平隊士の日々 元治元年皐月八
元治元年皐月八
昨日は、腕あてのおかげで、怪我をしないで済んだ。
土方副長は平隊士のことも、考えてくれているのだなぁと、
稽古中にそんなことを考えていたら、井上組長に怒られた。
朝食、漬物、味噌汁、ご飯。
梅干しがあれば、ご飯をもう一杯、お代わりしたかも。
本日の隊務割。
午前が南巡察、午後が西巡察、夜が東巡察。
五番隊と南巡察に出かける。
鴨川沿いの上人町のはずれで、追いはぎがいたらしい。
番方から、追いはぎの特徴を聞き、近所を捜索したところ、
五番隊の馬越が見つけ、捕縛したので、番方に引き渡す。
昼食、お茶漬け、漬物、魚の煮物、白和え。
見たことが無い魚の煮物が出た、骨ばかりで食べるところが少ない。
二番隊と西巡察に出かけようとしたところ、
山南総長が僕も行くと一緒に出掛けた。
平野神社の近くの西大路で馬が走って来た、
山南総長が手を伸ばしたところ、馬が止まったので、
永倉組長が手綱をつかみ、馬丁に渡す。
井上組長が、
「山南さんは馬の扱いもうまいな。」
「たまたまだよ。」と、たわいないやり取りがほほえましい。
夕食、しゃも鍋、ゆで卵、梅干し、蒲鉾、ご飯。
一番隊と東巡察。
監察方より、三条の大橋町の船宿に、
浪士らしき集団が泊っているとのこと。
直行し、沖田組長が表通りに、六番隊が裏通りに配置。
沖田組長の御用改めの声で、
浪士がバラバラと刀を構えずに飛び出てきたので、
簡単に捕縛できた。
裏側で捕縛した浪士は五名、内部で、一番隊が捕縛した浪士は五名。
一名が沖田組長に斬られて重傷、その他四名は軽傷。
番小屋に連絡して、重傷の浪士を大八車に乗せて、屯所に戻る。
浪士を監察方に引き渡した。
西岡と少し飲んで、
土方副長が持ってきた防具は甲冑をもとにして、
新選組らしく軽くしたものらしい。
走っても、ばたつかないし、とても動きやすく、
斬られる心配が減るので、日々が充実してきたなどと話していたが、
飲みすぎて、寝る。