森ビヨ・勝手にアナザーストーリー9話
【森ビヨ・勝手にアナザーストーリー9話】
この作品は、勝手に考えた『眠れる森のビヨ』のアナザーストーリーです。
基本的に皆、幸せになって欲しい。序盤はネタバレ考えてません。
原作者さま、演劇女子部さま、アップフロントさまとは全く関係ありません。
ご了承ください。
※映像にするとこの話は8分程度
※全12話を予定しております
(作者の都合で変更になる可能性もあり)
【登場人物】
・ヒカル(17)
・ヒマリ(17)
・ツムギ(17)
・山上(18)
・浜田先輩(18)
・ネネ(17)
・夢子(17)
・ノゾミ(17)
・カナエ(17)
・タマエ(17)
・ユッコ(16)
・ショーコ(16)
1 ヒカルの部屋
休日の昼下がり。
ヒカル、PCを前にツムギと覗き込んでいる。
ヒカル「……どうかな?」
ツムギ「良いんじゃない?」
ヒカル「ほんとに? ツムギ、気使ってない?」
ツムギ「使ってない! 使ってない! 本当に良いと思ってる!」
ヒカル「マジで?」
ツムギ「マジで! こう、ヒカルの優しさが表れてる脚本だと思うな、僕は!」
ヒカル「ふー、でも、完全に悪役が居なくなっちゃうと面白味ないかなぁなんて」
ツムギ「それでも、ヒカルは皆が幸せになる方がいいんでしょ?」
ヒカル「そう、それなんだよね。誰かを犠牲にして誰かが幸せになるなんて、ハッピーエンドに思えないっていうか……」
ツムギ「わかる! 僕もそう思うもん!」
ヒカル「やっぱ?」
その時、ツムギの携帯にメッセージが届く。
ツムギ、メッセージを読みながら
ツムギ「あ、衣装の生地の買い出しも丁度終わりそうだって」
ヒカル「オッケー。じゃあ、迎えにいこっか?」
ツムギ「うん」
2 生地屋街
生地を売っている店が並ぶ街道。
大きな袋にたくさんの生地を持ち歩く山上と夢子、ネネ、ユッコ、ショーコ。
ユッコ・ショーコ二人で一つの袋を持っている。
ネネ「生地って意外に重いですよね~」
山上「部員全員分ともなると結構な量だからなぁ。一年生、大丈夫か?」
ユッコ・ショーコ「はい、頑張りますぅ」
夢子「もうすぐ、ヒカルくんとツムギが来てくれるみたいです」
そこへ、丁度ヒカルとツムギがやってくる。
ヒカル「お待たせしました~!」
夢子「二人ともありがとう」
山上「脚本作業は大丈夫なのか?」
ツムギ「はい、良い作品になったと思います」
ヒカル「……ます」
山上「なら良いんだが」
ヒカル「これ、部室に運ぶ感じですか?」
夢子「うん。休日使用届けも出してあるし!」
ツムギ「荷物、重いでしょ。持つよ」
ツムギ、ヒカル、女子の持っていた袋を受け取り、一同歩き出す。
3 崋山高校・演劇部部室前
部室前の庭でノゾミとカナエ、タマエ、浜田が水風船を投げ合って遊んでいる。
ノゾミ「ぎゃー!! マジないわー! めっちゃ濡れたんですけど!」
カナエ「ノゾミだって、めっちゃ投げてんじゃん~!」
タマエ「私に至ってはパンツまで濡れそうですけど?!」
カナエ「ゆうて、一番濡れてんの浜田先輩だかんね!」
浜田「ま、水も滴るいい男って言うでしょ?」
タマエ「よ! イケメン先輩!!」
そこへ買い出し班がやってくる。
浜田「お、おつかれー」
山上「おいおい、お前たち、遊んでばっかりいないで、少しは練習したらどうなんだ?」
ノゾミ「遊んでた訳じゃないですー。女王の手下と悪魔で戦ってただけですー」
山上「そんなの屁理屈だろ」
ヒカル、危険を察知して、山上から生地の入った袋を受け取る。
カナエ、タマエ、浜田、新しい水風船を用意している。
山上「お前はいつもそうやって……」
山上が説教を始めると、一斉に水風船を投げ、山上ビチョビチョになる。
ノゾミ「ブチョーもたまには肩の力抜いた方がいいんじゃないですかぁ?」
山上「せめて、着替えてからやれよー……」
すると、部室から体育着に着替えた買い出しメンバー達とヒカル、ツムギが出てくる。
ヒカル「先輩! こっちは準備オッケーです!」
浜田「よっし! 山上を集中狙いだ!!」
山上「おいおい、せめてルールを決めてからだな……!」
部員達から集中的に水風船を投げられる山上。
部員達、楽しそうに水風船を投げ合っている。
4 同・水飲み場
グランドと部室前の庭に隣接する水飲み場。
山上、ワイシャツを脱いで水を絞っている。
横でノゾミがそれを眺めている。
山上、盛大にくしゃみをする。
山上「はっくしゅん! さむー」
ノゾミ「あれぇ、ブチョー、風邪引いちゃったんですか?」
山上「お前のせいだろー」
ノゾミ「私だけじゃないですもんー」
山上「でも、たまには皆の息抜きになって良かったよ」
ノゾミ「ほら、良かったじゃないですか」
山上「そうだな」
山上、ふっと笑う。
ノゾミ、その顔を見て、少し照れたように顔をそむける。
ノゾミ「早くしないと練習時間なくなりますよ!」
山上「ああ」
5 同・渡り廊下
クラブハウス棟から校舎に戻る屋根のある連絡通路。
ツムギとヒマリが対面している。
ヒマリ「それで、話って何? 私、あなたと話す事なんてない」
ツムギ「キミ、ブロック大会に行くバスがどうなるのか知ってるんだろ?」
ヒマリ「……あなた、本当に何者なの? ヒカルに何するつもりなの?!」
ツムギ「僕はこの演劇部を救いたいんだ。邪魔しないでくれないかな?」
ヒマリ「私だってヒカルを救いたい! それに、おかしいよ。あなた、前はいなかった!」
ツムギ「キミは何度も、ヒカルだけを救おうとして失敗してる。結局、何度やってもヒカルは事故に合うんだろ?」
ヒマリ「どうして?」
ツムギ「タイムリープしてるんだろ?」
ヒマリ「え?!」
ツムギ「キミが何をやっても、ヒカルは救えない。だから今後関わらないでくれるかな」
ヒマリ「どういうこと?! ちゃんと説明して!」
そこへ、ネネがやってくる。
ネネ「ツムギー? 一回、読み合わせするってー?」
ツムギ「うん! 今、行くー!」
ツムギ、ヒマリに向かい直すと
ツムギ「そういうことだから……」
ヒマリ「ちょっと待って!!」
【次回に続く!】
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