アナログアシスタント時代のハナシ:6 『取材と資料集めの現実逃避』編
さて・・・気を取り直して(;・∀・)憂鬱ですが、投稿作を描いたことのない漫画家志望の40男3人目です(-_-;)でも、これが最後じゃありませんよ?
まだまだまだいます。私が切り込んで書きたいのは、こいつじゃありません。はぁ・・・←ため息
漫画家を目指している40歳すぎて投稿作を一度も描いたことのない奴というのは、1人や2人や3人の話ではなく、かなりの数がいると思います。
アシスタント業界へ流れ込んでくるのは、その中でも
「現場を体験しておかなくては!」という取材気取りの奴の行動に多い気がします。ホント迷惑なんですけど・・・・
以前某有名青年誌の先生が言ってたのですが、漫画家志望であったりデビュー済みの漫画家であって、取材と資料集めに躍起になっている奴は絶対に大成しない…と、インタビューでおっしゃっていました
その先生のアシスタントにいたらしいのですが、取材取材と写真を撮りにあちこちに出向いては写真を大量に撮り、実物を買い集めに躍起になっていたり、資料資料と古書店めぐりとネットオークションに血道をあげているような奴は少なくなくて、長い作家人生の中で何人もいたようですが、アシスタントとしても使えずデビュー作を描くこともないので漫画家になれるはずもなく自己満足だけして消えていくんだそうです。
こういう自慰行為的な取材と称する行動を取ることで、まるですごい作品が
描けるかのような錯覚をして妄想しているだけなので、こういう奴は描くという一番大切な行為をしないんだろうなぁ・・・要は取材しているとまるでプロになれたかのような気分を味わえるので、小学生が有名人気取りでサインの練習するのと同じ気がします。
私はこの記事を読んだときに、とある奴を思い出していました。
実際には直接私は会ってはいないんですけど・・・アシスタント先の先生から聞いた話ではありますが、実害を食らったのは私です。
先生も二度と呼ぶ気はないのですが、一度だけ来た男…それがKでした。
先生が欲しかったのは簡単な小物を描けるアシスタントだったんですが、年齢とこれまで行ったアシスタント先の先生方の名前で
そこそこ描ける人じゃないかと期待しての事でした。
なので最初に小さな簡単な小物をいくつか頼むと下絵のチェックを
先生に見せることなく勝手にペンを入れたらしいのですが・・・
先生の線よりも太く、ボールペンで仕上げられていたので問い詰めると
ペンは使えないし、描きものはやったことがないと言い出すので愕然とした先生(つд⊂)
仕方なく仕上げ作業を手伝わせたのですが、これもまた下手で、後でやり直しが必要で結果的には何も頼めなかったといいます。
スクリーントーンを貼らせようとすると、力の加減が出来ないのでカッターで原稿どころか仕事机まで傷つけるし、消しゴムかけさせれば、大切な原稿なのにクシャ!!と折ってしまうし、黒い部分を塗らせようとすると
はみ出すし…何もできないので、即戦力しか雇えない先生としては
結果的に早めにそいつを帰して少しでも時給分を節約するしかできなかったとのことでした。
こいつの描いたものがあまりにひどいので、こいつが帰った翌日に呼ばれた私がやった仕事は、こいつの描いたものを修正液で消してもう一度初めから私がきちんと描きなおす…というものでした。
築60年のボロアパートに四畳半+六畳(風呂無トイレ共同)の部屋に住む、投稿作を描いたことのない40代漫画家志望のKは、六畳の部屋が入れなくなるほどの警察の資料を揃えているらしかった。四畳半の部屋にはベットと机を置くと何も置けないのにも関わらず、さらに趣味のアニメグッズが増殖していると何故か自慢げに話していたという。
入れない六畳間には、警察官の制服のレプリカから、警察の拳銃のプラモデルとかレプリカとか・・・警察関係の写真や本に至るまでの膨大な資料と称した本やグッズにあふれていて、本人に言わせると長年構想を温めている刑事ものの作品の資料なんだそうですが・・・
集め始めたのが彼が10代の頃なのでもはや、当時とは警察の制服もパトカーもデザインが変わっているし、古い警察関係の建物は建て替えられていたり
法律というのは更新しちゃうから、当時から集めていたものは全部無駄とは言わないけど、今から昭和の警察の話を描くならいいかもしれないけど
どうやらそうじゃないので、使えるものあんの?って話だった。
先生に言わせると彼が描こうと妄想していたものは「トミーとマツ」という人気ドラマをパクったようなバディ刑事ものを描こうとして集め始めたんだろうという事でした。
調べてみたらこの、「トミーとマツ」国広富之さんと松崎しげるさんが主演で、まったく違うタイプの刑事が反発しながら事件を解決していく…という
王道パターンの刑事もののドラマの元祖的な存在で、当時大ヒットしていたドラマのようです。国広富之さんの甘いハンサム顔が当時の若い女性にも人気で刑事モノとしては異例の女性ファンが多かったのも特徴だったとか。
1979年から1982年に放送されていたので今から38年前…でも、この話を聞いたのは15年くらい前なので(;・∀・)
少なくともこの時点では、23年間構想していたって事になるよね?
マンガは生ものなので、腐っててもう誰も食べないと思うけど。
資料というものは描くときに初めて揃えないと古くなるものも多いし
今となってはネットで気軽に調べられるものなので、揃えたところで
使わなければただの自己満足と、ゴミでしかない。
なんか、この40歳投稿作を描いたことのない漫画家志望の妄想が
手に取るように解って、あきれる。
「トミーとマツ」のように女にキャーキャー言われるようなものを描けば、人気が出るだろうという浅はかな思い込みと、妄想でバディものを描けば人気が出る!長期連載になるだろうから資料は今から集めておかなければ!とか言って、ネットオークションや古書店めぐりに血道をあげたり、警察に取材と称して写真を撮りに出向いて取材気取りで、写真を撮りまくっていたんだろう。しかもデジカメじゃなく一眼レフで撮って、現像して…
この自慰行為はさぞかし気分も良くてマンガを描くより楽だし達成感もあるしで、23年も続けてたんだろうな~
・・誰も言わないだろうから、そろそろあえて言ってやる。
・・・・バっカじゃねえの?
江戸っ子の私には標準語の表現では、もはや我慢が出来なくなってしまいました。いかんいかん・・・
つづく…
明日はラスボスの話にたどり着けるでしょうか(;・∀・)