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「宇宙空間みたいなところにある、壁や三角形」日記2024/04/22-2024/04/30

○2024/04/22(月)
近所のパン屋でコッペパンとチキンサンドを買う。後から入店してきたスウェット姿の若いカップルが、しきりにトングをカチカチと鳴らしていた。


『花四段といっしょ / 増村十七著』3-4巻

読了。

3巻で対戦相手のこれまでの対戦経歴を分析し、経験が少ないであろう戦術を用意するAI戦略がでてくるが、「なるほど!」と感心してしまった。現実に使われてる戦術なのだろうか。
とはいえ、そこは主題でなく、実直な花四段と兄弟子の関係性にスポットが当たり、経験豊富な兄弟子にコンプレックスを抱く、という展開で、巧みにモチーフと絡められていていてよかった。

4巻に、元奨励会の先輩、田名ぼたんという人が登場するのだが、この人がよかった。
田名が将棋を諦めるシーン、「かっこいい」とも「泣ける」とも違う、ただこういうことがあるし、人生は続いていく、色々な人が挑んだり、諦めたりして、少しずつ社会が前に進んだりする。


『ひみつのアイプリ』2話

視聴。
かなり物語が進んだけど、物語る「しろ」がまだあるのかな、あるんだろうな。
子どもがだれでも通るコミュニケーション「ごめんね」を話の軸においてて、正しく児童向けアニメ等感じだ。


○2024/04/23(火)
目がゴロゴロするので眼科に行く。
自分は定期的に結石がまぶたの裏にできる。
普通に「針!」という感じの針で先生が取ってくれた。


『漫画家残酷物語 / 永島慎二著』

少しずつ読んでる。

発表当時、前衛的な表現が若者に支持された漫画だ。
この漫画で度々描かれている「表現と商業主義」の対立は、現在の社会では割りとテーマになることが少なくなっているように思う。

現代の才能ある人は自身の表現のために、商業主義やコマーシャリズムをしたたかに利用しているイメージだ。スペシャリストかつジェネラリストが跋扈(ばっこ)する修羅の世界。

「表現と商業の対立」という、もはやノスタルジーさえ感じるそのテーマに救われていた当時の若者のことを思う。

あと昔は深夜喫茶というものがあり、終電を逃した人はそこで朝まで時間潰してたんですね。そういった当時の風俗が面白い。

この漫画の漫画家たちは理由もなく喫茶店に集まり、とにかくタバコを吸いまくっている。
タバコが物語上象徴することが多いものは「若さ」「反抗」「破滅」「死」など、ただ今の若い人からしたらタバコは直球で老人のものなんだろうな。


シーシャが物語上で効果的なモチーフになってるフィクションってまだあまりないのではないか、今度、シーシャ屋のゲームがでるらしいが、『VA-11 Hall-A』のバリエーションのシステムっぽい。最近、この手のゲーム多いですね。

シーシャは何を象徴するんだろうな、やっぱり「若さ」とか「夜」とかか、老人ばかりのシーシャバーは無さそうだものな。

シーシャバー、30代の内に一度は行ってみたいけど……なんか怖いんだよな。


大阪王将の『ザンギカレー炒飯』というからあげがカレーチャーハンに乗ってるメニューの写真です
大阪王将『ザンギカレー炒飯』

家人が大阪王将の期間限定メニュー『にらホルモン中華そば』を食べたいと言うので、行った。
自分は同じく期間限定の『ザンギカレー炒飯』を注文する。
このメニューのザンギが尋常じゃなくクリスピーでおいしい。なんとか恒常メニューになりませんか。


『水野しず×能町みね子×冬野梅子の #物好きさんたちの集い』

視聴。
おもしろかった。


○2024/04/24(水)
サブウェイでエビアボガドを食べる。無料のピクルスとホットペッパーを頼んだが、提供されたものにはピクルスしか挟まっていなかった。
自分は声の通りが悪いので、これは多分自分サイドの問題である。

それはそれとして、サブウェイはメニューの自由度が高く、かつセットメニューはサンドの注文の後に伝える必要があるなど、オペレーションが他のファーストフード店と異なり難易度が高い。
今後、高齢化が進むであろうこの国で、サブウェイは生き残れるのか。自分はジジイになった時、スムーズに注文できる自信がない。


○2024/04/25(木)
昨日の日記にサブウェイのことを書いたが、今朝の「ZIP!」でセルフオーダー画面での注文を導入しているサブウェイの店舗が取り上げられていた。

デフォルトでおすすめのカスタマイズが選択されていて、変えたい場合に選択できるスタイルだそう。全部これでいいんじゃないですか。

セルフレジはセルフレジで高齢者にとってはハードルが高いかもしれない。しかし、これから働き手の不足はますます深刻化していくだろうし、自分もセルフに慣れていくしかない。負けたくないんや……老いに。


『宝石の国』最終回

読了。
すごく遠くまで来た作品だったけど、最後の見開きのセリフは過去の自分への祈りであり、作家自身の祈りでもあるようでよかった。

フィクションは究極祈りなので、極限まで研ぎ澄ませた誠実が、本編後半の展開なのだと思う。やっぱり大好きです『宝石の国』のことが。


『いてもたってもいられないの / ばったん著』

読了。

よかった。ばったん先生の漫画のキャラクターが笑う時の眼や口の豊かな表情を見ていると、心がぐにゃぐにゃになっていき、そこを鋭く刺されるような感覚がある。

どの話もめちゃくちゃよいのだけども、32歳のバーテンダーの女性の話が一番好きだった。
究極、自分の切実な感情を言葉に出来て、それを伝えることができれば、結果はどうあれ救われることもある。


眠りに落ちる時に脳裏に浮かぶ風景、少し前までは
「宇宙空間みたいなところにある、壁や三角形」

だったのだが、
最近は、「立体のフローチャートの枠と枠の間」だ。


○2024/04/26(金)

『ある人 / 岡田索雲著』

読了。
この作者は『メイコの遊び場』の時から、一貫してマイノリティに寄り添う作品を発表している。

今回もすごかった。
テーマがやや直接的ではあるけど、それはそれだけ真っ直ぐに発信しているとも言えて、そういうことはあとこういった作品が1万本ぐらいこの世に生まれてから考えればよい。


『センスは5% :クリエイターをサポートするための45の技術 / 長島健祐著』

読了。

オモコロの社長である長島氏によるビジネス本。

放任主義で社員に自由にやらせるが、根本的な部分である、「健康・衛生・進捗管理」ではしっかり手綱を握るという感じだ。

ITベンチャーの社長は人権意識の薄い、ヤバイ人が多い印象だが、(そうでないと生き残れないのかも)
そうした中で、長島さんの「まともさ」さというのは稀有であるし、本人が務めてそのように振る舞っているのがすごいし、尊いと思った。

王が側に道化を置くように、あえて自身が道化として振る舞っているのが、かっこいい。


○2024/04/27(土)
X(旧Twitter)には毎日、動物園の動物が亡くなったという情報と、動物の赤ちゃんが産まれたという情報が流れてくる。

動物はかわいいし、最後の瞬間まで、ただ必死に生きているので存在がよい。

どんどん人間がイヤになり、動物が良くなってくる。
先日、「人間というのがとみにイヤになった」とつぶやいたら、家人に「ヘッ」と鼻で笑われた。


最近、コーヒーの不良豆(焦げ、カビ、虫食いなどの悪い豆)を取り除いてから淹れるのをやっている。なんとなく、味がすっきりして、胸焼けしにくいような気がする。

家人いわく、「全く違いがわからない」ということなので、今度ブラインドテストをしてみたいと思う。



淡い紫色の藤の花が垂れ下がっている写真です

藤まつりに行った。藤を一度にこれだけ多く見るのは初めてだけど、桜に比べて幽玄な魅力があってよい。あんまり他の花にはない魅力だ。10年前の自分にこの良さは感じ取れただろうか。
ベタだけど、歳を取ると花もよくなってくるのかもしれん。

売店でみたらし団子、田楽、たけのこご飯を買って食べる。
どれも信じられないぐらい美味しかった。結局、甘辛いみそとかしょうゆのやつが一番いいんだ。


『人類みな麺類』というお店のラーメンの写真。大きなチャーシューとメンマが乗っています

その後、名古屋駅のホームで期間限定で営業している『人類みな麺類』で食べる。おいしい。

行列に並んでいる間におしぼりを2つ取り、食べた後に自分で机を拭くシステムなのだが、机を拭かない人が多いようで、普通に店員さんが机を拭いていた。


『シジュウカラ / 坂井恵理著』13-17巻

読了。

歳の差恋愛もので、くっついて終わりではなく、人と人の間の呪いの話をしっかりと丁寧に描いているマンガだ。

最終巻でのあらゆる立場、境遇の女性たちが、主人公の内面で繋ぎ合わせられ、作家としての自己発見に繋がる展開がすばらしかった。
誠実に向き合えば、キャッチーな題材で、ここまでのことをできるということに勇気を貰える。



○2024/04/28(日)

『サンエックス90周年 うちのコたちの大展覧会』

に行く。
家人が「たれぱんだ」や「センチメンタルサーカス」のファンなので……

企業によって生み出されるキャラクターは「作家性」みたいなものは薄いが、完成度が高く、練度が高い。面白かった。

X(旧Twitter)で人気になるキャラクターは、ポップアップショップなどになっても、次第に話題にのぼらなくなり、人気が失速してしまうことが多いけど、サンエックスのキャラクターは企業が矢継ぎ早に企画や広報、商品開発を行うので、人気に根強さというか、継続性がある。

すみっコぐらしの展示からは「ジブンまだちいかわと戦えます…!」というような強さを感じた。
サンエックスはサンリオと比較すると、「見捨てられた子ども」のような設定の類型が多く、そこが好きで応援している。頑張ってほしい。


栄の地下を歩いていると「めきょぱセンター」という看板が目に入る。
全く意味がわからないが、「めきょぱ」は身体が潰れる時の擬音語みたいで怖い。

調べると「名鉄協商パーキング」の略語であるらしい。
マスコットキャラの「めきょぱ」全然かわいくなくてぬいぐるみが欲しくなった。


家人とある「きしめん屋」に入ったところ、非常に込み合っていて、
明らかに人手不足、オペレーションが回っていないようだった。

隣の席のおばあさんが、料理が出てくるのが遅いことに、外国人の店員さんにブチギレまくっていた。
店員さんはおばあさんに「もうすぐです」と返していたが、
そこからさらに10分以上待たされていて、全然関係ないこちらがハラハラしてしまった。

家人は「ゴールデンウィークに店開けてくれているだけで感謝だよ」と言っていたが、自分もそう思う。
これは善性によるものではなく、2人ともどちらかというとクレームを入れられる側に感情移入するたちだからである。


あるビルのエスカレーターを上っている時、男女がLINEの交換しているのが目に入った、女性の方が「また連絡しますね」と言っており、おそらくマッチングアプリで出会ってデートをし、解散するタイミングだったのではないか。

なんとなくだけどそのデートをうまくいっておらず、女性が男性に連絡をすることはないんじゃないかと勝手に思った。


『心霊マスターテープ』3話
視聴。

3話には明らかに笑わせようとしているシーンが多くてよかった。
「どっちが先に心霊映像に気づいたか」というどうでもいいことで、大人の男性が軽く言い争うシーンや、
「何かあったら連絡してください」
「何かあったら連絡できないよ! 何もなくても連絡する。朝晩、連絡する!」
というやり取りのシーンは声を出して笑ってしまった。

脚本はどうやって作ってるのかな。こうして書き起こしてみても、面白さの説明が難しい。楽しいホラーだ。



unpis exhibition 『MY座標 / YOU座標』

書店『ON READING』でやっている人気イラストレーターunpisさんの個展を見にいく。

どの絵もカッコよさとかわいさが同居していてよかった。
画集を買い、unpisさんにかわいいイラストとサインをいただく。うれしい。

『ON READING』は本当にセレクトも企画も全部が良くて、よいお店なので、東山動物園に行くことがあれば、是非、足を運んでみて欲しい。



○2024/4/29(月)
昼食にドミノピザの配達を頼む。
クーポンで値引きしてくれるのはいいのだが、色々な種類のクーポンと使い方の組み合わせがありすぎて、結果的に最適解を知らない人が損するシステムになっている。もう少しどうにかなりませんか。


これ、本当にそうです。助けてくれ…


『シティーハンター』

視聴。

鈴木亮平の身体の説得力と頼もしさ。
トー横やコスプレイヤーにSNS、現代的な要素が散りばめられていることにより、そこから取り残されながらも、確かにそこにいる冴羽獠という存在に切なくなった。

ハンマーやボンテージ衣装などが過剰に嘘くさくならない様、舞台をコスプレ会場にしていて作り手の工夫と努力にうなる他ない。
ガンアクションもギミックたっぷりで、とてもよかった。


『心霊マスターテープ』4話

視聴。

おもしろいおもしろい。いつまでも見ていたくなる。
今回も明らかに笑わせようとしている胡乱なやり取りがあって最高。

登場するホラー監督たちがみんな個性的でいい。
ホラー作品ではあるが、手がかりを辿っていき、全体像が少しずつ明らかになっていくミステリー的な快感もある。


『あすか120%』の新作が発表されたそうだ。
同作は90年代に生まれた、美少女同士が戦う格闘ゲームの先駆者的なタイトルだが、新作のデザインも90年代アニメ風で、それが一周回ってすごくおしゃれになっている。
そういうこともあるんだな。


○2024/4/30(火)
昨日見た夢。
3人チームでStudio One(DAWソフト)の大会に出場している。
メンバーは自分と、カービィと、長髪の女性だ。

長髪の女性が試合?前に突然「実は、私は人魚の肉を食べて不死になった吸血鬼」とカミングアウトをしてくる。

自分は
「独りぼっちで永遠に生きるのは辛いでしょう、私も人魚の肉を食べます」と申し出る。

すると、その女性に、
「んー、ちょっと考えさせて」
と返される。

こいつと永遠に一緒は嫌だな、と思われたのかもしれん。


『Pools』

プレイ。

タイトル通り、プールのあるリミナルスペースもの。
モンスターや謎解きなどは一切ない、ストイックな作り。

自分は水に関する悪夢をよく見るので、割と嬉しいコンセプトだ。
とはいえ、個人的にはリミナルスペースのカルチャー全般にあまり乗り切れないところもある。

本当に誰が何のために作ったかわからない、背景となる文脈、カルチャーの無い謎空間を歩きたいんだよな。


『キャロルの終末』3話

視聴。

キャロルと同僚が夜勤をするエピソード。
途中、何度も眠りこけそうになるところを目覚めるシーンが、キャラクターを変えて、執拗に繰り返される。

虚実を曖昧にすることにより、「仕事や社会は人が見る夢・フィクション」というテーマをやっていて、すごい。

今のところ全部のエピソードがいい。
自分が一番好きなアニメは『ボージャック・ホースマン』なのだけど、それに迫るよさだ。


『エンブリヲ / 小川幸辰 著』1-3巻

読了。

進化した虫によって、女子学生の身体に胚が植え付けられ……という『ローズマリーの赤ちゃん』的な虫ホラー。

この漫画の虫たちはかなり殺意十分というか、かなり人間を殺すが、それでいてなお、どこか憎めない、哀れな、対話が可能な存在として描かれている気がする。

読み手と主人公の心境が徐々にリンクするようにコントロールされているようで、おもしろかった。

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