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平隊士の日々 元治元年皐月五

元治元年皐月五   


起きて、布団をかたずけ、稽古。
稽古していると、阿部が組長に、
「今日から隊務に復帰したい。」と言うと、組長が
「歳さんに聞いてみるよ。」とのこと。

朝食、漬物、梅干し、たくあん、味噌汁、ご飯。

本日の隊務割。
午前が南巡察、午後が東巡察、夜が西巡察。

土方副長が、
「阿部が六番隊に復帰するので、
藤沢を濱口が欠けている一番隊へ移動する。」とのこと。

南巡察に七番隊と出かける。
八条通りと河原町通りの辻を御所方面に曲がったら、
お寺の傍で、刀を抜いている集団を発見。
谷組長が、合図をしたので、
七番隊は後ろに回るため、わき道を探し走り出す。
井上組長が、見物している町人に、
斬りあっている理由を聞くがよくわからないらしい。
刀を抜いて周りいる武士に、井上組長がそれとなく聞く。
十津川藩脱藩浪士を十津川藩士が捕まえようとしているらしい。
井上組長が、
「新選組が、捕縛に手助けをする。」と言い、
刀を抜いて、一番前で、向き合っている十津川藩士に、
「新選組が助太刀いたす。」と叫ぶと、
びっくりしたように、脱藩浪士が逃げようとしたところを、
組長が、後ろから、足元に斬りつける。
浪士が転んだと所を、西岡が取り押さえ、
逃げようとした浪士四人は、七番隊に取り押さえられる。
浪士を十津川藩士に渡し、巡察を続け、屯所に戻る。

昼食、焼き魚、出汁とろろ、大根の味噌汁、漬物、ご飯。
食事が終わり、東巡察に出ようとしたら、
土方副長が来て、森がそろそろ復帰したいとのことで、
八番隊へ移動すると、井上組長に言っている。

三番隊と東巡察。
巡察していると、監察方が近づいてきて、
三条木屋町通りにある、材木問屋に浪士の出入りがある。
監察方が見張っているので向かってほしいとのこと。
斎藤組長が走るぞと言い走り出す。
六番隊も走って追いかける。

大木屋と言う材木問屋で、わき道があるとのことで、
井上組長が合図をし、わき道に走っていったので、六番隊も続く。
後ろに回った頃を見計らって、斎藤組長が御用改めに入ったようだ。
二人の浪士が飛び出てきたので、捕縛した。
井上組長が、少し待って、
「もう来ないようだから、入るぞ。」
竹内伍長が付いていくので、我々も付いていく。
粂部伍長の組は裏で、警戒をしている。
斎藤組長が、二人の浪士を捕縛した、どうも長州脱藩浪士らしい。
番所に届けて、屯所に戻る。

夕食、しゃも雑炊、出汁まき、漬物。

一番隊と西巡察。
西巡察から戻る道すがら、後ろから声を掛けられた。
「新選組かのう?」
沖田組長が刀に手をかけ振り向く、
「あしゃ、坂本ちゅう、山南君の知り合いぜよ。
これから、島原にいくちゃ、一緒にどうかと思ってのう。」
「山南さんは屯所です。
我々は隊務中ですので行けません。」
「ありゃ、そりゃ、残念じゃ。
うん、おはんは、江戸で会ったことがあるき。」
「多分、人違いでは。」
「そうか、山南君に江戸に立つ前に、飲みたいと伝えてくれちゃ。」
「わかりました。」
井上組長が、
「総司、お前、会ったことあるだろう。」
「いや、あるとは思いますが、なんか、怪しい人なので、
取り合ず、知らないふりをしました。」
「なんか、お前も歳さんに似て来たな。」
そんな話を聞きながら屯所に戻る。

竹内伍長、阿部とで少し飲んで、
十津川藩士でも脱藩する人が居ることに驚き、
坂本さんは強いらしいが、沖田組長とどっちが強いかの話になり、
沖田組長の方が強いだろうと言う事になり、寝る。


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