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深セン日式カラオケ「クラブ銀座」の夜⭐️波乱万丈なロマンスの行方

深センの夜は、深い霧の中で輝くように幻想的でありながら、混沌としたエネルギーに満ちている。同時に、駐在員のサラリーマンにとっては人生を棒に振るかもしれない、運命の分岐点ともなり得る都市でもある。活気あふれるバーやクラブ、そして異国の地で交わる無数の出会い。その中心にある日式カラオケ『クラブ銀座』は、夢と現実の境界線を曖昧にする特別な場所だった。

A氏―彼はかつて日本企業の駐在員として深センに赴任していた。日本での離婚を経て、新しい人生を求めてやってきた異国の地。仕事は順調だったが、心のどこかにぽっかりと空いた穴を感じる日々を送っていた。そんな彼にとって、クラブ銀座はただの日式クラブ(日式KTV)ではなかった。それは、彼の孤独を癒してくれる場所だった。

◆ 運命の出会い

ある夜、A氏は取引先との会食を終え、いつものようにクラブ銀座へと足を運んだ。店の扉を開けると、耳に心地よい音楽と、華やかな女性たちの笑い声が流れ込んでくる。

「いらっしゃいませ。」

いつものようにスタッフに案内され、ソファに腰を下ろしたA氏の前に、ひときわ輝く新人の女性が現れた。彼女の名前はLina。長身で洗練された雰囲気を持つ彼女は、中国語・日本語・英語を操り、笑顔の奥に知的な魅力を漂わせていた。

「こんばんは、初めまして。新人のLinaです。」

その瞬間、A氏の心の中に何かが弾けた。彼女の瞳の奥には、ただのKTV嬢とは違う、強い意志のようなものが宿っていた。

その夜、二人はワインを片手に語り合った。A氏の仕事の話、日本での過去、そして深センでの生活。Linaもまた、自分の人生について話してくれた。彼女は中国の地方都市出身で、大学を卒業後、より良い未来を求めて深センに来たという。クラブ銀座で働きながら、日本語を学び、いつか自分の店を持つことが夢だった。

「夢って、追いかけないと叶わないでしょう?」

そう微笑む彼女の姿に、A氏は心を奪われた。

◆ 恋の始まり

それからというもの、A氏は頻繁にクラブ銀座を訪れるようになった。ただお酒を飲むだけではなく、Linaと話すことが彼の楽しみになった。二人の距離は少しずつ縮まり、やがてクラブの外でも会うようになった。

Linaの仕事が終わる深夜、二人はタクシーに乗って人気のないビーチへ向かい、潮風を浴びながら語り合ったこともあった。休日には隠れ家的なレストランを見つけて、美味しい料理とワインを楽しんだ。A氏は、いつしか彼女に心を開き、人生で初めて「この人と一緒にいたい」と思うようになっていた。

◆ 遠距離の試練

そんな幸せな日々も束の間、A氏に日本への帰国命令が下った。中国と日本を行き来することは容易ではなかったが、A氏はLinaに約束した。

「必ず戻ってくる。」

Linaはただ微笑み、「待ってるね」と言った。

それからの数か月、二人はWeChatで連絡を取り続けた。A氏は忙しい仕事の合間を縫ってメッセージを送り、時にはビデオ通話でお互いの顔を見ながら会話を楽しんだ。しかし、物理的な距離は二人の関係に少しずつ影を落とし始めていた。

A氏は仕事に追われる日々の中で、次第にLinaとの連絡頻度が減っていった。Linaもまた、A氏の不在に寂しさを感じながらも、自分の人生を進めようとしていた。

◆ 再会と新たな決意

そんなある日、A氏はついに深センへの出張が決まり、再びクラブ銀座を訪れることになった。久しぶりに店の扉を開けると、そこには変わらぬ笑顔のLinaがいた。

「おかえりなさい。」

Linaは以前と変わらず、美しく、そしてどこか成長したようにも見えた。二人は再びワインを交わし、思い出話に花を咲かせた。

しかし、その夜、LinaはA氏にこう言った。

「私、もうすぐこの仕事を辞めるの。」

A氏は驚いた。

「どうして?」

「自分の店を持つ夢を叶えたいから。」

Linaはこの一年間、クラブ銀座で働きながら貯金をし、日本語と経営の勉強を続けていた。そして、ついに自分の小さなカフェを開く準備が整ったのだという。

A氏は心の底から彼女を尊敬した。そして、自分もまた、Linaの未来に関わりたいと思った。

「俺も、何か力になれることはないか?」

「うん、一緒に考えてくれる?」

Linaの瞳の奥には、確かな決意が宿っていた。

◆ 未来へ向かって

それから数か月後、Linaのカフェは深センの静かなエリアにオープンした。店の名前は「銀座カフェ」。クラブ銀座で出会った二人の思い出が詰まった場所。

A氏は日本と中国を行き来しながら、Linaのカフェを手伝い、支え続けた。やがて、彼は仕事を辞め、深センに移住することを決めた。

二人の物語は、クラブ銀座から始まり、新たなステージへと進んでいった。

深センの夜は、今も変わらず輝いている。しかし、その光の中で、一つの恋が確かに実を結び、新たな未来へと進んでいるのだった。

―― クラブ銀座、それは単なるナイトクラブではない。
ここで出会った人々が、新しい人生を見つける場所でもあるのだから。

日式カラオケ『クラブ銀座』
広東省深セン市羅湖区深南東路3033号粤海酒店二階
公式サイト:https://newclubginza.com

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