アナログアシスタント時代のハナシ:2「環境とアシスタント代」編
アシスタント代が極端に低いところは、作業環境も悪くて、勉強にならんし、技術もつかず、無駄な時間が流れるだけ
これは私が長年の経験と周囲にいるプロアシ仲間や先輩アシスタントたちの経験や話を総合していくと、こうなるなぁと実感した事です。
作業環境が悪い…という事は、要は自分の仕事なのに仕事場環境を整えてないってことだよね?いや、はじめから整えられる人なんかいないのは承知しているけど、デビューして30年なのに座卓で狭い部屋で雑多に部屋が汚いままって、要は環境にも気を遣えないってことだよね?
アシスタントさんが腰悪くしても、気にならないし気づかないし興味ないってことだよね?
名前を聞けばオタク界隈では見たことのあるようなオタク系少女漫画作家が
これだったらしく、仕事場にはエアコンもない。「私、クーラー嫌いだから」で室温35度超えて、アシスタントがバンバン倒れても平気でこれを
続けていて「最近はホント、使えるアシスタントがいないのよ!」とお友達の作家にこぼしていたが、アシスタントを探す掲示板でも見つからず編集部に頼んで投稿者をだまして送り込んでもらう以外に人手がなくなっていた。
そりゃ人手もないだろうよ。プロアシはもちろん流れアシたちには、私の周囲では注意喚起がされてて、行っちゃいけない作家の中に入っていたもん。
私はネットの巨大掲示板は見ないので(トラップのウイルスに感染しても自力でパソコン直せないので(;・∀・)実際に見てはいないけど、巨大掲示板でも名前は上がっていたみたいだから、そら誰もいないだろうねぇ・・
ってなことになる。
アシスタント募集の掲示板でも提示されていた給料は時給700円
かろうじて食事と交通費は出るらしいけど、初回はお試し期間で時給500円に計算されているらしいので、技術のある人は二度と行かないわけよ、
…となると今はどうしているのか…となるとデジタル化しているから
遠隔で使うアシスタントさんが中心だし、絵がキレイなので信者がいて
その信者が手伝っているってことで解決しているみたいね(;・∀・)
座卓で長時間作業は、想像できないかな・・・
腰に負担がかかるしマンガの作業でこれは集中力もつかないし
上手い背景なんか描けるわけがない。
私は折り畳みの机とオフィス用デスクチェアを用意している。
零細の私に買えてきちんと定期的に仕事のある人が買えないというのは
お金がないんじゃなくて「アシスタントの環境なんかに使うお金がない」ってことなんだよね。
それよりも優先したい支払いがあるから、アシスタントの健康や腰なんか知ったことじゃない。我慢して自分でなんとかしろって言っているのと同じでは?
こういうところがさ、自覚ないと思われるけどアシスタントを奴隷か自分の言いなりにできる弟子とか、とりまきとかファンとか信者だと思っているって言われちゃう部分なんだよ。
私が一回きりじゃなくレギュラーで手伝ってきた先生たちは、中には定期的に仕事もなかったし、私と変わらないくらいに零細の人もいたけど、色々と気を使ってくれていたので、アシスタント料も低かったけど、先生の気持ちが伝わってたので、私も喜んで行ってたし他のプロアシ仲間も楽しみに来てたけどね。
それこそ、お金じゃなくて先生が好きで行ってたパターンだよ。
仕事が終わると駅前のファミレスでみんなでごはん食べて解散なんだけど、仕事終わっても長い時間マンガの話とか個人的な話で長時間話し込んでしまい、結局翌朝の始発で帰るなんて事も何度かあった(笑)
先生の人柄で来ている事も多いので、この先生のところでは
アシスタントを引退していて、結婚して子供がいるので、この先生だけの為にアシスタント復帰しているベテランアシスタントさんなんかもいた。
某青年誌の作家さんのところで、何年もアシスタントをして
ご本人もデビューしてしばらく描いてたんだけど、結婚して出産したので
アシスタント業時々…になっちゃっている人だったけど、教え方が上手いので、ものすごく勉強になった。(先生もこの人に教わってた)
私は一番若かったので、色々と教わる事しかなかったけど、
本当にいい思い出ばかりの先生だった。
10年ほど前に先生が旦那さんと海外に転勤で行っていると聞いたけど
お嬢さんはもうかなり大きくなっているはず(;・∀・)
こういうある程度バランス感覚がないと、よほど突出した才能でも
ない限りはアシスタントがいないと思ったほうがいい。
たいてい長く仕事をしている先生のところは、アシスタント代が良かったり
環境が良かったり、先生の人柄が良かったりで続いているので
先生の作品のファンだから・・・は人柄の悪さで帳消しにされたりする。
でも・・・意外と多いんだよね・・・人間性はクズなのに
作品はすごくいい作家さんって。
芸人さんでも才能あるのに人間性がクズとか多いし、ミュージシャンで
ヒット曲をバンバン出している中にも時々、なんでこんなクズがあんないい曲をかけるんだ!!なんて思うって記事を読んだ記憶もある。
漫画家は基本的には、人間性が幼稚で、ダメ人間が多い。(私も含めて)
なので部屋も汚部屋でだらしなくて不潔にしていても平気な人も多いし
他人の気持なんか一切解ろうともしてないサイコパスにさえも出来ちゃう仕事なので、けっこうな確率でひどい人間性を許されてしまう部分がある。
また、本来ならば腰が低くて自信もなくて大人しい人なのに
承認欲求が満たされて、自分に人気があると自覚した時から豹変して
とんでもない傲慢で最低の人間性が浮き彫りにされちゃうことも多い。
でも、そういう器の小さい人はけっこう多くて・・・
私の身近にもいた。デビューしたとたんに天下を取ったか鬼の首でも
取ったかのような気持ちになってしまうんだろう。
それまではとても仲良くできていて、気の合う人だったはずなのに
本当はこんなひどい事を平気でできる人なの?と愕然とした。
でも、思えば片りんはあったのだ。
アシスタント先の先生のいう事を聞かないで自分の意見を通したり
出来ないことがあるとヒステリーをおこして号泣したり…
賞金が微々たる賞に入賞しただけで、「同人仲間に指導」しはじめたり…
デビューというものをものすごいハードルと考えているんだと思うけど
デビューは別に誰でも描き続けていればいつかはできるもの。
バイトの面接に受かったのと同じ。名もない企業に入社できただけ。
甲子園になんとか行けただけ(優勝してもなければドラフトにもかかってない)
最初の一歩で、正直言えばここからが本格的に大変なのであって
デビューしたら個人事業主であって、小さな零細会社の社長になれるチャンスをもらえただけで、個人事業主として食べていけるかどうかは別。
零細会社が運営していけるかどうかは別。
つづく