バイバイガール
うめこさんがいるから頑張れる。
あの日、雨の中行き場を失った僕を拾ってくれたのは、
うめこさんと言う人。
どうしたの?
うん、どうしようもないんだ。
でも、この雨の中ここにいてもしょうがないでしょう?
行くところがないんだ。
仕方がないわね、家に来る?
うん。
アパートの一室、きちんと片付いた部屋で、体をふいていると、
こんなモノしかないけど、たべる?
うん。
ここから新しい日々が始まった。
相変わらず、うまくいかないことが多いけど、何とか生きている。
顔を見合して、笑ったり、向かい合ってご飯を食べたり、
ソファーに並んで座って仕事の愚痴を聞いたり、
何もせず、ベランダで日向ぼっこ。
そんな日々が続き、
この恋は、恋ともいえないかもしれない。
目があうだけでドキドキする様な、
手が触れるだけで、心が動く様な、
少女漫画の様な恋ではないけれど、
僕はこの人が死んだら泣くだろうと思った。
生きている意味がわからないと泣き続けるだろう。
僕を必要としてくれるこの人と生きてゆく為に、
そして、強くならないといけないと思った。
何時かはこの部屋を出ていく時が来るかもしれない。
一人で生きなければいけない時が来るかもしれない。
それまで、僕はうめこさんの膝の上で丸まっている。
ひろわれ猫の物語。
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これは創作で、主人公に似た名前の人もフィクションです。
実在の人物や団体などとは関係ありません。
あくまで、妄想ですので事実と誤認しないようにお願いいたします。
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