Jewelセットの仲間たち
(前置き)
私は年間2000戦近く対人麻雀を打っている。
こんな自堕落な私にも１つだけルールがある。
それは「お金を賭けない」ということだ。
フリーはノーレートのお店しか行ったことがない。
法律を遵守しているからだ。
この後に書く内容は全てフィクションである。
実体験ではないのだ。
Jewel東風とは？
歌舞伎町の「麻雀Jewel」さんのルールがベース
・常時東西場のヨンマ東風戦
・親流しもアリのアリアリアリ
・12,000円-3,000円-3,000円-12,000円の
完全順位戦でトビは祝儀1枚
・鳴き祝儀1枚1,000円
🟥5p(ルビー5p)…祝儀1枚
🟦5s(サファイア5s)…祝儀2枚
🟩5m(エメラルド5m)…祝儀3枚
🤍ポッチ(トパーズポッチ)…祝儀1枚
これら3種類の宝石は常に入れられている。
🟪5p(アメジスト5p)…祝儀1枚&獲得祝儀が倍
🏦5s(クリスタル5s)…アガリ牌の数字が祝儀枚数
🟧5m(カーネリアン5m)…祝儀5枚&−1飜
🟪ポッチ(アメジストポッチ)…ポッチ＋獲得祝儀が倍
イカれたセット仲間
このセットのメンバーは決まった4人だ。
1.N村くん(国税局勤務)
2.K谷くん(保険会社の経営者)
3.M野くん(サンマ雀荘オーナー)
4.俺(会社員)
N村、K谷、M野、俺は4人とも田舎中学の
同級生である。
この中学校は田舎屈指のヤンキー校だった。
先生たちの駐車場には金網が張られており、
校舎の窓には全て鉄格子が付いていた。
しかし俺たち4人はヤンキーではなかった。
悪事には手を染めて来たが、髪の毛は真っ黒だった。
1.N村くん(国税局勤務)
こいつは俺と同じ野球部だった。
俺たち2人は野球が上手かったのでAチーム。
日曜日の練習試合は午前中がAチームの試合、
午後はBチームの試合だ。
俺たちは出番の無い午後、進んで記録係を務めた。
記録係はバックネット裏で2人仲良く座る。
俺たちは
「ストライク」「ボール」「イニング得点」「勝敗」など様々なポイントでお金を賭けていた。
うる覚えだが、ストライクボールには
1球500円を賭けていたので
巷の1.0フリーくらいは動いていたはずだ。
俺のお小遣いは月に3,000円だった。
しかし財布は潤沢で常に欲しいものを買えた。
当時はPSP2000の時代。
中学生は皆、モンスターハンター2ndGを嗜む。
体育の時間はやりたい放題だ。
クラスメイトのPSPを盗みネットで売り捌いていた。
また友人のPSPにCFWを導入して
ソフトを買わずとも全てのゲームを無料で遊べるようにしてやった。
1人あたり10,000円の手数料が得られた。
さらには地元の先輩から
LOUIS VUITTONのパチ物の財布を仕入れ
ブランド好みの同級生に法外な値段で売っていた。
こんな悪友とつるんだせいで
俺の9教科5段階評価は25/45となり人生が詰んだ。
県立高校はどこも内申点が足りず受けられない。
ダメ元でペーパー100%の県内最難関校を受けたら
なぜか受かってしまった。
その反動からか高校では勉強にハマってしまった。
そしてそのノリで大学受験も成功してしまった。
ありがとう。N村くん。
2.K谷くん(保険会社の経営者)
こいつは1番ヤバい。
見た目は好青年。高校生まで書道を続ける真面目さ。大学生になって遊んでも、まだ彼女がいないなどと
俺たちに冷やかされる可愛い奴だった。
大学3年生の夏、大阪で遊んだことがあった。
こいつは童貞だったので「飛田新地」に
連れて行ってやろうという話になった。
とはいえ、俺たちも貧乏な大学生だ。
見栄を張っていたが、生活に余裕もなかった。
K谷はなかなか料亭に入ろうとしない。
訳を聞くと「入り方がわからない」と言う。
仕方なく俺たちが入り方を先に見せてやった。
30分後、約束のたこ焼き屋で4人は集合した。
K谷は俺たちと同じく「飴ちゃん」を咥えてきた。
K谷は興奮していた。
よく覚えていないが「柔らかかった」「2回逝った」
などと言っていたように思う。
俺たちの財布は寒かったが、K谷の嬉しそうな顔を見て心はポカポカと暖かった。
8年後、2023年の春
俺たちはジュエルセットをした。
その時、K谷がニヤついた顔でボソリと言った。
「俺、あの時、料亭入っていないんよな...」
言葉にならない殺意が皮膚をむず痒くさせた。
俺はその殺意を押し殺して聞いた。
「お前あの時、飴を咥えていたよな？」
K谷は答えた。
「飴は事前にファミマで準備しといたんよ」
3.M野くん(サンマ雀荘のオーナー)
こいつは最初本当にカモだった。
俺以上にルール適応力がない。なのに何でもやる。
5等サンマを初めて布教した時、
0.5メジャーで提案したら
何も考えずに乗ってきた恐ろしい奴だ。
ジュエルセットを始めた時も
押し引きが根本的にバグっていた。
鳴きも消極的。
「チー」という言葉を知らないのだろう。
俺もN村もこいつはカモだと思っていたが
上手におだてあげて、毎週セットに誘っていた。
しかし、ある時、飛田・K谷がやらかしてしまった。
M野に対して「東風界の黒沢咲」と冷やかしたのだ。
その後
M野のことをしつこく「黒ちゃん」「黒ちゃん」と
呼び始めた。
それからM野は変わった。
自分を見つめ直し、相当勉強したのだろう。
打ち筋が相当マトモになり、対応が難しくなった。
セットを開けば20万近く懐に入る時代が終わった。
気づけば4月はこのセットで60万近く失っていた。
※これらは全てフィクションです。
賭け麻雀は法律で禁止されておりますので
くれぐれもご注意ください。