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龍馬の日記 元治元年卯月二十九

元治元年卯月二十九    


望月が来たので、岩扇に誘い、鰹を食うことにした。
「亀や、相変わらず、長州と付き合ってるんか?」
「龍馬さん、長州はすごいぜよ。 一藩勤王はすごいぜよ。
資金も豊富、国を挙げて志士活動をしてるきに。
のんびり、船の操作を覚えている場合じゃないきに。」
「そうは言っても、亀よ、このままじゃ、外国の言いなりになるぜよ。
亜米利加国を見習って、外国と対等に話せる国になるには、
船が欠かせないぜよ。」
「龍馬さん、亜米利加、亜米利加と言うがその亜米利加も外国ぜよ。」
「確かに、亜米利加国は外国じゃが、国作り方がうまいぜよ。
亜米利加国には上士も郷士もないぜよ。
好きな者が好きなことをやってもいいんじゃ。
好きなことを自由にやれるから、
わざわざ遠くの亜米利加国からやってくるぜよ。
今の土佐はどうじゃ、郷士は高下駄を履いちゃいかん。
絹も着ちゃいかん。 雨が降っても傘をさしてもいかん。
なにもかもが、いかん。」
「龍馬さん、だから土佐を勤王に染め上げ、容堂公を動かし、
天下のことを行うんじゃ。」
「亀よ、あしゃ、土佐一藩を勤王に染め上げるのは無理じゃとおもちょる。」
「龍馬さん、何ぜよ、容堂公は勤王の心ざし熱きお方、
必ずや、武市さんの話に乗っかるぜよ。」
「北添にもいっちゅう、容堂公はあしらの仲間じゃないぜよ。」
「龍馬さん、あきらめたらいかんぜよ。」
「亀よ、郷士だけなら土佐勤王はなるじゃろうが、
容堂公は無理ぜよ。今までをみてみい、
容堂公が郷士を認めるわけが無かろうが。」
「龍馬さん、こげにいってもわからんちゃか。」
と言い、望月は席を立ち帰ってしまった。

下女が声を掛けてきたので、
亜米利加国の男女のデートの話をして、
今度来た時にデートする約束を取り付けて、帰る。

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