沖縄県知事選に寄せて。 #玉城デニー
母は沖縄。父は高知。育ちは大阪。
そんなあたしは根無し草だ。
大阪弁をそれなりに使い、ギャグの一つも言う。
母の作った沖縄料理を食べて育ったけど、お好み焼き定食もソウルフード。
大阪にいれば、顔のせいで沖縄の人か外国の人に間違われる。
沖縄に行けば、内地の人みたいとおばさんに言われる。
外国に行ったらなに人かわからないと言われる。
沖縄弁はわからない。
「お勉強は頑張っていますか?」
おじいちゃんはあたしにいつも標準語で話しかけてくれた。
それが変に丁寧すぎて、いつもくすぐったかった。
あたしはいつも誰かにとって「ここでないどこかの人」「自分たちとは違うどこかの人」だ。
差別を受けたわけじゃない、けれどいつも居心地良く落ち着けることはなかった。
国籍、土地、血筋。
アイデンティティは何に帰属するものなのか。
根無し草にはわからない。
だからなのかもしれない。
デニーさんが県知事になることに希望を持っているのは。
きっとあたしよりもはるかに、いろんな目にあっていろんな言葉を投げられてきたと容易に想像がつく。
それでもなお、政治家という矢面に立ってきたデニーさんに勝手な希望を持ってしまうのは、あたしにとっては当然なのかも知れない。
世界と日本をつなぐ玄関口の沖縄という場所で生まれ育ち、二つのルーツを持つデニーさんが、その場所の知事になると言うことが、沖縄にも日本にも、何よりみんなの希望になると感じてる。
あたしが今、立っていられるのは、何者でもない、そのままあたしで大事にしてくれる仲間がいるおかげ。
今のあたしのアイデンティティはそこにある。お陰で大変ながらもあったかい気持ちで暮らしていける。
そんな風に。
たくさんの人たちのために、拠り所なくて立っていられない人たちのために、寄り添ってくれる人や場所、政治があればと思う。
そうすれば、何者でなくても、そのままの自分でいいと思える場所ができるんだと思う。
デニーさんが知事になったら、その道筋が見えてくる気がする。
沖縄の自立した政治が、日本の各地を引っ張って行く。そして本当の意味での日本の自立につながって行く気がする。色んな人が自分の住む場所であったかい気持ちで暮らしていける、そんな気がするの。
そして、そうなった時にあたしは自分が生まれた国に根を張れるのかもしれないって。
沖縄の青い空に、きれいな虹がかかりますように。
HAVE A NICE DENNY!
大阪より愛を込めて。
ちまこ