中国向けインバウンド集客の人気SNS徹底分析(一)罠に落ちないために知るべきこと
インバウンド経費を、無駄遣いしていませんか?
「中国向けのインバウンド集客、どうすれば良い?」という素朴な質問をしたら、様々な提案がされるだろう。「○○億のユーザー」「○十万のフォロワー」「モニターを招く」「富裕層にリッチできる」…華やかなプランと膨大な数字が列挙されたが、一回プロモーションをしたら効果があんまり…こんな経験はありませんか?
国を跨いてプロモーションをするから、そのコツは日本と大きく異なるし、中国では日々変化が生まれて「正しい」やり方が一概と言えない。更に、KOLは非常に儲かるため、裏の操作や偽のデータが乱発し、広告会社も把握していないところがある。
そのために、筆者七年間の中国KOL経験から、中国のSNSプロモーションの全体像、各SNSの特徴、プロモーションのやり方、注意点をまとめてみた。この情報で、「無駄」を少しでも解消できると幸いと思います。
中国企業がどこでプロモーションをやっている?
インバウンドとはいえ、まず単純に「中国人向けにプロモーションをする」と考えてください。一番参考価値があるのは、中国企業が実際に使っている方法だね。中国北京にいる広告業従業者をインタビューすると、良く使われるSNSが以下の4つ:
・Wechat(微信公衆号):KOLプロモーション、バナー広告
SNS広告の定番。運営されるアカウントが多数にあり、それぞれリッチできる層が異なる。競争が最も厳しいSNSなので、フォロワーが少ないアカウントでも、ファンの質が良い。
・Weibo(微博):フィード広告、KOLプロモーション
昔はSNS広告の定番だが、近年の捏造データの取締が甘くて離れられている様子。KOLの力が強いサイトだが、その人気の真偽を見極める必要がある。
・Zhihu (知乎):KOLプロモーション、バナー広告、フィード広告
この数年間成長が早いSNS。Q&A形式となり、回答(記事)の質が非常に高い。古い記事でも検索エンジンからアクセスが多いことは特徴。初期は有名人や科学者が多く使用していたため、既存の大手SNSの中で一番高収入者にリッチしやすいではないかと言われている。
・Toutiao (今日头条):バナー広告、フィード広告
中低収入層が多いSNS。KOLの力が弱いが、オフィシャル広告機能がしっかりついている。中国の現地ブランドに多く利用されている。
上記の他に、業界によって専門サイトを加えることも多い。例えば化粧品は女性向けの「小红书」、家具は内装SNS「好好住」、旅行は観光攻略サイト「Mafengwo」「穷游」など。今年から、Tiktok(抖音)も少しずつ増えている。
名前はなんとなく馴染むね。ただ、人気だから投下してみようと思ったら失敗するケースが多いだろう。なぜなら、人気だから「偽物」も多くなっている。上手に利用するには、コツが必要だ。
Weiboの例をあげましょう。筆者は仕事関係でフォローしているKOLがいた。フォロワー数十万、自己紹介で沢山のタイトルも有し、非常にすごい方にみえた。
しかし、数ヶ月フォローして、なんかおかしいと思った。その方のツイートは、数十万人のフォロワーに対して、あんまりにも寂しいからだ。一般的には、数千のフォロワーを有するKOLでも、自分の写真や生活を投稿する際に、いつもコメントをするファンが数人いる。Weiboでただ1/5ぐらいのフォロワーを持つ筆者でも、ありがたくいつもコメントをしていただく方々がいた。それに対して、そのKOLの日常投稿にコメントがほぼなかった。
更に衝撃な事実は、明らかにプロモーションであるツイートだけ、いきなり数千リツイート、数百コメントがあった。コメントの内容をみたら、ほとんど商品を称賛する声だった。偽データしか見えなかった。
残念なことに、筆者の知る限り、日本の企業はそのようなプロモーションに、数百万円も投入していた。
使用するSNSを検討する際の注意点は?
ネガティブなことを置いといて、それらのSNSとKOL(インフルエンサー)は、相応しい使い方をすれば、間違いなく効果がある。爆発的な宣伝効果は、中国でしょっちゅう現れている。上手く活用するには、目標SNSサイトを下記3つの視点から見てみよう。
① タイムラインの仕組み
私達が普段使っているFacebookや、instagramは基本的に「フォローに基づくタイムライン」となっている。アプリを開くと、フォローしている人の投稿が表示される。Facebookでは、「ニュースフィード」という呼び方もある。最近となると、広告フィードもたまに入っているが、大きな仕組みは変わっていない。
この「フォローに基づくタイムライン」が仕組みになっているSNSでは、フォロワーが多くなれば多いほど、投稿の閲覧数が高い。だからKOLの宣伝力が高い。
一方で、「アルゴリズムによるタイムライン」という仕組みもある。同じく沢山の投稿者を有するサイトだが、どのコンテンツを誰に見せるのは、フォローではなく別のアルゴリズムがある。ByteDance社のサービス(Toutiao今日头条、Tiktok抖音)の特徴となっている。
Toutiaoのトップは「おすすめ記事」の集合。「フォロー」を確認するには別のボタンから遷移する必要がある。
この場合、フォローの行為はタイムラインの一部しか影響しない(フォローしている人の投稿を優先させるが連続表示しないなど)。このようなSNSでは、KOLの力がかなり限られている。Toutiao以外に、観光攻略サイト「Mafengwo」もこの仕組みになっている。
Mafengwoのアプリトップは都市によるコンテンツ集となり、フォローしている人を直接見れない仕様となっている
「アルゴリズムによるタイムライン」のSNSでは、KOLより、サイト自ら提供している広告商品を購入したほうがコンテンツの露出が保証される。
②データはどれぐらい信頼できるか
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