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神宮球場で食べる晩御飯のこと。
「いつもの。」
ガキのころに憧れた大人のセリフだ。
飲み屋のカウンターで言うもよし、定食屋のテーブル席で言うもよし。
僕も不惑を過ぎ、そろそろこんなセリフを言っても様になる年齢ではないかと思うが、如何せん常連の飲み屋も無いし、定食屋ではアレコレ食べたくなってしまい、なかなか言うチャンスに恵まれない。
唯一僕が変わらず注文するものと言えば、神宮球場で呑む、売り子のカナちゃんから買うエビスビールくらいなものだ。
なので、この前カナちゃんに向かって「いつもの。」と言ってみたのだが、キョトンとされてしまった。
当たり前だ。彼女はエビスビールしか売ってないのだから。
まぁ、そんなこんなで結局「いつもの。」というセリフは僕にとってまだまだ遠い存在である。
ところで、一人もんの僕はビールを飲みながらイニングの合間に晩御飯を食べる。最近はいわゆる「球場飯」も華やかで美味しくなってはいるのだが、しがないサラリーマンの僕が毎度手を出すには少々お値段が張るのである。
そんな僕の強い味方が、信濃町駅を出ると左手にあるコンビニ"ミニストップ"の弁当だ。
コンビニ弁当と侮るなかれ。
ミニストップはイオン系列なので、どうやらオリジン弁当のノウハウを持っているらしく、店内調理のオニギリやお惣菜がある。
これが結構美味しいのだ。
500円あれば充分事足りるお手軽さで、しかも運が良ければ作りたての温かいものが手に入る。
(僕のオススメは鯖のほぐし身と高菜がご飯に乗ったお弁当)
名札を読んでもどこの国のご出身なのかとんと見当がつかない店員さんにお代を支払い、駅前の歩道橋を渡っていく。
「いつもの」道を歩き、「いつもの」席で「いつもの」仲間に囲まれてスワローズを応援する。
あの頃想像した大人像からはほど遠いが、それでも楽しい毎日である。