平隊士の日々 元治元年卯月二十七
元治元年卯月二十七
森は怪我をしているので、起こさずに、稽古。
朝食、漬物、味噌汁、ご飯。
おかずが寂しい、
七番隊が昨日のうちにおかずを買っていないのだろう。
本日の隊務割。
午前が当直、午後が東巡察、夜が西巡察。
昨日、捕縛した薩摩藩脱藩浪士の情報から、
高瀬川沿いの旅籠、高田屋に残りの浪士が八人ほど宿泊していて、
今日、江戸へ行くらしい。
一番隊、二番隊、十番隊とで、浪士が出立する前に、捕縛に向かう。
いつでも出れる準備をして待機。
昼四つ前には、浪士四人が捕縛されて、戻ってきた。
沖田組長が土方副長に
「着いた時には、四人は出立した後だったようで、
旅籠の前で、斬りあいにもならずに捕縛でき、
付近を捜索したが、見つからないので、屯所に戻って来た。」と報告していた。
昼食、お茶漬け、漬物、鮎の甘露煮、白和え。
三番隊と東巡察。
二条通りを左に曲がり、清水町に差し掛かったところで、
浪士らしき集団を発見したが、後ろに回る路地がない。
仕方がないので、そのまま、斎藤組長が誰何したところ、
逃げ出したので、皆で追いかける。
竹屋町の路地で、浪士が分かれて逃げたので、
路地に逃げた浪士を六番隊の組を分けて追いかけ、
三番隊は河原町通りを追いかけて行った。
左に逃げた浪士は二人、刀を抜いて、
「邪魔だ!」と叫びながら走っていく。
加藤が足が速く、徐々に浪士に追いつくが、竹内伍長が遅れている。
僕と加藤が浪士に追いつき、刀を突き出すが、避けられ、斬り込んでくる。
追いついた西岡と竹内伍長が斬り込み、四人で、浪士を取り囲むと、
あきらめたのか、刀を下げたので捕縛する。
もう一人は、逃げられてしまった。
二条通りに戻ったら、斎藤組長と井上組長が戻っており、
浪士一人を引き渡し、報告すると、
「よくやった。」と褒められた。
六番隊は、もう一人捕縛しており、
三番隊は、逃げた浪士、四人を捕縛、けが人は無し。
井上組長の
「屯所に戻るぞ。」の掛け声で歩き出す。
帰り掛けに、番小屋に浪士、六人捕縛と連絡する。
夕食、しゃも鍋、大根とゆで卵の煮物、梅干し、蒲鉾、ご飯。
夕げの席に、森が居た、昼間の捕縛を話すと、
「怪我がなくてよかったな、
僕も、早く、皆と巡察に行きたいな。」と殊勝なことを言っていた。
一番隊と西巡察。
沖田組長が、井上組長に、
「こう浪士が多くて、怪我人が出るので、何かないかな。
まさか、鎖帷子では走れないし、もっと軽くて動きやすいものが欲しいなぁ。」
井上組長が、
「あとで、歳さんに頼んでみるか。」と言っていた。
千本通りと鞍馬街道の間には、旅籠や町屋が多く、
細かい路地が多いので、巡察に時間がかかる。
いつもより念入りに巡察をして、屯所に戻る。
西岡と少し飲んで寝る。
毎日のように飲める生活はよいなぁと思う。
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