平隊士の日々 元治元年卯月三
元治元年卯月三
少し眠いが、稽古なので起きる。
皆が起きて布団をかたずけ始めても、
いつもながら、森は起きない。
森を起こし、布団をかたずけ、掃除。
井上組長が来て、森に足は大丈夫かと聞いている。
僕は、先回りして、
「僕の腕は稽古できるぐらい大丈夫です。」と言い、稽古場に向かう。
井上組長と竹刀での打ち込み稽古、
さすがに傷がある腕は狙ってこない。
朝食、黒豆、竹の子と菜花の煮物、味噌汁、千枚漬け、ご飯。
本日の隊務割、東西では巡察の範囲が広いため、
北の方まで行けないので巡察範囲を変更し、
五条通りより南を南巡察、五条通りより北で烏丸通りより西を西巡察、
烏丸通りより東を東巡察とするとのこと。
また、午前午後に追加して夜間巡察も定期的にするようになるらしい。
午前は東巡察、午後は南巡察。
巡察に出るまえに、
昨日捕縛した浪士の証言で、
三条下る小川亭に浪士が通っているとのことで、
各隊が状況により、確認をするとのこと。
九番隊と東巡察。
五条通りを高台寺方面に、路地を浪士がいないか確認しながら向かう。
高台寺より平安神宮を回り、吉田神社へ、
吉田神社から御所方面、鴨川沿いを南下するも浪士には遭遇せず。
小川亭に到着、九番隊の鈴木組長が御用改めと、言いながら入っていく。
午前中なので、お客はいませんとのこと。
ざっと、店内を回って、屯所に帰る。
昼食、ヒラメの煮物、からし菜のお浸し、天ぷら、味噌汁、茄子漬、ご飯。
今日の賄は四番隊と聞いていたが、かなりお昼が贅沢だ。
きっと夕食は、また、しゃも鍋に違いない。
二番隊と南巡察に出る。
島原の香りをかぎながら、七条、九条と南下、
唐橋についたところで、浪士らしき二人を発見。
井上組長が、誰何すると、備中、松山藩の藩士とのこと。
組長が礼をして通り過ぎる。
鴨川沿いを北上し五条通りの路地を確認しながら屯所に戻る。
東巡察していた一番隊と五番隊が聖護院付近で、
浪士の集団と斬りあいになり、
三人が負傷、一人が頭を斬られ、大けが、
浪士二人を切り捨て、四人を捕縛したとのこと。
頭を斬られたのは、五番隊の少路平三郎と言い、次郎作の知り合い。
急に不逞浪士が増えている。
京都の治安を守っている新選組の意義が高まっているのを感じる。
夕食前に、井上組長に藤沢竹城を紹介され、お前らの組に入ると言われる。
夕食、お茶漬け、大根のしゃも鍋、昆布巻き、漬物。
やはり、昼に贅沢しすぎて、夜はしゃも鍋になった。
食後に、新選組での生活を話し、最近けが人が多い、しゃも鍋が多いなど、
森が明日の巡察は、俺の後ろなどと言ってるので、
金子の代わりなんだから、お前の前だろうと皆に突っ込まれる。
しぶしぶ、じゃぁ、俺の前で、
藤沢の故郷の話で盛り上がり、遅くなり、寝る。