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楢崎龍の日記  元治元年卯月二十四

元治元年卯月二十四


今日もお店に新選組が御用改めに来た。
十人ほどの十津川の人が昼食をとるために集まっていた。
六人ほどが捕縛され、四人は逃げた様だ。

夜に、大柄なお侍さんが数人、魚を食べたいとやってきた。
「今日は、良いお魚はありわしまへんね。」
大柄なお侍さんは、
「なんでもいいんじゃ。魚が食いとうて、食いとうて、困ってる。」
「すぐに食べるのは、さわらの煮つけぐらいどす。」
「それでも良い。鰹は無いんかのう。」
「今日は、鰹は終わりました。」
「ほうか、そりゃ残念じゃのう。
あさっても昼に来るきに、鰹を用意できんか。」
「言っておきますえに、あさっての昼で良いんですね。」
「おお、そうじゃ、あさってはもちっと多くの人が来るきに、
よろしく頼むわ。」
半分ぐらいは、なまりが強くて聞き取れないが、たぶん、
あさっても来るんだろう。

そのうち、お酒がまわり、宴会になる。 
「なぁ、以蔵。そんなに人を斬ったらいかんぜよ。
斬られた人はみんな痛そうな顔をしとうじゃろうが。」
「武市さんのお願いですきに、あしゃ、これしかないきに。」と刀を寄せる。
「それでも、斬るべき人は考えたほうがよいとおもうがの。」
「坂本さんはそう言うがき、あしゃ、頭が無いきにようわからん。」
「わしだっておんなじじゃ、勝先生に色々聞いて、見方が変わったんじゃ。
おんしゃも勝先生の話を聞かんかね。」
「あしゃ、尊王もよくわからんきに、聞いてもわかんちゃ。」
「それじゃ、勝先生の護衛をしてくれんか。
四六時中一緒にいれば、少しはわかるかもしれん。
お願いじゃ、勝先生の護衛を頼む。」
「坂本さんのお願いじゃ断るわけにもいかんちゃ。護衛を引き受けます。」
「よかった、明日にでも、勝先生に会いに行こう。」
そのうち、寝静まる。

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