”選挙”がない国から選挙を語る

中国には国政に対して「国民の声を直接届ける」という意味での選挙が未だ整備されていない。
そんな日本からはるか2000キロ離れた”選挙”なき国から日本の選挙について思うところを少し記そうと思う。

選挙を民主主義的観点からとらえる

そもそも「選挙」というのは民主主義の基本的要素である。
ダールの『ポリアーキー』によれば、民主主義の大きな特性として「市民の要求に対し、政府が政治的に公平に、つねに責任をもって答えること」としている。その前提として、①要求を形成する機会を認め②市民や政府に対して要求を表現する機会③これをうけた政府が要求を平等に取り扱う機会を確保することの3つが重要となる。
また、ここでもう一人政治学の大家の考え方を引用して選挙の大切さを考えようと思う。それはフレンケルの「2つの民意」である。そもそも、選挙というのは人々が直接「経験的民意」を示す場である。第一にこの直接行動を通して示された人々の意思を受けて政治家は行動することとなる。また、そこで選出された政治家が、信託を受けたということを大前提に（選挙などの直接行動を経ぬまま）「仮説的民意」に基づいて選挙なき数年間、政治を動かすこととなる。その点で「選挙」は民主主義的社会の出発点ともいえるものであり、その選挙権が与えられている以上、行使して当然、むしろ行使しなければならないものだと考える。

日本の現状～若者投票率の低さを憂う～

しかし、昨今の日本の現状はどうだろうか。
前回の総選挙（2021年）の投票率は55.93％。ここ20年間下降傾向である。とくに日本の投票率構造上の問題点が「若者投票率」の低さだ。
実際に前回の総選挙（2021年）の20代の投票率はおよそ36％。全世代の中でも圧倒的な低さをたたき出している。
この問題は立憲主義の元祖ともいえるイギリスの下院選挙（下院は日本の衆議院に当たる）と比べるとよくわかる。2017年の下院選挙では20代投票率が60%近くあり、世代間での差があまり見られないのだ。

実際に私の信頼している小学校時代からの友達に聞いたところ、6人中3人しか投票に行っていないのだ。もちろん彼らなりに行かない理由は様々あるわけで、後日それに関して調査してここで公表しようと思うが、いずれにせよ、身近な部分から若者投票率の低さを痛感するのである。そこで、今回は資料を作成し投票日（直前）にインスタグラムで共有。「政治学を学んでいない、政治に興味がない人」がどのように投票先を決めればよいのかという点に焦点を当てて資料を作成して共有した。この取り組みで1人でも投票に行こうと思ってくれる人がいれば幸いである。

さて、そろそろ当確が出る時間帯。中国からTverを通して、各局の当選速報を眺めている。今回の選挙の感想や今後の個人的な政局の見どころは次のnoteで解説しようかと思う。
今後も「初学者でもわかる政治学」を初学者視点で発信しようと思うのでご覧いただければ幸いである。

ちなみに、私がSNS上で共有した資料を以下に張り付ける。ぜひご覧あれ。
（本当に「基礎の「き」」をまとめるつもりでさくせいしたものなので、多くの方にとっては当たり前の内容となっている）。