムギ「ありがとう、協力してくれて」

  ツムギ、手を差し出して握手を求める。

  ヒマリ、怪訝そうな顔をしながらツムギと握手をする。


2 氷の世界(夢)

  ヒカルの夢の世界。

  一面、氷に囲まれた城の中にいるヒカル。

  手元にはアルファベットの描かれた氷のパズル(スクラブル)が散らばっている。

  ふと、顔をあげると、氷の玉座に誰かが掛けている。

  目を凝らして、顔を見ようと思うが、靄が掛かって見えない。

ヒカル「誰かいるの?!」

  段々と暗くなっていく氷の世界。

ヒカル「誰か! 返事をして!! 誰か!!」

  バスの衝突音がする。

  気が付くと周りには演劇部員たちが倒れて転がっている。

ヒカル「うぁああああああああ!!!!!!!」


3 ヒカルの部屋(夜)

  ヒカル、ベッドで寝ていたが、飛び起きる。

ヒカル「はぁ、はぁ、はぁ……」

  息も荒く、額には冷汗をかいている。


4 崋山高校・舞台照明ブース

  舞台、下手上についている照明ブース。

  舞台を見下ろせる窓がついており、舞台には衣装を着たヒカルや演劇部員達がいる。

  ヒカル、こちらに気が付いて手を振ってくる。

  照明ブースには、ヒマリとツムギの姿。

  ヒマリ、ニッコリ笑って、ヒカルに手を振り返す。

ツムギ「このフェーダーを上げれば、赤色だけついて、こっちは緑、青。この端っこは普通の白でサスって呼ばれてる奴」

ヒマリ「ねぇ、もっとゆっくり説明してよ」

ツムギ「ただ、フェーダーを上げて、下げるだけ。何にも難しくないでしょ」

ヒマリ「何か、ツムギ、私にだけ厳しくない?」

ツムギ「……ヒマリちゃんさ、自分の状況分かってる?」

ヒマリ「状況って?」

ツムギ「僕の事、信用できると思ってるんだ?」

ヒマリ「信用っていうか、ツムギの言った通り、何度タイムリープしてもヒカルを救えないのは事実だもん。よく分かんないけど、ツムギも救いたいのは一緒でしょ? 協力するしかないかなぁって」

ツムギ「呑気なもんだね」

ヒマリ「ツムギもタイムリープしてるんでしょ?」

ツムギ「まぁ、そんな所。て言っても僕は、ヒマリちゃんよりももっと未来から来たけど」

ヒマリ「未来ってどのくらい?」

ツムギ「100年とかそんなもんかな」

ヒマリ「100年も?!」

  その時、ブースに山上が入ってくる。

山上「ツムギ本番始めるよ。ヒマリちゃん、よろしくね」

ヒマリ「は、はい!」

  ツムギ、山上とブースから出ていく。

  ヒマリ、舞台を暗転させる。

  窓から、舞台を見下ろすと、ヒカルとショーコが板についている。

山上N「本番―! よーい」

  山上、パンと手を叩く。

【次回に続く!】

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