アナログアシスタント時代のハナシ:4「描かない漫画家志望」編
今回も投稿作を描いたことのない漫画家志望40男のハナシです
驚くべきだと思いますが、なんと今回は3で話した男とは別人。
…実はとっても多いんだと思います。
私は以前TV局から取材を受けた経験がありまして、その時も
36歳漫画家志望なのに投稿作を一作も描いたことのない男がテーマで
年金を年老いた親に支払わせて実家暮らし。バイトもアシスタント経験もなく、その番組では編集部の編集さんを何人か呼んでそいつの作品を添削してもらう…というありえないチャンスなはずなのに、未完成の描きかけのネームを数ページ持参しただけ。
そうなのだ。
描かない奴の典型的なパターンで、よくある中二病で、自分が壮大な作品が描けると思い込んでいるという妄想を抱いているだけ。
実際にはこんな奴、最後まで描き切る事なんか絶対にできないのだ。
時々投稿者とかくずぶっている男の漫画家にいるんだけど、
「オレは、短編じゃなく長編じゃないと実力を発揮できないんだ」なんて
言い訳している奴がいるけど、短編も描けない奴に長編なんか描けるわけがない。短編をまとめられる能力もないくせに長編なんかまとめられるわけがないのだ。
プロ志望とか素人にありがちなのですが、物語の序章だけを描いて漫画家志望とか小説家志望、脚本家志望、なんて奴は履いて捨てるほどいて、正直言えば、そんなの誰でもできるのだ。
その場に30人いたら30人出来るんだよ。その辺で歩いているオッサンでも序章だけならできるんだよ。ハッキリ言って。
そんなのプロの私に言わせれば、プロであるなら序章だけでいいなら100個でも200個でもできるよ。そんなの誰でもできるんだから、プロであるなら簡単!プロの漫画家、小説家、脚本家に聞いてみてほしいんだけど、物語の序章だけで終わらせた作品なんか死ぬほどあるんだよ。
素人が、1~2作の序章描いただけでプロ目指すなどと公言するのは
正直言って鼻で笑うレベルなのだ。
プロとアマチュアの決定的な違いは、作品を最後まで描きあげられるかどうかの違いが大きいと思う。
小学生ならそれも許されるよ?大人気連載の第一回目っぽい話を描くのは
そりゃ楽しいでしょうよ。何の責任も何の見通しも何の考慮もなく気持ちよく描けるもん。
少しでもマンガを描いたことのある人、小説でも脚本でも書いたことのある人ならわかると思うのですが、特にマンガは作業的にも1枚描くのにも何時間もかかり、手間も大きいので、1ページ描いただけでも達成感があるので
第一話分の20~30P分も描いたら、そりゃもう達成感もかなり大きいでしょう。
でも、ハッキリ言ってこんなの自慰行為なので、誰でもできる事。
アマチュアだったらそりゃあ、頑張りましたね、すごいですね、上手ですねって適当に褒めてもらえれば満足できるのかもしれないけど、プロはそんなのなんの意味もない。
アンケート結果を覚悟しないといけないし、売り続けないといけないし
忘れているかもしれないけど、連載は第一話で終われないんだからこの先も描き続けて飽きさせないようにして、背景も人物も小物も丁寧に描き続けて
そして、さらにそれを売れ続けないといけないのだ。
ここのリアリティがない分、
描かないでいると、万能感や希望的な未来しか見ないでいい
から気楽に自分が成功する妄想してられるんだよね。
女は現実的な生き物なので、女でこういう現実味のない妄想にしがみつく
おばさんはあんまり遭遇したことがない。
いないわけじゃないけど、ここまでこじらせてはいない。せいぜい序章分だけの作品を書いて数人に見せて満足できているので、迷惑はかけてない。
完成させる実力はないので完成はできないだろうけどね。
自分がプロに向いているかどうかとか、漫画を描き続けたいのかどうかの判断は意外と女性は見極めている気がするけど、男の場合はなぜか自分の妄想にしがみついたまま40歳とか50歳になっている奴がゴロゴロいる。
それだけ現実を直視しないでも生きていけるくらいに恵まれた環境にいて
それだけ何も描いてないってことなんだと思う。
描き続けていれば、嫌でも自分がまったく描けていないことに痛感しないといけない事もあるし、自分の力が何もない事を思い知らないといけない厳しい現実を目の前につきつけられることになるから。
努力して頑張っているのは全員であって、自分ひとりじゃないので、報われないのは全部自分の責任だからね。
「こんなに頑張っているのに!!」…はただの言い訳。
そして愚痴で、戯言。
プロは「こんなに」の何倍も、下手すりゃ何十倍も当たり前に努力して頑張っているので、それを努力や頑張りとも思わず当然のようにやっているだけ。
そこで努力とか頑張りなんて言葉が出てくる時点でやってない証拠。
だって当然だもん。頼まれてもないんだから。
そして、3人目のこういう・・・描かないプロ志望40代男のハナシに
つづくのでしたΣ( ̄ロ ̄lll)ガーン…まだいるんかい!
ええ、まだいるんですよ?