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材質感を描き分ける
デッサンで「描く」と一口に言っても、様々な情報を分析し、分けて考えていかなければなりません。
その中の1つに「質感」があります。
石膏の滑らかで艶やかな質感、温かみのある木の質感、触るとひんやり冷たそうなステンレスの質感。世の中には様々な材質があり、それぞれに質感があります。
今回は、その質感を描き分けることについて書いていきます。
紙はサンフラワー紙です。
1、石膏
![](https://assets.st-note.com/img/1708137965950-5KpperZULb.jpg?width=1200)
石膏でできた立方体です。
色は白で、滑らかな表面が特徴的な材質ですね。
B系の鉛筆でざっくり明暗をとった後、H系やFなどを使って表面を滑らかに書き込んでいきました。
3つの面の明暗差がしっかり出ること、欠けた角の雰囲気などを意識しています。
2、コンクリート
![](https://assets.st-note.com/img/1708137990860-ihQelUFO32.jpg?width=1200)
コンクリートは色味に差があるものの、色はグレーです。
初めから3Bくらいでがっつり色を乗せていきました。
ゴツゴツした荒い表面が特徴なので、タッチは気にしません。
平で荒さが弱いところは、H系の鉛筆で少し抑えておくのも良いでしょう。
3、木材
![](https://assets.st-note.com/img/1708138006287-pGV2sn0JRH.jpg?width=1200)
特徴はなんといっても木目です。
よく見ると3つの面で木目に繋がりがあるので、そこを観察して描くと良いでしょう。
また、滑らかで暖かい質感を出すために、全体的に色を近く出すようにしています。
4、アクリル
![](https://assets.st-note.com/img/1708138015954-oiusNQOyYH.jpg?width=1200)
透明で、きらりと光る透明感が特徴的です。
アクリルは板をくっつけて作られているので、繋ぎ目にアクリルの断面が見えます。
さらに、その断面には光の屈折により大きな面よりも強く表情が現れます。
H系の鉛筆で主に書き進め、表情の詰まった断面はB系で強く描きます。
大きな面は軽く擦るなどして滑らかさを出して、練り消しゴムで光の筋を描き、また鉛筆で描き整えていきます。
5、ガラス
![](https://assets.st-note.com/img/1708138024393-4zsB1kfwfP.jpg?width=1200)
続いてガラスです。アクリルと同じく、透明でキラキラ光っていると思いますが、大きく違うのはその製法による特徴です。
板と板をつなぎ合わせて作られていたアクリル製の物と違い、製作の過程でくっ付くガラスは、その断面はアクリルほどわかりやすくありません。
また、角の出方もアクリル製のものと比べるとやや滑らかです。
エッジを強くつけすぎずに、描いていきましょう。
ベースの陰影をつけるときはFかH系がおすすめですが、強い光の屈折を描く時はBでしっかり描きましょう。
6、ステンレス
![](https://assets.st-note.com/img/1708138035733-hLOLwnzME6.jpg?width=1200)
最後にステンレスの表現を見ていきます。
様々なものが映り込むステンレス製品を描くとき、混乱してしまう生徒さんが多いです。
まず、写り込んだ表情をどう描けばステンレスに見えるかを考えていきます。
初めから映り込みを描くのではなく、まず、「グレーの筒」くらいに考えて色と陰影をつけていきます。
そして、一番明度の高くなる側面にしっかりとハイライトの線を入れていきます。
あとは、基本的な「明部、中明部、暗部」を守りながら、写り込みを強く描いていきます。
硬い素材で、H系を使いたくなるところですが、しっかり濃い線を引きたいのでB系の鉛筆を使うのは必須です。後からH系で抑えてあげましょう。
まだまだ、ここに無い素材は無数にあります。
紙、布、鉄など、、、
全てあげるとキリがありません。
試験当日に初めて出会う素材に出会うことも。
その時信じることができるのは自分の培ってきた「観察力」だけです。
日々のモチーフを分析し、表現することを繰り返すことでその力はついてきます。
そのモチーフらしさが出るように、様々な表現にもトライしてみましょう。
がむしゃらに描いた先に、良いデッサンが完成していると信じて。
金沢美術学院
永井ちなみ