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どこよりも詳しいRED(小紅書)マーケティング③— 「SPU × セールスポイント × ターゲット群」を意識せよ—[中編]

タグ分析 × 人類学研究方法論:ユーザーを「生活スタイル」で深く捉える

アウトドアブランドが新作ジャケットをRED(小紅書)で展開し、ターゲット群を的確に捉えた事例を「タグ分析+人類学研究方法論(千机塔アプローチ)× 5W1H 人群描摹」を踏まえて解説します。検索数274%増&登山ファン層への到達度上位を実現した秘訣を、より深い「生活スタイル視点」で掘り下げてみましょう。

まず押さえておきたいのは、1400以上の多彩なタグを用いた人群(ユーザー)分類です。これは「性別や年齢」「興味関心」「行動特性」「消費レベル」「人生の段階」など、多岐にわたるユーザー情報を細分化し、共通項を持つグループを見つけ出す“聚類分析”に活用されます。

さらに、単なるタグ分析にとどまらず、人類学的研究方法論である「千机塔アプローチ」を組み合わせることで、ユーザーの内面(価値観・行動背景・感情など)にまで踏み込んで理解できるように。
外側(消費行動・SNS上の発信・閲覧傾向)から
内側(価値観・動機・ライフステージ・情緒)へと層を重ねて読み解き、ユーザーの「なぜこの商品を選ぶのか」の根本を探るわけです。

こうした立体的な分析が、アウトドアブランドの新作ジャケットのセールスポイント(実用性+ファッション性)とターゲットの潜在需要を見事にマッチさせたカギになっています。

新作アウトドアジャケットの特徴 × ユーザーニーズの可視化

アウトドアブランドが用意したジャケットラインナップは、防寒・防水、軽量・通気など多面的な機能を持たせています。実際のニーズとどのようにリンクしたのか、ユーザーの声・行動パターンから例示します。

  1. 防風・軽量・通気タイプ

  • 「夜間登山で風よけが欲しい」「日中と夜の気温差が激しいので、気軽に着脱できるものがいい」といったニーズにヒット。

  1. 防寒・防雨・防水タイプ

  • 「雨・雪・強風にも耐えられる堅牢性が欲しい」「極寒の山頂で写真を撮りたい」といった要望に応える。

  1. 防風・防雪・ファッション性重視タイプ

  • 「見た目も大事。写真映えも諦めたくない」「街中でも着たい」というトレンド感度の高い若年層を惹きつける。

多層的な人群分析では「防寒や防水などの機能性だけを求める層」「アウトドアでの冒険心とSNS映えを両立させたい層」など、複数の要素を合わせ持つユーザーがいることが分かりました。これをもとにジャケットのセールスポイントを細分化できた点が成功の大きな理由です。

7大維度・21指標で描く「どんな人が、どんなシーンで使うか」

RED(小紅書)ユーザーの行動データ・投稿内容を、7大維度(価値観、生活方式タイプ、行動場景、消費模式、社会属性、自然人口属性、SNS上の行動)と、それを細分化する21指標で整理することで、以下のような複数ターゲットが可視化されました。

登山エリアのファン(泰山、四姑娘山、玉龍雪山、新疆天山など)

  • 高地・寒冷地での温度変化に対応できるジャケットを最重視

  • 写真映えを狙う観光要素も含む層も多い

気温差が激しい地域を好むユーザー

  • 標高差や突発的な天候変化への適応力を重視

見た目重視なアクティブ層

  • 「防寒・防水だけでは物足りない、ファッション性も大切」という価値観

ジャケットに求める機能が多岐にわたり、どれか一つでも欠けると購入をためらう層がいることが、7大維度の分析で浮き彫りになりました。

5W1H人群描摹:購買行動を具体的にイメージさせる

さらに、5W1H(Who, When, Why, Where, What, How)というフレームワークを用い、「誰が、いつ、なぜ、どこで、何を、どうやって求めているのか」を具体化したところ、次のような投稿施策やハッシュタグ戦略が展開されました。

WHO: 登山・トレッキング愛好家や寒冷地でのアウトドアを楽しむファッション志向の若年層
WHEN: 夜間~早朝の山行や、寒暖差が大きい季節・地域を訪れるタイミング
WHY: 極寒から身を守りつつ、おしゃれに写真を残したい、SNSで仲間に共有したい
WHERE: 山頂付近や標高の高い観光地、SNSで映えるロケーション
WHAT: 多機能で着脱しやすい防寒防風ジャケット
HOW: RED(小紅書)上の口コミノートやライブ配信を参考にし、ハッシュタグ検索で詳しいレビューを探す

このように、ユーザーがどのようなシーンで具体的にこのジャケットを使うのかを想像しやすい投稿を連動させたことで、高い反応率(CTR 9%超)の獲得につながりました。

結果: 検索数274%増・登山ファン層への到達度トップクラス

「アウトドアウェア」関連検索が前年比274%増
クライミングやトレッキング愛好家へのリーチがトップ3に入る
関連ノートのCTR(クリック率)は9%以上

徹底的なユーザー分析(タグ × 千机塔アプローチ)から導き出した「どんな人が、どんな背景で、どう使いたいか」に合わせてジャケットの魅力を打ち出したことで、これほどの成果を上げています。

アウトドア用品や季節商品、機能性ファッションなどを取り扱う場合は、ぜひ本事例を参考にしてみてください。ユーザーが「本当に欲しい理由」を深掘りし、シーンとセットで説得力のある情報を打ち出すことで、RED(小紅書)上での大きな成果が期待できるでしょう。


RED(小紅書)「生活スタイル別ユーザー層」とは

以下では、RED(小紅書)における「生活スタイル別ユーザー層」を、日本語で紹介します。もともと中国語で記載されていたカテゴリー名も、すべて日本語に翻訳した形でまとめています。どのように活用すればマーケティング施策につなげられるのか、一緒に見ていきましょう。

RED(小紅書)のユーザーを、「生活スタイル」や「関心領域」「行動シーン」などの切り口で細分化したものです。ユーザーが日常のどんな場面で何を求めているのか、どんな価値観を重視しているのかを多角的に分析することで、より効果的なターゲティングが可能になります。

ここでは以下のようなカテゴリーを例示します。

人文探求
デジタル未来
ペットと暮らす
近所を発見
異郷での出会い
趣味スペース
世界を観る
運動を楽しむ
余暇とリラックス
学び直し
自由旅行
気軽なアウトドア
美容パワーアップ
ロマンに溺れる
ファッションスタンス
成長アップグレード
バーチャルライフ
楽しく学ぶ教室
心の新しい旅
おうち生活

カテゴリーの概要

それぞれのカテゴリーが示すユーザー層の傾向と、注目ポイントを簡単に紹介します。

1 人文探求
都市の文化や歴史、伝統や芸術などへの探求心が強い層。博物館巡りや読書、アート鑑賞などを好む。

2 デジタル未来
AIやデータサイエンスなどのテクノロジーに興味を持ち、ガジェットやスタートアップ情報を積極的にチェックする層。

3 ペットと暮らす
ペットを家族の一員と考え、ペット関連の商品や情報交換に熱心。ペットの健康や快適な生活への関心が高い。

4 近所を発見
地元の隠れスポットやローカルグルメを探すのが好きな層。生活圏での新しい楽しみを見つけようとする傾向がある。

5 異郷での出会い
海外旅行や異文化交流、留学などに興味を持ち、新しい言語や習慣を学ぶことを楽しむ層。

6 趣味スペース
自分の趣味を中心に仲間と楽しんだり、専用スペースをつくって没頭したりする層。アウトドアからインドアまで幅広い。

7 世界を観る
国内外を問わず旅行が好きで、異文化体験や絶景スポットを求める層。旅行記や写真をSNSで積極的に共有する。

8 運動を楽しむ
登山やランニング、フィットネスなど、身体を動かすことを日常の一部にしている層。健康志向で、ウェアやグッズの情報収集にも余念がない。

9 余暇とリラックス
リラクゼーションやヒーリングに関心が高く、アロマやマッサージ、ゆるい趣味で心身を休めたいと考える層。

10 学び直し
資格取得や自己啓発、新しいスキル習得に意欲的な層。オンライン学習やセミナーの情報をチェックし、実際に行動に移す。

11 自由旅行
自由な旅のスタイルを好み、長期滞在やバックパッカー的な発想で行き先を決める層。現地の人との交流を重視する。

12 気軽なアウトドア
ソロキャンプや釣り、グランピングなど、手軽に自然を満喫するアウトドア派。機能的かつおしゃれなアウトドアギアを好む。

13 美容パワーアップ
コスメやスキンケアなどの美容領域に強い興味を持ち、日々の美容習慣のアップデートを追求する層。

14 ロマンに溺れる
映画やドラマ、アニメ、文学などの世界観を楽しむロマン派。作品のファンタジー要素やラブロマンスなどに深く浸りたい。

15 ファッションスタンス
トレンドやブランドに敏感で、コーディネートを通じて自分を表現する層。SNSでのファッション情報発信やチェックが習慣になっている。

16 成長アップグレード
キャリアや人生設計に真剣に取り組み、自己啓発や勉強会に積極的な層。ビジネス書を好み、スキルアップに熱心。

17 バーチャルライフ
オンラインゲームやVR、メタバースなどのデジタル空間にのめり込む層。最新テック情報への感度が高い。

18 楽しく学ぶ教室
趣味や教養を深めるワークショップやサロンに参加し、学びの楽しさを共有する層。料理や芸術系のレッスンへの関心が強い。

19 心の新しい旅
マインドフルネスや自己内省、瞑想などに興味を持ち、心の成長や癒しを求める層。心理学的なアプローチも取り入れる。

20 おうち生活
インテリアやDIY、家での料理やエンタメを充実させる層。自宅での時間をいかに豊かに過ごすかに関心を持つ。

実際のマーケティング活用

こうした「生活スタイル別ユーザー層」を把握しておくと、どのカテゴリーとブランドや商品が最も相性がいいのかを検討できます。例えば、アウトドア用品なら「気軽なアウトドア」「運動を楽しむ」などがターゲットになりやすいでしょう。コスメやスキンケアの場合は「美容パワーアップ」が最適です。

ユーザーがどんな情報を必要としているか、どんな話題に共感するかを考え、ハッシュタグや投稿内容を最適化することで、高いエンゲージメントを得られる可能性が高まります。

RED(小紅書)でユーザーの多様な「生活スタイル」を捉えることは、ターゲットの心を掴むうえでとても重要です。人々は単一の嗜好や属性だけで括れないため、多面的なアプローチが必要となります。

もしブランドや商品が上記のカテゴリーのいずれかと相性が良いなら、そのカテゴリーが重視する価値観やライフスタイルを意識してマーケティング施策を立案してみてください。より深い共感と効果的なターゲット設定が期待できるはずです。


4段階の口コミ力(商品を魅力的に紹介し購買意欲を高める力)

1 商品ポートフォリオ戦略

市場動向や競合状況、自社リソースなどを踏まえ、どのような商品ラインナップを組むかを決めるステップです。訴求したいターゲットや利益率の高い商品などを考慮し、SNSで表現しやすい形に落とし込むことで、RED(小紅書)上での効果的な宣伝が可能になります。

2 ユーザー細分化による精確アプローチ

RED(小紅書)ではコア層から広範層へ「逆に波及していく」人群反漏斗の考え方が重要です。まずはブランドを熟知し共感度の高いコア層へ集中的に情報を届け、口コミやコミュニティを通じて徐々に広範囲へ広げていくアプローチが効果的です。

3 KFS投放施策

KFSとは、K (KOLやKOCなどのインフルエンサー) F (フィード投稿) S (検索流入) を連携させることで、安定的な流入と効果を狙う手法です。良質なコンテンツを発信しながらインフルエンサーや検索対策も組み合わせることで、RED(小紅書)内での露出度と信頼度を高めます。

4 オーガニックコンテンツ配信

公式アカウントや広告だけでなく、ユーザー自身が投稿するUGC(ユーザー生成コンテンツ)を活かすのがRED(小紅書)の強みです。リアルな口コミや体験談を積極的に拡散することで、宣伝色を抑えつつ商品の魅力を伝えられます。

これら4つを組み合わせることで、ブランドや商品をRED(小紅書)でスムーズに拡散し、購買意欲を高めることが可能になります。短期間での認知拡大からロングタームのファン育成まで、総合的に活用してみてください。


RED(小紅書)独特のターゲティングロジック

RED(小紅書)で特に注目される「逆ファネル(反漏斗)」というターゲティングロジックと、「汎人群」などの用語をすべて日本語に訳した上で、簡潔に解説します。

逆ファネル(反漏斗)とは

一般的なマーケティングのファネル(漏斗)は、最初に大きな母数(潜在層)を集めてから徐々にコア層に絞り込む形です。
しかし、RED(小紅書)では「逆ファネル(反漏斗)」の考え方が注目されています。これは、まず最もコアなファン層を丁寧に育て、そこから外側のユーザー層へと波及させていくアプローチを指します。

コア人群(核心人群)

ブランドや商品を深く理解し、強い共感や支持を持つ層を指します。最初にここをしっかり捉えることで、口コミや投稿を通じた拡散力が高まります。

高い潜在ニーズを持つ人群(高潜人群)

購入意欲はある程度あり、ブランドへの興味・関心が強まりつつある層です。コア人群への施策と並行して、この層にも丁寧な情報発信やキャンペーンを行い、コア化を目指します。

広域層(汎人群)

まだブランド認知や興味関心が浅い、より広範囲の潜在ユーザー層を指します。コアや高い潜在ニーズを持つ層からの情報発信によって、徐々にこの広域層へ伝播していくことを狙います。

まとめ

RED(小紅書)で商品やブランドを広める際は、まずコア層を強化して、その熱量を活かしながら「逆ファネル(反漏斗)」方式で徐々にユーザー層を拡大していくのが効果的です。
通常の“上から下へ絞り込む”ファネルとは真逆の流れですが、コアなファンから始めることで、より自然かつ信頼度の高い拡散が期待できます。短期間での認知拡大だけでなく、ブランドロイヤルティの向上にもつながる手法として注目されています。

KFSでマーケット攻略せよ

RED(小紅書)で注目される「KFS」というプロモーション手法を解説します。

1 KFSとは

KFSは、以下3つの英字の頭文字を組み合わせた略称です。

  • K: KOL / KOC / KOS
    (Key Opinion Leader / Key Opinion Consumer / Key Opinion Sales)

  • F: 口コミ (Feeds / Feeding)

  • S: 検索 (Search)

これらを同時に活用して、商品やブランドの認知拡大と購買意欲の向上を狙う手法を指します。

2 K (KOL / KOC / KOS) の役割

インフルエンサーやコアユーザーなど、影響力を持つ人たちによる生の声やレビューが、RED(小紅書)では大きな説得力を持ちます。彼らが商品を使う様子や感想を投稿・共有することで、共感や興味が自然に広がりやすくなります。

3 F (口コミ) の重要性

「F」は、本来「Feeds(フィーディング)」を意味しますが、ここではユーザー同士の口コミを指しています。商品を使った感想や体験談が他のユーザーへと伝わることで、信頼性の高い情報が広がりやすくなるのがポイントです。口コミが活発になればなるほど、商品やブランドへの注目度がさらに高まります。

4 S (検索) 対策

RED(小紅書)内の検索機能を意識したハッシュタグやキーワード設定を行い、興味を持ちそうなユーザーが商品情報を探しやすくすることがポイントです。実際に検索するユーザーは購買意欲が高いケースも多いため、適切な検索対策による自然流入が非常に重要となります。

まとめ

KFSは、K(インフルエンサー活用)、F(口コミ)、S(検索対策)を総合的に行うことで、より確実な流量と信頼性の高い情報発信を両立させる手法です。インフルエンサーによる拡散力や口コミからの共感、そして検索での自然流入が組み合わさることで、RED(小紅書)上で効率的に商品やブランドの魅力を伝えられます。短期的な知名度アップから長期的なファン育成まで、幅広い成果が期待できるでしょう。

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